3月31日、フジテレビが第三者委員会の報告にあわせて開催した記者会見に参加してきた。今回もフルオープン形式だったため、大勢のフリー記者が駆けつけたが、予想に反してそれほど荒れなかった。前回のように怒号が飛び交う場面もないまま、スタートから5時間半後の午後10時過ぎにあっさり終了。いったいフジはどうやってフリー記者を制したのか――。
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【写真】一際目立つ「パープル色」のセーターで最前列に陣取る東京新聞・望月衣塑子記者
開始1時間前に会場に入って真っ先に気づいたのは、人の少なさである。前回は前方から7割くらいまでのスペースが鮨詰め状態となっていたが、今回は前方でも空席が目立った。フジ側は400席を用意していたというが、結局、200人くらいしか集まらなかった。
今回の会見は、第三者委とフジ清水賢治社長の2部構成。いずれも第三者委の報告を受けての会見なので、質問する方はまず報告書を読み込まなければならない。開始までの間、みんな必死になってマーカーを手に持ち、配布された51ページもある報告書(簡易版)と格闘していた。
だがしばらく様子を見てみると、ため息をつきながら冊子を閉じる人がちらほら出てきた。法律用語が多数書き込まれた分厚い冊子を前に、読む気が失せてしまったのだろう。「スタートから脱落した人」がいたことも、今回そこまで荒れなかった理由の一つと思われる。
午後5時からスタートした第三者委の「大陣容」には驚かされた。
オリンピック選手団の帰国会見のようにゾロゾロと上手から出てきたスーツ姿の弁護士は計15人。しかも、そのほとんどが一言も発言しないのである。不測の事態に備えた陣容だったと思われるが、この弁護士軍団の“威圧感”がフリー記者の出鼻を挫いたように感じた。
実際、法律を持ち出して挑みかかったフリー記者も何人かいたが、「個別の法令に違反するかどうかは第三者委が判断するべきではないと考えています」などと次々と弾き返されていた。
司会者のフジ広報局長があえて「トップバッター」に最も警戒していたであろう女性記者を指名したことには“作為”を感じた。前回の会見で「なんでこっちは指してくれないの?」と叫び続け、指されたら延々とマイクを離さず、その後も不規則発言を繰り返した東京新聞の望月衣塑子記者である。 司会から「絶対に個人名を出さないように」と散々釘を刺されていたにもかかわらず、いきなり編成幹部の実名を挙げて、5分ディレイの放送を「無音タイム」にさせたのには閉口したが、質問にかかった時間は1分6秒と彼女にしては短かった。しかも予め1人1問と設定されたルールを珍しく遵守。質疑を終えた後、望月氏は前回のように暴れることもなく大人しく座っていた。
19時20分からはフジテレビ側の会見が始まった。前回は5人の役員が登壇した会見だったが、今回は清水賢治社長一人である。
前回壇上に並んだ老齢の役員たちの中には、「アー、ウー」と不明瞭な回答をする者もいて、それがフリー記者たちを燃え上がらせた。
一方、清水氏に感じたのはロボットのような精巧さだった。報告書全てを記憶しているのではないかと思えるほどで、「それは第三者委から待っていただきたいと言われていて…」、「それは1月21日に決められたことで…」などと、どんな球が来てもきちんと正確に打ち返していくのだ。
感情をあらわにしない頑強さも感じた。「辞めた役員をなぜ特別待遇するのか」などとしつこく絡まれ続けても、「それについては個々の契約です」「申し上げられない」とピシャリ。
最後の最後で、望月氏がマイクなしで矢継ぎ早に質問してきた時も、「(質問内容は)合っているか合っていないかで言えば合っていません」「明確な間違いです」と返り討ちにしていた。そして大方の予想に反し、午後10時半にはお開きとなったのである。
フジ関係者も「日を跨ぐ覚悟だったのでびっくりした」と振り返る。
「前回の会見では、要領を得ない質問を繰り返したり、自分の意見を被せて質問をするフリー記者が続出してネットで晒し者にされた。彼らが批判を恐れたことで、抑制的な会見になったのではないか」
フジは今回の会見も地上波で午後9時まで放送したが、視聴率はふるわなかった。
スタートした午後5時台は2.6%(個人、以下同)。6時台になって3.5%に達したが、午後9時までほぼ横ばいだった。
勝てたのは2.8%だったTBSの『冒険少年脱出島家族SP』のみ。日テレ『世界まる見え』は6.4%、テレ東の『YOUは何しに日本へ?』は3.9%、テレ朝『帰れマンデー見つけ隊!!』は5.2%と、3局に完敗した。
前回の10時間会見で午後9時台に8.5%に達していた盛り上がりと比較すると、かなりの下げ幅だ。もうこの話題自体が飽きられているのかもしれない。
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デイリー新潮編集部