相模原市南区のマンションで昨年2月、父親(当時52歳)と母親(当時50歳)を刺殺したとして、殺人罪などに問われた当時高校1年の少年(16)の裁判員裁判で、横浜地裁は20日、少年を横浜家裁に移送することを決定した。
検察側は懲役10年以上15年以下を求刑していた。
吉井隆平裁判長は、少年が幼い頃から家庭内で虐待を受け、自己肯定感の低さなどが事件を引き起こしたとし、「少年のみを責めることはできない」と述べた。
決定では、少年の成育環境について、小学生の頃から父親から身体的暴力を受け、母親からは「産まなきゃ良かった」などと暴言を吐かれていたことや、中学入学後も暴言が続き、両親は家事をせずにネグレクト状態にあったことなどを認めた。
公判で少年は、父親に対する殺人罪は認めたが、母親については「『殺して』と言われたので殺害した」などと述べていた。弁護側は嘱託殺人罪の適用と、少年院での教育など保護処分を求めていた。
検察側は少年がコンビニ店での万引きが見つかり、警察署に迎えにきた父親から外出を禁止されて、交際相手に会いに行けなくなり、殺害したと主張していた。