選択的夫婦別姓法案を審議する衆院法務委員会が10日、衆院で開かれ、作家の竹田恒泰氏やサニーサイドアップグループ代表取締役社長の次原悦子氏らが参考人に招致され、白熱した議論が展開された。
選択的夫婦別姓の法案は立憲、国民民主、維新がそれぞれ提出した。今国会で成立するメドは立っていないが、約28年ぶりに国会審議の対象となり、この日は参考人5人が意見を述べた。
竹田氏は夫婦別姓導入に反対の立場で、旧姓使用に法的効力を与える法案を提出した維新案に賛同の意を示し、「夫婦別姓が導入されれば、少子化が加速する。結婚はいろいろ合意しなくてはいけないが、同姓か別姓の選択肢が増え、なんとか別姓で同意しても子どもの姓はどうするのかとなる。別姓がいいという女性は自分の子どもは夫の姓でいいとはならないでしょう」と指摘した。
さらにアニメ「サザエさん」に夫婦別姓が導入された場合を挙げ、「磯野波平、石田フネ、子どもは石田カツオ、石田ワカメ、石田サザエ、(サザエの夫の)フグ田マスオ、フグ田タラオとなって、表札もかけられないし、磯野一家とも言えない。お墓もつくれない。伝統的な家族観を守るのか守らないかが問われている」と述べた。
「饒舌な竹田先生の発言の後でやりづらいが…」と笑いを誘ったのは、経団連審議員会副議長で、ダイバーシティ推進委員長を務める次原氏だ。経団連は夫婦別姓に推進の立場で、次原氏は「ビジネス上使い続けてきた名前と戸籍名が違うことでの不都合、不利益を長年感じてきた一人」と話し、会社立ち上げ時に祖父母の次原姓を名乗ったことや上場時に「申請は戸籍名しか認めないという制度の壁に直面し、このタイミングで離婚を選んだ」とプライベートな身の上話を披露した。
「通称使用が大幅に拡大したが、今でもいくつかの小さな不便に直面している。企業活動にも影響する。氏名は自分自身を表すもの。そこに思いのある人には姓が変わることでのアイデンティティーの損失は拭うことはできない。党派を超えた建設的議論を」と訴えた。

竹田氏は夫婦別姓問題でテレビやネット討論も重ねているとあって、「維新案でどんな困りごとがあるかという話で、(推進派の)お三方は具体的なことは誰も言わない」とけん制。さらに皇室制度にも話が及び、「選択的夫婦別姓を賛成する方はほぼ例外なく女性天皇、女系天皇を主張する。皇室に選択的夫婦別姓が導入されたら皇位継承はどうなるのか」と主張。野党議員からのヤジにもめげずに独壇場となった。
終了後、竹田氏は「妻からは抑えるように言われて、これでも抑えたつもりです。本当は次原さんにツッコミしたかったんですけどね」とニヤリ。参院選や今後の国会で、論戦は本格化することになり、行方が注目される。