【鈴木 まり】「処女のまま子どもを出産しました」…セックス恐怖症の30代女性が「結婚と妊娠」を実現した「驚きの理由」

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「ご報告したいことがあります!無事、女の子を出産しました。母子ともに健康です」よくある出産の報告かと思いきや、次の言葉に一瞬耳を疑った。
「ちなみに、やっぱりセックスはできず、私は処女のままです!」
この“マリア現象”を実現したのは、「セックスはできないけど、子どもは欲しい」と、数年前に筆者のもとに相談に訪れた西宮さん(仮名・37歳)だ。
西宮さんは、中学1年生で初恋を経験。いかにも思春期らしく、性的な興味も湧いた。しかし、中学2年生のときに保健体育の授業で見た、男性のモノが女性の身体に入ってくる映像があまりにショッキングで、冷や汗をかいて卒倒するほどの恐怖心が芽生えたという。
西宮さんは姉との二人姉妹。それまで一度も親から性教育を受けたことはなく、赤ちゃんが膣から生まれてくるということもこの授業で初めて知った。
「思春期の頃によくあるガールズトークですが、セックスを経験したという友だちの話も正直怖かったんです。処女を捨てる時の痛みとか、聞けば聞くほど恐怖でしかなかったです」
当時の性教育は、妊娠の構造や避妊など機能的な内容だけで、相手への思いやりや自分の身体を大切にする方法を説いたものがなく、西宮さんは恐怖心を払拭することができずに思春期を過ごすだけだった。
そこへさらに、恐怖症から抜け出せなくなった出来事が重なる。
20歳になった西宮さんは恋人ができ、初めてのお泊りデートをすることになった。
夕方、ホテルにチェックインを済ませ、食事を終えると夜には当然、体を重ねる流れになる。お互い順番にシャワーを浴び、いざベッドインというときに、西宮さんは急に恐怖心に襲われた。中2の頃に見た性教育の映像がフラッシュバックし、「身体が傷ついてしまうのでは?」と怖くなって、彼氏を受け入れられなかったのだ。
ほどなくしてその彼とは別れ、その後も幾度か恋愛を繰り返したが、交際相手を最後まで受け入れることができず破局を重ねた。この経験がより性行為への恐怖心を増幅させ、トラウマを植え付けていくことになった。
「どうしても、他人が自分の中に入ってくるのが怖かった。相手を好きになって恋愛に発展して、そこから先にはもちろん興味はあるのだけれど、どうしても無理。でも変な話、自分ではできるんですけどね」
性欲がないわけではないが、他人の“異物”が入ってくると思うと、怖くてしかたないのだ。
やがてそれは別れの原因になる。体の関係なくして恋愛が成り立たないのであれば、もう諦めてしまったほうがいいのかもしれない。それまで恐怖心を理解してくれた相手は現れず、むしろそのことで逆に男性を傷つけていたかもしれない。
これ以上傷つきたくないと揺れる20歳の西宮さんのもとに、一筋の光が差す。
趣味であるロックバンドの推し活で、西宮さんはある男性と出会った。彼は西宮さんより2歳年下。すぐに意気投合し、連絡先を交換した。
共通する趣味の話で盛り上がるうち、徐々に仕事の悩みや性的な恐怖症のこと、今付き合っている彼氏の話など、何でもありのままに話せる仲になっていった。彼も将来の夢、家族や子どもを持つことへの憧れなど、西宮さんには何でも話をしてくれた。
大親友となった二人には、もちろん恋心が芽生える瞬間もあった。しかし、西宮さんに恋人がいるタイミングであったり、またその逆で、西宮さんが告白しても成就しなかったりと、すれ違いの大親友の関係は7年間続いた。
「とにかく、何でも話せた相手です。『今回の彼ともダメだった』なんて話までしていました。私の恐怖症の話にも、気持ちを寄せてくれた。この人となら一生一緒にいられるなと思っていた大切な友だちです」
そんな中、彼のほうから西宮さんに再度交際の申し出がきた。西宮さんとのタイミングがようやく合い、7年かけて2人は大親友から恋人同士になった。
「何でも話せる相手でしたし、彼は私の恐怖症についても理解がありました。でもやっぱり付き合った“先”のことを考えると、不安は大きくなるばかりでした」と、西宮さんは振り返る。
だが、彼は今までの恋人とは異なり、「プレッシャーに感じないで」と何度も言ってくれていた。西宮さんも少しずつ彼と身体を寄せていけるようになり、前戯まではなんとか頑張ることができた。「セックスがないからつながりが途切れる、という関係ではない」という彼の一言は大きかったという。
3年間の交際を経て西宮さんが30歳を迎えた頃に、彼からプロポーズがあった。
「彼が突然、預金通帳を持ってきて『これだけしかない男ですが、よかったら結婚してください』と、プロポーズしてくれました」
彼以上に西宮さんを理解してくれる男性はいない。断る理由はなかった。
「交際期間だけでなく、友人関係も長かったのでわかってもらえたと思います。彼と出会う前は、結婚も子どもも諦めていました」
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後編『「性行為はできないけど赤ちゃんは欲しい」…処女のまま子どもを出産した女性「驚きの妊活術」』では、西宮さんの“マリア現象”を実現した「衝撃の妊活法」を紹介する。
「性行為はできないけど赤ちゃんは欲しい」…生娘のまま子どもを出産した30代女性「まさかの妊活術」

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