人間を含めて睡眠を取らない動物は存在しない可能性が高いとされている程、睡眠は欠かせないものです。
では、もしも寝ないと人体にはどのような影響があるのでしょうか。本記事では、一睡もせずに起き続けることで起きる人体の異変を時系列で解説します。
監修医師:本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
人間に欠かせない睡眠ですが、睡眠の質や睡眠時間には個人差があります。
ショートスリーパー
ロングスリーパー
バリュアブルスリーパー
バリュアブルスリーパーは日本人の80~90%を占める6~10時間の睡眠時間変動者です。睡眠形態は分類されますが、睡眠の必要性については一概に言及できないのが現状です。一方で、睡眠をやめると以下の症状が現れます。
浮遊感
疲労感
強い眠気
頭痛や倦怠感などの身体的苦痛
注意力散漫
情緒不安定
生活習慣病や精神疾患などのリスク増大
上記の症状は不眠から丸1日経つ前から影響が出始めます。必要な睡眠時間は年齢や1日のエネルギー消費量によって異なるため、注意が必要です。
ここからは一睡もしないと起きる人体の異変を解説します。
ある研究では、22時間以上起き続けると血中アルコール濃度0.05%の人間よりも反応速度が遅くなっています。血中アルコール濃度0.05%はアルコール濃度が1Lあたり0.25mgに相当し、酒気帯び運転で免許取消と同等の反応速度です。ブドウ糖の消費量が増加し、前頭葉の信号の送受信が急激に減少します。怒りやすい・ストレス耐性が低くなりますが、自身の能力が低下していると気付かない状態でした。
起床から36時間後の人間に短期記憶のテストをした研究では記憶力の低下はもちろんですが、被験者は答えに自信があると勘違いしている人が大半でした。さらにカフェインを摂取しても短期記憶力は回復しないことも判明しています。
気付いたら寝落ちしていた経験がある人も少なくないでしょう。これは眠気の限界を超えて、マイクロスリープに陥っている可能性が高い状態です。マイクロスリープは数秒~2分程の短時間で睡眠状態となります。意識が一瞬でなくなり、交通事故の要因の1つともされています。
寝ずの番が数日続くと幻覚が現れることもあります。1964年に11日間の長時間不眠チャレンジをしたアメリカのランディー・ガードナー氏は、不眠4日目には自身がプロの有名なスポーツ選手だと誇大妄想を報告しました。
長時間不眠が1週間を超えると、視力低下・被害妄想・記憶障害が起こります。睡眠を取らないことは、百害あって一利なしといえるでしょう。
睡眠は健康維持に不可欠な休養活動です。ほかにも、記憶の定着・情報処理・臓器機能の維持・ストレス緩和にも睡眠が関係しています。睡眠は病気に直結するため、睡眠の質を保つことが求められています。
寝ないと人体にはどのような影響があるのかを解説しました。
睡眠不足を防ぐためには、必要な睡眠時間を知ることや生活習慣を見直すことが大切です。
参考文献
不眠症|e‐ヘルスネット[情報提供]厚生労働省
睡眠時無呼吸症候群と交通事故
その事故、睡眠時無呼吸症候群が原因かも…
健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)