21日、参議院予算委員会において共産党の小池晃議員が米軍駐留経費をめぐって石破総理を追及した。
【映像】石破総理が“ぺこり”とした瞬間
小池議員は「トランプ関税は日米貿易協定、WTO条約、アメリカ自身が結んだ国際ルールに違反するものだ。相互関税の名に値しない一方的なものだと言わざるを得ない」とした上で「問題にしたいのは安全保障の問題だ」と強調した。
小池議員は「安保法制で集団的自衛権を今までの自民党の憲法解釈も覆してやったことは、アメリカに唯々諾々と言われてやってきたことだ。そういうことを続けておきながらトランプ大統領は『我々は数千億ドル支払って日本を守るが、彼らは何も支払わない』と。これ、全くもってふざけた発言だと思う。そもそも日米地位協定24条は『米軍の維持経費は日本国に負担をかけないで合衆国が負担する』と書いてある。日本側に払う義務は一切ないのに『思いやり』などと言って払い続けている」と説明。
さらに日本の負担については「78年に始まった際は、日本人基地従業員の福利費などごく一部だった。それが今では基地施設整備費、日本人基地従業員の給与や手当、基地で使用する光熱水量、訓練移転費、訓練資材調達費まで拡大される。だから、78年には62億円だった思いやり予算は、今年度は2274億円。48年間の合計は8兆7000億円余りに上る。日本の思いやり予算がいかに気前のいいものになっているか」と実情を語った。
今後については「軍事費のGDP3%要求とともにこの問題が焦点になってくると、アメリカ側が迫ってくる。特別協定の見直し、今年でこれから切れてくるから早速これが議題になってくると思う。米軍駐留経費、これ以上の負担増の要求を受け入れることなど断じてあってはならないと私は思う。むしろこれは削減を求めるべきだと思うが、いかがか?」と訴えた。
これに対して石破総理は「関税の交渉と安全保障の問題をリンクさせて考えるべきだと私は思っていない。一方において、アメリカ大統領が少なくとも発言を聞く限りにおいて、『アメリカは日本を守るのに、日本はアメリカを守っていない』ということについては事実と異なり、それは『日本にアメリカの車を全く走ってないじゃないか』と、やや似たようなところがある。私どもとして、きちんとした事実を認識してもらうことは国家として果たすべき当然のことで、そういうような立場で私どもはこれから交渉に臨むと考えている」と答えた。
小池議員は「別問題だと言っても、向こうは同じ要求の中で言ってきている。しかも、“別の問題”だと言ってごまかしちゃいけない。別の問題であったとしても、法外な要求などは断じて受け入れるべきじゃない。これ以上の在日米軍の駐留経費の増加など絶対受け入れちゃいけない。むしろ逆に削減を求めるべきだという私の質問に答えてほしい」と追及。
石破総理は「私どもとして、これは別の問題だと考えている。そういう方針で交渉に臨む。そしてまた、私どもとして、ホストネーションサポート(ホスト国が海外駐留軍の維持のために負担する費用)について、これは例えば夏場にものすごい勢いで冷房をかけるなど、それはどう考えてもホストネーションサポートの趣旨と違うことについては是正も求めてきたし、その実現も行ってきた。私どもは国民の税金をいかに使うことが最も日本国の平和と安全と独立に寄与するか、常にアメリカと真剣な議論を行ってきたし、これからもその方針に変わりらない」と述べた。
小池議員は「夏場のエアコンの問題だけじゃない。この莫大な費用負担。この問題で総理自身は2006年の著書『軍事を知らずして平和を語るな』の中でこのように言っている。『思いやり予算をもっと減らす余地があると思うんです。大体、アメリカが国外に駐留させている米軍の駐留経費を見てみると、日本の負担率は突出していて、同盟国全体の50%以上を占めているのですよ。金額にすると44億1134万ドルです。国民1人当たりにしても結構な負担です。なんでこんなに払わなければいけないのか』。私が言ったことと同じことを総理は当時言っていた。だったら、今こそこの議論をトランプ大統領にぶつけるべきではないか?」と訴えた。
これに石破総理は「お読みいただきありがとうございます。どの党のご主張であろうと、正しいことは正しいときちんと認識する謙虚さは常に持っていたいと思っている。これは、数字の比較は最新のものがないが、向こうにしてみれば、ホストネーションサポートはもっともってくれた方がいいと思うのは当然のことだ。しかしながら、我々として、それが本当に払うべきものだと評価をされないものは、払うことができない。それは、国民の税金をどうやって使うかという立場において当然のことだが、一方において、日本の独立と平和、ならびに地域の平和と安定にいかなる責任を果たすかということもきちんと示していかなければならない。ホストネーションサポートの適正化と同時に、我が国がさらにできることがあるか。そこは、アメリカが言うバンデンバーグ決議をよく認識しながら我々は対応していかねばならない」と答えた。
だが、挙手をして立ち上がった小池議員は「総理はいつもそうやって話をずらしていく。ずらしてますよ。明らかに総理が言ってること、かつてと違うじゃないですか」と語気を強めた。
そして、「私に総理自身の言葉を送りたい。『私はこう考える』という本にこう書いてある。『自分が正しいと思うことを自由に述べられなければ政治家になった意味がない』。本当、この言葉を私は示したい」と述べた。
これを聞いた石破総理は二度頷いた後、コップの水を飲み、“ぺこり”と頭を下げた。
そんな石破総理に対して小池議員は「日米地位協定のもとで、米軍犯罪・事故・事件も後を絶たない。PFAS(有機フッ素化合物)などの環境汚染も野放しになっている。さらに、米国の言うがままに安保法制、安保3文書を作り、集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の保有まで踏み切った。私は、こういうアメリカ従属の『日米同盟と言われたらば思考停止に陥る』ような、今の日米関係を根本から見直す時が来たと。特にトランプ政権に対して、言っていることに付き従うようなことをやってたら日本は滅びてしまうということを強く申し上げて、質問を終わる」と述べた。(ABEMA NEWS)