自民党は参院選の敗因を総括した報告書を取りまとめ、両院議員総会で公表しました。その後、森山幹事長など党四役は一斉に辞意を表明し、石破総理は党の再生に向け、かじ取りが一層困難な状況になってきています。
【写真で見る】「しかるべき時って…いつやねん」 自民党・中堅議員からの声
石破総理の進退に関する発言はあるのか、注目される中開かれた自民党の両院議員総会。冒頭、参議院選挙の敗北について、こう話しました。
石破総理「ある意味で、石破らしさというものを失ってしまった」「国民の皆様方の期待に応えることができなかったこと、同志の方々を多く失ったこと、それはひとえに私の責任であります。心から深く深くお詫び申し上げます」
深く頭を下げ、陳謝した石破総理。特に強調したのが、この言葉でした。
石破総理「総裁たる私の責任」「私の責任であり…」「すべて私の責任」「ひとえに私の責任」
しかし、参議院選挙を総括した報告書には、「石破内閣の支持率低迷により、党の体力が低下した」という文言はあるものの、総理個人の責任については記載されませんでした。
石破おろしの声もあがる中、進退については…
石破総理「地位に恋々とするものでは全くございません。しがみつくつもりも全くございません」「自由民主党として道筋を示す。責任から逃れることなく、しかるべき時にきちんとした決断をするということが私が果たすべき責務」
こう話し、時期については言及しませんでした。
一方、自民党執行部は、2日に決断しました。
自民党・森山裕幹事長「選挙結果の責任を取るべく、幹事長の職を退任させて頂きたいと思います。私の進退につきましては、任命権者である石破総裁にお預けいたします」
森山幹事長、小野寺政調会長、鈴木総務会長。“党運営の要”である三役が、一斉に辞意を表明。さらに木原選対委員長も続き、党四役が異例の“ドミノ辞意”となりました。
森山幹事長の進退を“預かった”石破総理は…
石破総理「森山幹事長がいろんな場で、党内あるいは各党との交渉、取りまとめ、辛くて厳しいことをやっていただいた。本当にその労はどんなに言葉を尽くしても、足りることはないし、余人を持って代えがたい方だと今でも思っております」
自身の進退についても、記者から質問が相次ぎました。
ーー「しかるべき時期」というのは大体どれくらいの期間なのか、任期満了までなのか
石破総理「それは、しかるべき時期で」
党内からは…
自民党・中堅議員「しかるべき時って…いつやねん」
議員らはこのあと、総裁選の前倒しの是非を判断することになります。
前倒しに賛成する議員は、8日に署名・捺印した書面を直接、党本部に提出する必要があり、氏名も公表されます。
“ポスト石破”の面々は…
自民党・小林鷹之衆院議員「2回の国政選挙の大敗について、総理・総裁から責任の取り方について、署名の提出の時期までになんら変更がない場合には署名する」
ーー(総裁選前倒し)自身はどのように判断されたか
高市早苗 前経済安保担当大臣「それは心にとっくに決めております」
中には、石破総理の発言を聞いて、心境に変化があったという議員もいました。
自民党寺田稔衆院議員「石破総裁からも『しかるべき時期に』という発言もありましたので、あえてこの政局に持ち込むようなやり方はよくないと思います」
ーー総裁選は前倒しすべきでないと「今の発言を聞いて、そちらの方に傾いている」
記者「両院総会が終わった直後ですが、中堅議員が今後の対応について協議を行います」
総会後、さっそく会合を開く中堅・若手の議員の姿も。
新局面を迎えた“石破おろし”の行方は一体どうなるのでしょうか?
小川彩佳キャスター:2日の参院選の総括を受けて、石破おろしの動きはどうなっていくのでしょうか。
藤森祥平キャスター:この番組では星さんの取材で、「石破総理の2日の挨拶の中で、辞任を示唆する文言が入るのではないか」ということでしたが、実際はこう言いました。
「地位にしがみつくつもりは全くない。しかるべき時にきちんとした決断をする」
これは、辞任をほのめかしていることになるのでしょうか。
TBS報道局政治部中島哲平記者:判断が難しいところですが、石破総理は普段から、地位に恋々としがみつくものではない、総理大臣を長くやりたいわけではない、やるべきことがあるからやっているという話をしています。そういう意味では、「しがみつくわけではない」というのは、普段から言っていることで、辞任を示唆したということではないと思います。
藤森キャスター:取り方によっては、続投宣言のようにも聞こえるかもしれない。
小川キャスター:受け止め方によっては辞任を示唆したともとれる、玉虫色の発言だったということですね。
TBS報道局政治部中島記者:辞任を示唆したので、“石破降ろし”の動きを少し弱めても良いのではないかと感じてる議員もいるので、そういう意味で石破総理の狙い通りの会になったと思います。
小川キャスター:石破総理としては勝負の日だったわけですよね。これで「納得感を得られた」という手応えは感じているのでしょうか。
TBS報道局政治部中島記者:両院議員総会は、かなり荒れるのではないかと見られていましたが、3時間の長丁場にはなったものの、会自体は大きく荒れることもなく終わりました。石破総理もかなり準備して臨んだということもあり、ある程度、手応えを感じた会になったと思います。
小川キャスター:相当、準備はされていたんですね。真山さんはいかがですか。
小説家真山仁さん:政治は、一寸先は闇なのでわかりませんが、簡単には辞めないと思います。普通こういった風が吹いてくると、支持率がどんどん下がっていって「早く総理辞めろ」という声が大きくなり、「辞めない」と言った人が1~2か月後に辞めていくというパターンでしたが、今回は逆なんですよね。
しかも、派閥もなくなって今の自民党は全ての常識が逆になってしまっています。石破総理は、様子を見ている気がします。最後は、「国民の皆様がこれだけ私を支持しているのに、あなたたちは辞めさせるのか」と、考えるのが当然ではないでしょうか。そういう意味では、自民党・政党として体をなしているのかという疑問もあります。
藤森キャスター:今回の会合で、執行部の責任として森山幹事長が辞任の意向を表明しました。石破総理に進退を預けたという形です。
森山幹事長、鈴木総務会長、小野寺政調会長、木原選対委員長が、相次いで辞意を表明しました。総理は、この状況をどうしようとしているのでしょうか。
TBS報道局政治部中島哲平記者:このメンバーを引き留めるというのは正直難しい状況です。森山幹事長に関しては、石破総理も「余人に代えがたい」と言ってますし、周辺に対して「一心同体で政権運営を行ってきた」と話しています。
森山幹事長に代わる、野党とのパイプがあり、政治手腕を発揮できる。そして、石破総理のことを裏切らない力を持った議員が周りにいないので、森山幹事長には続けてもらいたいというのが本音だと思います。
藤森キャスター:8日に総裁選実施の意思確認をする日がやってきます。過半数の賛成が集まるかどうか。“石破おろし”のゆくえはどうなるのでしょうか。
TBS報道局政治部中島哲平記者:早速、中堅・若手議員などが前倒しをする票の取りまとめに向けて動いていたり、高市前経済安全保障担当大臣を支持するグループが集まっています。ただ、石破総理の話を聞いて、少し勢いが弱くなった面もあるとは思います。
これは、8日に提出が求められている総裁選の前倒しを求めるかどうかの意思確認の紙です。提出が、8日の午前10時~午後3時までの限られた時間で、議員本人が提出しなければならないというハードルの高い条件になっています。世論から反発も受けて、それでも提出することができるのかという議員の心理に影響を与えると思います。
小川キャスター:党内政局が、長引けば長引くほど国民との溝はどんどん深まっていくように感じます。
小説家真山さん:日本で待ったなしのことはたくさんあり、関税もどうなるかわからなくなってきました。
そもそも、参議院選挙の総括であり反省であるはずです。それなのに、政治が止まってしまっているのは、どこで反省しているのでしょうか。また、国民から選挙で負けた理由は「総理のせいじゃない」という声が上がっているように感じますが、総理を引きずり下ろそうとしている自民党は、誰に対して政治をやっているのか。とりあえず総裁を変えて「新総裁で衆議院選挙やろうよ」というのは通用しないと思いますね。
==========<プロフィール>真山仁さん小説家2004年「ハゲタカ」でデビュー最新著書に「アラート」TBS報道局政治部中島哲平TBS報道局政治部官邸キャップ過去に石破氏のドキュメンタリー映画制作