記者会見に臨む京都大iPS細胞研究所の井上治久副所長(左から2人目)ら=3日午前、京都市左京区
京都大iPS細胞研究所と東和薬品(大阪府門真市)は3日、家族性アルツハイマー病の治療を目指し、パーキンソン病の既存薬を使った最終段階の臨床試験(治験)を5月から始めたと発表した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)によって有効な薬を探す「iPS創薬」により、パーキンソン病の薬を家族性アルツハイマー病の治療薬候補として特定した。
今回の治験は東和薬品が主導し、同研究所の井上治久副所長らが協力。井上副所長によると「iPS創薬」で最終段階の治験まで進んだのは初めてで、できるだけ早く承認申請を目指したいとの意向を示した。
治験は2028年3月まで三重大病院を含む複数の医療機関で実施する。対象は特定の遺伝子に変異を持つ家族性アルツハイマー病の患者で、目標症例は24人。パーキンソン病の治療で使われる「ブロモクリプチン」を飲むグループと偽薬を飲むグループに分け、有効性などを評価する。
ブロモクリプチンを約1年間にわたり投与し、長期の安全性も検討。確認できれば治療の選択肢が広がると期待される。