むくみスッキリ「梅雨太り」に効くスイカの食べ方

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「梅雨太り」の原因と、体にたまった不要な水分を排出する、スイカの食べ方をご紹介しましょう(写真:dorry/PIXTA)
ジメジメとした日が続く梅雨の時期。 暑さも加わって不快な日が多くなっています。この時期に注意しておきたいのが、「梅雨太り」です。
筆者のもとにも、食生活や運動量は変わっていないはずなのに、なんだか太った気がする、露出の多いファッションが多くなる夏に備えダイエットしたい……という相談が増えます。
その原因には気候が関係している可能性があり、やみくもに食事制限や激しい運動をしても、梅雨太りはなかなか解消しません。
では、なぜ梅雨になると太りやすくなるのか。その理由と対策をお伝えします。
梅雨になると太りやすいのは、この時期は気圧や湿度の関係で、体内に水分がたまりやすくなるからです。
梅雨と聞いて思い浮かべるのが、ジメジメの原因である湿気です。梅雨太りも、主にこの湿気が原因です。
体に影響を与えるような湿気を、漢方では「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。湿邪が体の表面をピッタリと覆うような状態では、汗がかきにくくなります。結果的にたまった老廃物が排出されにくくなり、むくみを引き起こしやすいのです。
そして、むくんで体内に不要な水分がたまると、冷えやすくもなります。冷えると基礎代謝が低下し、脂肪がつきやすくなります。
このようにして梅雨太りが起こると考えられます。
さらに今年の特徴として、「梅雨冷え」と呼ばれる気温が低い日がほとんどなく、夏のような暑さが続いています。これも問題です。
暑いと冬のように体温を上げる必要がないので、基礎代謝が落ちます。つまり、エネルギーをあまり使わない“省エネ型の体”になっていきます。暑い時期に食欲がなくなるのは、下がった基礎代謝量に合わせて食欲を減らし、食べる量を減らそうとしている自然な反応なのです。
基礎代謝が落ちた状態で、これまで通り食べてしまうと、カロリーオーバーになってしまいます。夏は栄養の摂り方に気をつけないと、実は太りやすい時期でもあるのです。
この時期は、湿に熱が加わった「湿熱(しつねつ)」が体にこもりやすい状態にもなっています。湿熱はべっとりと体内にこびりついている油のようなもので、体から排出されにくいのです。
特にこの時期に注意しなければならないのは、むくみやすい人です。
湿邪は下半身にたまりやすい性質を持ちます。ポタポタと水が垂れるイメージです。もともと下半身太りの人は、湿がたまりやすい体質であるといえます。
もともとむくみがちな人は、冷えてさらに代謝が下がって水太りの状態になっているので、太る原因が3つ(梅雨太り、夏太り、水太り)重なっているということになります。
このように「梅雨太りが起こるメカニズム」から考えると、これを解消するには、「体内にたまった湿邪(余分な水分や老廃物)を体外へ排出させること」と「基礎代謝を上げること」の2つが重要だとおわかりいただけたかと思います。
いずれの原因でも、今の時期は余計な塩分や水分を排出させる働きである「利水(りすい)作用」のある食品を積極的に摂るようにしましょう。夏野菜や夏が旬の果物には利水作用を持つものが多いので、積極的に取り入れたいものです。
ただし、冷やして摂ると代謝がさらに下がり逆効果です。特に水太りの方はご注意ください。
では、どんな食材がよいかというと、薬効の大きな食材の1つは「スイカの皮」です。スイカの皮といっても一番外側の硬い部分ではなく、赤い実との間にある白いところです。
この部分は昔から「西瓜翠衣(せいかすいい)」という生薬で、むくみ解消や利尿作用、清熱(熱を冷ます)、解毒、口渇(口の渇き)を抑えるなどを目的に用いられてきました。
また、スイカにはアミノ酸の一種、シトルリンが多く含まれていますが、皮には赤い実の部分の2倍もの量が含まれていることがわかっています。
シトルリンは動脈のしなやかさを保ち、血流を改善する働きがあります。暑い時期は心(心臓や循環器全般)に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患が発症しやすくなります。これらの病気を予防するためにも、スイカの皮を有効活用していただきたいです。
スイカの皮には、ほかにもうれしい健康効果があります。
その1つは、脳内物質の一種で、“幸せホルモン”といわれるセロトニンの分泌を促進する成分が豊富に含まれているということ。セロトニンは“睡眠ホルモン”であるメラトニンの材料になる成分ですので、ジメジメ暑くて眠りが浅い、すぐ起きてしまうという方は、睡眠の質を高める効果があるスイカの皮をぜひ活用ください。
気になる食べ方ですが、スイカの皮は薄く切って、味噌汁の具やサラダに入れるとおいしく食べられます。
薄切りにして塩を少量まぶしてジッパー付きの保存袋に入れて冷蔵しておくと、青臭さが抜けて食べやすくなります。大量にあるときは、保存袋に入れたまま冷凍しておくのがおすすめです。
豚肉との相性もよいので、炒め物にしてもいいでしょう。
ふだん私たちが食べている赤い果肉よりも薬効が大きいので、これからは捨てずに活用していただきたいと思います。
水分の排出を促してくれるお茶を飲むのもおすすめです。
なかでもとうもろこしのひげは、「南蛮毛(なんばんげ)」という生薬でもあり、薬効の強い食材の1つです。韓国料理の店などでもよく出されますよね。
スーパーなどで皮付きのとうもろこしを買ったときは、ひげの部分を捨てずに乾燥させ、煮出してお茶にするといいでしょう。近年では、スーパーやコンビニなどでペットボトル入りのとうもろこし茶が市販されていますが、選ぶ際はひげが含まれているタイプのものにしましょう。
そして繰り返しになりますが、体を冷やさないために、ホットや常温で飲むようにしてくださいね。
湿邪の大敵は運動不足です。
下半身にたまりやすい湿邪を排出するためには、特にふくらはぎを鍛えるのが有効です。「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの筋肉には、むくみの原因となる足先の滞った血液やリンパ液を体幹部に向かって送り出す「筋ポンプ作用」という働きがあるからです。
ふくらはぎの筋肉量が落ちると、それに伴い筋ポンプ作用も低下してしまいます。すると、ますます血液やリンパ液の流れが悪くなり、むくみやすくなってしまいます。
ふくらはぎを動かすにはウォーキングがよいのですが、梅雨の季節だと雨が多く、なかなか歩く習慣がつきづらいものです。そんなときにおすすめしたいのが、室内でできるエクササイズです。
かかとを床につけて、爪先をできる限り上げるというエクササイズを5~10秒。これを気がついたときに繰り返します。反対に、爪先を床につけて、かかとを持ち上げるエクササイズでもいいでしょう(こちらも1回5~10秒を、1日何度か繰り返します)。
かかとの上げ下げエクササイズ(イラスト:にしやひさ/PIXTA)
エクササイズは立って行ったほうが運動強度は高いですが、いすに座っていてもできるので、仕事をしながら、あるいはテレビを観ながら、やってみましょう。電車やバスの中、信号待ちなどで立っている場合は、爪先立ちをしてみましょう(手すりなどにつかまった状態で、転ばないように注意)。こまめにやるのがポイントです。
室内の大掃除もおすすめです。
大掃除というと冬を思い浮かべますが、寒い中で水を使うのは、冷えて腰痛などの原因にもなりやすいです。梅雨から夏にかけての気温の高い時期は、汚れも浮いて取りやすく、水を使うのも気持ちがよいもの。
普段掃除の行き届かないところを拭いたり、磨いたりすることで、ちょっとした運動にもなりますし、家もキレイになるので気持ちもスッキリします。エアコンの利いた室内なら熱中症の心配もありません。
今回は、梅雨太りの原因とその対処法についてお伝えしました。
ジメジメした梅雨の時期は、外出したり運動を避けたくなったりしがちですが、動かないと、ますます体内に水分をため込んでしまいます。まずはできることから習慣化して、梅雨太り知らずの体になっていきましょう。
(平地 治美 : 薬剤師、鍼灸師。 和光鍼灸治療院・漢方薬局代表)

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