CBD(カンナビジオール)サプリメント購入をめぐってサントリーホールディングスの会長を辞任した新浪剛史氏が3日に都内の経済同友会の会見に出席し、「私は法を犯しておらず潔白であると思っております」と訴えた。サプリは「時差ボケ対策」で、米国で購入したのは「圧倒的に安いから」との主張に大企業の会長を務めた人物らしからぬとツッコミが入っている。
新浪氏は冒頭、「深く反省をしております。申し訳ございません」と謝罪した。その上で適法な商品だという認識で米国でCBDサプリを購入したとし、結果的に同サプリを手にしていないとも主張。「私は法を犯しておらず潔白であると思っております」と訴えた。サントリーHD会長は辞任したが、経済同友会の代表幹事はすぐに辞任ではなく当面の間、活動自粛すると明かした。
CBDサプリは海外出張先のニューヨークにいる知人に勧められた。4月に自身で購入し持ち帰るつもりだったが、「知人は著名な方で体や健康のアドバイスをする方。(知人が)日本に持ち帰り、(私の)自宅に送る手配をしたと聞いております」。ところが、この時のサプリは新浪氏の元には届かなかった。新浪氏が海外出張のときに、送り主が分からない物が自宅に届いたら廃棄すると家族と取り決めており、おそらく家族により廃棄されたという。
2回目のサプリが問題だった。先月、知人が知人の弟に「新浪氏の自宅に送るように」と依頼。しかし、弟が逮捕されたことで、捜査が新浪氏にも迫るかもしれないという状況になったのだ。
「この2回目の郵送が想定外で私はその方から知らされておらず、私が購入したサプリメントかも分からない。私の自宅に送るように依頼していたから私の自宅に捜査があったと認識しています」
サントリーはサプリを商品として取り扱っている。CBDは大麻草由来の医薬品で日本でも規制緩和されている。一方でTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分は幻覚作用があり日本では違法。問題は海外のCBDサプリにTHCが混ざっている可能性がある点だ。現に福岡県警は新浪氏が購入したとの疑惑のあるサプリからTHCを検出したという報道もある。
そもそもなぜCBDサプリを必要としたのか。また、日本にも同様の商品があるのであれば米国で購入する必要はないはずだ。新浪氏は「出張が多くて時差ボケも多い。私の健康を守っていただいている知人から勧められた。日本より圧倒的に米国の方が安いという経済的理由です」と説明。「睡眠を取るうえで非常に役立つ」とも話した。
時差ボケ対策と圧倒的に安いからという理由にSNSでは「大富豪はドケチだと言うのは事実なのかも」「一般社員ならまだしもメーカーの経営者が言う発言ではない」「CBDを時差ボケ対策にするってはじめて聞いたけど」とツッコミが寄せられている。
日本でも大手メーカーからCBDサプリが発売されている。1粒50円ほどで、決して高価なものではない。だからこそ経済界の大物が「経済的理由」としたことに、SNSでは首をかしげる意見も多い。
そもそもCBDサプリは時差ボケ対策になるのか。大麻が合法化されたタイを取材したジャーナリストは「時差ボケに効くとは聞いたことないですが認知症には効くという話はあります。いずれにせよほかにも薬の選択肢があるとは思いますが…」と指摘した。
新浪氏は志半ばの会長辞任について、「もっとやりたかったがタネはまいてきた。そこに意思を持った人がいますから、その人たちがタネを最終的に大きな木に花が開くようにやっていってもらいたいと強く思う」と語り、サントリー愛を強調した。