最上階は300億円! 建設中の「アマンレジデンス東京」には誰が住む? サイバーエージェント藤田社長は「見学に行った」

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相次ぐ値上げに悲鳴を上げる庶民を見下ろすかのごとく、富める者は高みを目指す。都心に建設中の超高級レジデンスは、さながら「令和版バベルの塔」。最上階のペントハウスを狙い群がる長者の中には、誰もが知る富豪の名もあった。
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【写真を見る】300億円の部屋もあるアマンレジデンス 豪華な内装は? 都心でも高所得者層が多く住むとされる東京・港区で、「日本一高いビル」が建設されているのをご存じだろうか。高さは330メートルで、来年3月に完成した暁には、大阪・天王寺の「あべのハルカス」(300メートル)を抜いて記録を更新する予定である。

“暫定日本一”となってしまった西の雄が最上階を展望台にして広く人々に開放しているのに対して、都心に建設中のこちら“未来の日本一”は、上層部が高級レジデンスで占められる。背の丈333メートルの東京タワーと同じ高さで景色を眺められると聞けば、選ばれし“雲の上の住民”だけが足を踏み入れられる空間の誕生に、誰しも興味が湧こう。森ビル再開発現場 その最上階ペントハウスを根城にするのは誰なのか。水面下ではさまざまな富豪の名が取り沙汰されているが、仔細に触れる前に、このビルが作られた経緯をざっと振り返っておこう。なぜ都心の好立地に更地が? ビルは大手デベロッパーの森ビルが、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」と銘打ち1980年代末から再開発を計画してきた。 地元不動産業者が言う。「今や都心の好立地でこれだけの規模の土地が更地で出ることはまずありません。南側は幹線道路の外苑東通りに面していて、外務省が主催するレセプションや国際会議などにも利用される飯倉公館、ロシア大使館などが立ち並ぶ。一帯は麻布台と呼ばれハイソな雰囲気が漂っていますが、かつては大通りから一歩入れば小さな商店や賃貸アパートなどが姿を現すような、昭和の風情漂う都心のエアポケットとなっていたんです」東京タワーが小さく見える そこに住まう約300人の権利者をまとめ上げ、新たに生まれた約6万4千平方メートルの敷地には、三つの高層ビルが建つことになっている。前述した「日本一高いビル」がメインタワーで、地下から低層部分にはレストランなどのテナントの他、慶應大学病院の予防医療センターが入る。敷地内にはインターナショナルスクールも併設されるため、外国人対応の高級スーパーもオープン。中層部分には企業のオフィスが入居する。情報は一般に公開されず 本題はそこからさらに上の高層階の住居部分で、「アマンレジデンス東京」と名づけられているという。 先の不動産業者は、「アマンといえば1泊10万円は下らない世界的なラグジュアリーホテルですが、ハイクラスマンションも手がけています。レジデンスは全91戸で、フロア内には広さ1400平方メートルを誇る居住者専用のスパや、プロの調理師が要望に応じて料理を提供してくれるプライベート・ダイニングルームも完備されるとのことです」 至れり尽くせりの設備とサービスが用意されるようだが、当のアマンの公式ウェブサイトには、もっとも気になる各部屋の詳細な間取りや価格などの情報は一切記載がない。「情報を公開せず、一部の人にだけ伝える手法を『クローズド販売』といいます」 とは、住宅評論家の櫻井幸雄氏だ。「価格が高額になるほど購入できる人は限られるため、売る側としては広く周知するメリットはあまりない。むしろ“一般人には縁がない高額物件だ”と風評が立てばイメージも悪くなってしまいます。ならば、クローズド販売にした方が希少性も上がり、スムーズに売れるわけです」「安い部屋でも数十億円」 閉じられた雲の上の別世界に風穴を開けたのは、六本木や麻布界隈を遊び場にするエイベックスの松浦勝人会長だった。今年、自身の動画で件のレジデンスに触れ、“一番高いところで200億円ですよ”と口にして、ネット民たちの間でも話題となった。 さる不動産デベロッパーが明かすには、「アマンの最上階は1500平方メートルで、円安の影響で300億円近くに跳ね上がっている計算です。日本で過去に最も高額だった分譲マンションは約67億円。アマンは安い部屋でも数十億円と目されており、世界の大都市でも不動産価格が格段に安い日本では、類を見ない物件だと思いますよ」 ちなみに、世界で一番高いマンションとされる米・ニューヨーク「セントラルパークタワー」(131階建て、472メートル)のペントハウスが、約360億円で売り出されたとか。そんな超高額物件の購入者が気になるところだが、では麻布台には誰が住むのだろうか。「見学には行きました」「もはや在外公館や外資系企業などがオフィスを構えるために入居するレベルですが、実は日本の財界人が名乗りを上げているという話がありましてね。特にペントハウスでいえば、自社株の配当だけで購入可能ともいわれるソフトバンクグループの孫正義社長で決まったとささやかれています。ただ一方で、ZOZO創業者の前澤友作氏も狙っていて、実際に申し込みをして審査に通ったという話も業界内では流れている。他に63億円の部屋をサイバーエージェントの藤田晋社長が一時買おうとしていたと聞いたことがあります」(同) ならばと、まずは孫氏が率いるソフトバンクグループの広報担当者に確認してみたところ、「ご指摘されるような事実は全くありません。事実無根です」 前澤氏から期日までに回答は得られなかったが、藤田氏側は、「見学には行きましたが購入は見送ったとのことです」(サイバーエージェント全社広報室) と話すのだった。 右肩上がりの時代を象徴する東京タワーを睥睨(へいげい)するかのごとくそびえるビル。現下の閉塞の時代、そこに住まう者がいると想像すらつかないとは、なんとも切ない話である。「週刊新潮」2022年10月27日号 掲載
都心でも高所得者層が多く住むとされる東京・港区で、「日本一高いビル」が建設されているのをご存じだろうか。高さは330メートルで、来年3月に完成した暁には、大阪・天王寺の「あべのハルカス」(300メートル)を抜いて記録を更新する予定である。
“暫定日本一”となってしまった西の雄が最上階を展望台にして広く人々に開放しているのに対して、都心に建設中のこちら“未来の日本一”は、上層部が高級レジデンスで占められる。背の丈333メートルの東京タワーと同じ高さで景色を眺められると聞けば、選ばれし“雲の上の住民”だけが足を踏み入れられる空間の誕生に、誰しも興味が湧こう。
その最上階ペントハウスを根城にするのは誰なのか。水面下ではさまざまな富豪の名が取り沙汰されているが、仔細に触れる前に、このビルが作られた経緯をざっと振り返っておこう。
ビルは大手デベロッパーの森ビルが、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」と銘打ち1980年代末から再開発を計画してきた。
地元不動産業者が言う。
「今や都心の好立地でこれだけの規模の土地が更地で出ることはまずありません。南側は幹線道路の外苑東通りに面していて、外務省が主催するレセプションや国際会議などにも利用される飯倉公館、ロシア大使館などが立ち並ぶ。一帯は麻布台と呼ばれハイソな雰囲気が漂っていますが、かつては大通りから一歩入れば小さな商店や賃貸アパートなどが姿を現すような、昭和の風情漂う都心のエアポケットとなっていたんです」
そこに住まう約300人の権利者をまとめ上げ、新たに生まれた約6万4千平方メートルの敷地には、三つの高層ビルが建つことになっている。前述した「日本一高いビル」がメインタワーで、地下から低層部分にはレストランなどのテナントの他、慶應大学病院の予防医療センターが入る。敷地内にはインターナショナルスクールも併設されるため、外国人対応の高級スーパーもオープン。中層部分には企業のオフィスが入居する。
本題はそこからさらに上の高層階の住居部分で、「アマンレジデンス東京」と名づけられているという。
先の不動産業者は、
「アマンといえば1泊10万円は下らない世界的なラグジュアリーホテルですが、ハイクラスマンションも手がけています。レジデンスは全91戸で、フロア内には広さ1400平方メートルを誇る居住者専用のスパや、プロの調理師が要望に応じて料理を提供してくれるプライベート・ダイニングルームも完備されるとのことです」
至れり尽くせりの設備とサービスが用意されるようだが、当のアマンの公式ウェブサイトには、もっとも気になる各部屋の詳細な間取りや価格などの情報は一切記載がない。
「情報を公開せず、一部の人にだけ伝える手法を『クローズド販売』といいます」
とは、住宅評論家の櫻井幸雄氏だ。
「価格が高額になるほど購入できる人は限られるため、売る側としては広く周知するメリットはあまりない。むしろ“一般人には縁がない高額物件だ”と風評が立てばイメージも悪くなってしまいます。ならば、クローズド販売にした方が希少性も上がり、スムーズに売れるわけです」
閉じられた雲の上の別世界に風穴を開けたのは、六本木や麻布界隈を遊び場にするエイベックスの松浦勝人会長だった。今年、自身の動画で件のレジデンスに触れ、“一番高いところで200億円ですよ”と口にして、ネット民たちの間でも話題となった。
さる不動産デベロッパーが明かすには、
「アマンの最上階は1500平方メートルで、円安の影響で300億円近くに跳ね上がっている計算です。日本で過去に最も高額だった分譲マンションは約67億円。アマンは安い部屋でも数十億円と目されており、世界の大都市でも不動産価格が格段に安い日本では、類を見ない物件だと思いますよ」
ちなみに、世界で一番高いマンションとされる米・ニューヨーク「セントラルパークタワー」(131階建て、472メートル)のペントハウスが、約360億円で売り出されたとか。そんな超高額物件の購入者が気になるところだが、では麻布台には誰が住むのだろうか。
「もはや在外公館や外資系企業などがオフィスを構えるために入居するレベルですが、実は日本の財界人が名乗りを上げているという話がありましてね。特にペントハウスでいえば、自社株の配当だけで購入可能ともいわれるソフトバンクグループの孫正義社長で決まったとささやかれています。ただ一方で、ZOZO創業者の前澤友作氏も狙っていて、実際に申し込みをして審査に通ったという話も業界内では流れている。他に63億円の部屋をサイバーエージェントの藤田晋社長が一時買おうとしていたと聞いたことがあります」(同)
ならばと、まずは孫氏が率いるソフトバンクグループの広報担当者に確認してみたところ、
「ご指摘されるような事実は全くありません。事実無根です」
前澤氏から期日までに回答は得られなかったが、藤田氏側は、
「見学には行きましたが購入は見送ったとのことです」(サイバーエージェント全社広報室)
と話すのだった。
右肩上がりの時代を象徴する東京タワーを睥睨(へいげい)するかのごとくそびえるビル。現下の閉塞の時代、そこに住まう者がいると想像すらつかないとは、なんとも切ない話である。
「週刊新潮」2022年10月27日号 掲載

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