9月22日に始まった自民党総裁選は、10月4日に投開票が行われ、新総裁が決まる。5人の候補者は、連日メディアなどが主催する討論会に出席し、自らの主張を展開している。
また、各種世論調査の結果も公表され、事前の予測合戦もたけなわとなっている。今回の総裁選のポイントは何か。政策、野党と連携など、論点は多々ある。
日経新聞の世論調査(9月26~28日)では、「次の総裁にふさわしい人」は、高市早苗前経済安全保障相(64歳)が34%で1位、2位は小泉進次郎農相(44歳)で25%、3位は林芳正官房長官(64歳)で14%、4位は茂木充前幹事長(69歳)で5%、5位は小林鷹之元経済安全保障相(50歳)で4%である。
自民党支持層に限定すると、小泉が1位で33%、高市が2位で28%、3位は林で20%、4位は茂木で6%、5位は小林で3%である。
無党派層では、1位が高市で29%、2位が小泉で27%、3位が林で8%、4位が小林で5%、5位が茂木で5%である。
世代別では、高市が、30台以下の若い世代で5割を獲得して1位で、4代、50代でも4割とトップである。60歳以上では、小泉が3割でトップ。
男女別では、男性は高市が4割弱でトップ、女性では、高市と小泉が3割弱で競り合っている。
読売新聞が自民党支持者を対象として実施した世論調査(9月27,28日)では、支持率は、1位が小泉40%、2位が高市25%、3位が林で16%、4位が小林で5%、5位が茂木で4%である。このうち党員・党友と回答した519人では、小泉41%、高市28%、林13%、小林8%、茂木4%であった。
この結果を基にして試算すると、小泉120票、高市75票、林48票、小林14票、茂木11票となる。
自民党国会議員の支持動向は、1位が小泉で71人、2位が林で52人、3位が高市で38人、4位が小林と茂木で29人、未定・未回答が76人となっている。
党員票と議員票を合計すると、小泉191票、高市113票、林100票、小林43票、茂木40票である。
以上の結果を見ると、高市と小泉がトップ争いをしており、いずれも過半数を獲得できないので、決選投票となり、この二人の対決となる可能性が高い。
小泉の陣営が、小泉を称賛したり、他候補を中傷したりするコメントの投稿依頼を行ったことが、「ステマ(ステルスマーケティング)」として批判されている。この問題が、小泉に不利に働く可能性は否定できない。
また、林芳正への支持が高まっていることも注目に値する。
今回の総裁選の特色は、衆参両院とも自民党と公明党の連立政権が少数与党に転落していることである。つまり、何らかの形で野党の協力を得なければ、政治が前に進まない状況になっているということである。
したがって、次期総裁は首相になって政権を担おうとするならば、どの野党と連携するのか、またその連携がどのようなものとなるのかを明らかにしなければならない。
野党が大同団結すれば、野党への政権交代となるが、その可能性は皆無である。元々は民主党という一つの政党であった立憲民主党と国民民主党という二つの政党すら再統合できないのが現実である。
【つづきを読む】『自民党の優位性が崩壊した日本で「解決すべき政策課題」とは…新たな政治の枠組み構築が必要な時代に』
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