実はAIの専門家だった“セーラー服おじさん”が語る学校教育の未来「学校で教える科目は体育だけになる」「大学入試問題が解ける小学生も出る」

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印刷会社で35年間、ソフトウェアエンジニアとして勤務する「セーラー服おじさん」こと小林秀章(こばやし・ひであき)さん(61)。SNSで「見かけたら幸せになる」と話題になり、「月曜から夜ふかし」や「行列のできる法律相談所」(ともに日本テレビ)といったテレビ番組をはじめ、さまざまなメディアに取り上げられてきた。そんな小林さんは現在、自治体のイベントでAIについてレクチャーを行うなど、「AIエバンジェリスト」としての一面も持つ。インタビュー後編では、セーラー服おじさんに「AI化が進んだ未来の学校」を予想してもらった。
超レア!? “セーラー服おじさん”の出勤時の服装
今年7月にスタートしたHey! Say! JUMPの山田涼介(やまだ・りょうすけ)が主演を務めるフジテレビ系ドラマ「ビリオン×スクール」。同作は、“ビリオネア(億万長者)”の主人公が高精度な「AI教師」を開発するため、身分を隠して教師となり、生徒とともに成長していく姿を描く学園コメディーだ。同作で山田涼介が演じる主人公・加賀美零(かがみ・れい)は、将来的にAIが教師に成り代わると考えている。加賀美は超高精度動的教育用AIプログラム「ティーチ」の力を借りながら、学園のさまざまな問題を解決に導いていく。
そこで今回、自治体のイベントでAIについてレクチャーを行うなど、「AIエバンジェリスト」として活動する“セーラー服おじさん”こと小林秀章さんに、「AI化が進んだ未来の学校」について語ってもらった。
*****************—-将来的にAIが教師に成り代わることは、現実的にありえるのでしょうか?小林秀章さん(以下、同) ありえますよ。AIって、ものすごくたくさんの知識を与えられ学習しているので、ほぼ何でも知っているんです。この前、医学部の難しい入試問題を解かせてみたら、しっかりと正解していました。あと、AIは情報を上手に要約してまとめることができるので、「教える」ということにも長けています。その知識量やまとめ方は、現段階でもかなり高いレベルまできているんです。
今後「ハルシネーション」(AIが誤った情報を生成してしまうこと)さえ解決できれば、教育機関における学科の指導は、AIが行うことになると思います。おそらく、学校で教える科目は体育だけになり、生徒は体育の授業を受けるためだけに学校に行くようになると私は予想しています。あるいは、学校全体が漫画喫茶の個室のようになり、体育以外の教科は AIの個別指導の下で自習する場になっているかもしれませんね。
—-“AI教師”には、どんなメリットがあるのでしょうか?もし将来的に“AI教師”が生徒一人ひとりに割り当てられたら、それぞれの理解度に応じて、一番いい方法で教えることができるようになります。そうすると、理解できた生徒はどんどん先に学習を進められるので、「小学生なのに、大学入試問題が解ける」という子が出てくるかもしれないです。そもそも、1つのクラスの中にはさまざまな理解度の子が存在していますよね。だから、1人の先生がクラス全員に対して同じように教えるなんて、無理があるんですよ。その点、AIで個別指導を行えば、「早く問題が解けて授業に退屈している子がいる一方で、問題がわからず、授業についていけていない子がいる」というような教育現場の問題を解決することもできます。
—-今後、AI化が進むかもしれない教育の現場において、“人間にしか教えられないこと”は何だと思いますか?それは、生徒の心の悩みを解消したり、やる気を出させたり、生きる意味を見出してあげたりすることだと思います。AIが勉強を教えるようになった場合、社会に適応するための方法や人としての生き方を教えることに、人間の先生の価値が置かれるようになるのではないでしょうか。
—-ふだん、生成AIでセーラー服を題材にした作品を制作することはありますか?AIは公序良俗に反する画像が作成できないため、以前は何度挑戦してもセーラー服おじさんの絵は描いてくれなかったんです。でも、最近は技術が進歩して、かなり実物に近づいてきたと思います。今後、セーラー服おじさんを題材にした小説をAIに書かせるのもおもしろそうだと思っています。先日も、新潟県長岡市の「ミライエ長岡」という施設の1周年記念イベントで、AIと会話しながら小説を作る「セーラー服おじさんの超AI小説研究所」を開催しました。今の技術だと、文学性があるおもしろい小説をAIが書くのは、まだ難しい。でも、AIの技術は急速に進歩してきています。そのため、これから先「AGI」(汎用人工知能。人間と同程度の知能を持つAIのこと)ができたら、文学賞を取るレベルの作品を書くこともありえると思います。
—-小林さんは海外メディアにも出演されたことがあるとのことですが、英語が堪能なのでしょうか?英語はインターネット上で海外の方とやりとりするのに必要だったので勉強しました。TOEICは970点、英検は1級をとったことがあります。海外メディアに英語で取材されることもあるのですが、AIに関してではなく、ふだんの生活ぶりや趣味についてインタビューされることが多いです。あと、タイのSNSでも私の画像が拡散されているみたいで、何度かタイのイベントに出演したことがあります。タイの地下鉄の通路にある、日本をテーマにした壁画とか、いくつかの場所で私の絵が無許可で描かれています。ハローキティの横に私の絵が描かれているものもあるみたいです。

何でタイにセーラー服おじさん(おじいさん)がトイレットペーパーの販売機のイラストに… pic.twitter.com/8FQ998stXH

セーラー服おじさんは、タイでも有名なのか! pic.twitter.com/Iba54qtyND

タイにセーラー服おじさん pic.twitter.com/zD2US1GFv3

—-今年で62歳になる小林さんですが、今後の目標や夢はありますか?今のところ、肉体的にもメンタル的にもまったく衰えを感じていないので、定年後も働き続けたいと思っています。現在の定年は65歳ですが、私がその歳になるころには、70歳くらいまでに延長されているんじゃないかなぁと思います。そう考えると、定年は当分、来ないような気がしますね。あと、現在勤めている会社を定年退職したあとも、「AIエバンジェリスト」として、講演会などを通して多くの人にAIの魅力や可能性を伝えていきたいです。取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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