〈自習中に「目をつむって」→添い寝でキスも…塾の“先生”の態度が豹変した“ある事件”〉から続く
この季節、進級や進学を機に塾に通い始めたり、転塾を検討する人もいるかもしれない。塾でのトラブルは外部から内情が見えにくいものだが、問題視されるのが講師によるセクハラ・性的行為のトラブルだ。
【画像】高校生のころ、男性塾講師から「キスしていい?」と言われたという岸田優香さん
福岡県生まれの岸田優香さん(仮名)は現在26歳。大学に受かって上京し、そのまま東京の企業に就職している。高校卒業までは地元の有名な塾に通っていたのだが、この塾の30代なかばの男性講師から性的な加害を受けたことがあったという。(全2回の2回目/前編を読む)
写真はイメージ graphica/イメージマート
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「別に、『好きだ』とか『付き合おう』とか言われたわけではなくて、普段の態度や会話なんかも今までと同じなんです。ただ、明らかに距離が近くなってきたんです。会話じゃなくて身体的な距離です。例えば私が机で勉強していると、後ろから覆いかぶさるようにノートを覗き込んでくるし、顔もあり得ないほど近い。ある時、自習中にどうしても眠くなったので机に突っ伏して休憩していたところ、いつの間にか先生が入ってきて私の体を触っていたこともありました。直接、胸とかを触るわけではなくて肩や背中、頭をなでたりする感じです」(岸田優香さん、以下同)
そうしたことが続き、警戒するようになったという岸田さん。塾の帰りに「家まで車で送るよ」などと誘われることもあったが一人では絶対に乗らないようにしていた。だが、講師のアプローチはエスカレートしたという。
「塾で体調不良で倒れたことがあったんです。フラフラして記憶はないのですが、先生が使われていない用具室のような部屋に運んで寝かせてくれたんです。ただ、目を覚ましたら、なぜか先生が添い寝していて、気が付いたら腕の中。しかも『キスしていい?』と言ってきたので、『嫌だ』とはっきり断ったんですが、ガッチリ抱きかかえられていたので逃げることもできず、そのままなし崩しにキスされましたね」
塾に報告したり周囲の大人に相談してもよさそうなものだが、岸田さんはできなかったという。当時の自分の心情をこう振り返る。
「本当に男性として見ていたわけではないのでキスされた時は腹も立ったし、ムカつきました。塾に言えば処分してもらえるとも思いましたが、だからと言って誰かに言いたくはなかった。年上の男性からのこういう行為を受け入れてしまった自分が嫌だったし、他人に知られたら自分の価値を下げてしまうような気がしたんです。
正直に言えば、性的な接触さえなければどこかで先生との時間を楽しいと思っていた自分もいました。構ってもらえるし、居心地もよかった。高校生の自分にとって心のよりどころだったし、手放したくないという気持ちもあって。いわゆるグルーミングだったんだと思います」
講師からのアプローチは受験直前まで続いたが、塾ではなるべく顔を合わせないように距離を置いていたという。
「私が東京の大学に合格、上京してからはLINEを通じて連絡は来ていました。『地元に帰ってきたら遊びにおいでね』とか『誕生日プレゼント用意してあるから』『離婚したよ』とか。さすがに会いませんでしたし、そのうち連絡も来なくなりました。今もどこかの塾で講師をやっているのかもしれないですね」
(清談社)