〈「お母さんが家に帰ってこない」首のまわりが“真っ黒な”理由とは…子供よりも愛人が大事な母親(25)のもとに生まれた「小3男子の悲劇」(2024年の事件)〉から続く
「今まで食べたことがないから、食べ方が分からない」
【閲覧注意】愛人と不倫するために「2週間も育児放棄」していた25歳シングルマザー
児童相談所に保護された少年。みそ汁もご飯の食べ方さえ知らない彼は、いったいどんな生活をしてきたのか…? そして、母親はなぜ2週間も育児放棄したのか? 2024年に起きた事件の顛末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
保護された少年はご飯とみそ汁の食べ方さえわからなかったという…。写真はイメージ getty
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事件発覚の2週間前、加奈は菓子パンやレトルト食品を買い置きし、「しばらくママは帰らないから、これを食べて待っててね」と言って、現金3000円を置いて家を出た。
1人ぼっちになったカズヤくんは、毎日枕を濡らして寝ていた。加奈が男の家でセックスしていることなど知る由もなかった。
それから2週間後、電気料金の滞納で電力供給を止められたのだ。カズヤくんは泣きながら隣人に助けを求めた。隣人はカズヤくんの携帯を借りて加奈に電話したが、一向に出ない。
カズヤくんのズボンは破れていて、お腹が空いていたようなので、自宅にあげてご飯を食べさせた。
次の日もカズヤくんはやってきて、「携帯を充電させてください」と玄関先で騒いでいたが、あまり入り浸られても困るので無視していると、別の家へ行き、「ママが帰ってこない。家のブレーカーが落ちた。電気もつかない」と訴えたため、その家の女性が110番通報した。
やって来た警察官が家の中に入り、テーブルの上に所狭しとカップ麺や空き缶が並び、床はゴミ袋などが散乱し、トイレの水は汚濁し、郵便物が大量にたまっていることを確認した。
カズヤくんに事情聴取したところ、「家に1人でいた。おばあちゃんにLINEして、食べ物を送ってもらっていた。洗濯はずっとしていない。先月から学校は行っていない。ママがどこへ行ったのか、知っているわけがない」などと話した。
カズヤくんは児童相談所に保護されることになった。加奈は自宅アパートから15キロほど離れた与田宅に入り浸り、夫婦同然の生活をしていた。
警察に居場所を突き止められ、保護責任者遺棄の疑いで取り調べを受けることになると、「子どもとどう向き合うべきか悩んでいた。息子が1人で抱え込んでいるのは分かっていた。最後の2週間については、置き去りにしたのは事実なので、息子には申し訳ないことをしたと思う」などと話した。
加奈は2カ月後、同容疑で逮捕された。交際相手と一緒にいたいがために、カズヤくんを危険な状況に置き、生存に必要な保護をしなかったというものだ。
カズヤくんは児童相談所でご飯とみそ汁を出され、「今まで食べたことがないから、食べ方が分からない」と言って驚かせ、風呂に入って「体がきれいになった。サッパリした」と喜んだ。
すっかり児童相談所やグループホームの生活になじんだ今では母親の近況を聞いてくることもなくなった。それだけ不適切な養育を受けていたということだろう。
母親は完全な虐待だが、交際相手の男も虐待予備軍ではないのか。2週間も自宅に帰らない母親を異常だと思わなかったのだろうか。

裁判所は「被告人が長男からLINEで体調不良を伝えられた上、自宅への電力供給が止まっていたことを知っていたのに帰宅しなかった」と指摘した上で、「交際相手と過ごしていたのは現実逃避にほかならず、親としての務めを放棄した」として、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
(諸岡 宏樹/Webオリジナル(外部転載))