コメの恨みは深いかもしれない。コメの価格高騰を受けて、日本政府は備蓄米の放出を決定した。しかし、「遅い」と評判が悪い。
政府は備蓄米を最大21万トン放出する。3月半ばから放出が始まり、同月下旬から4月上旬に店頭に並ぶという。
コメ不足と言われ出したのは半年前のこと。専門家などによると、備蓄米の放出が遅れたために価格高騰を招いたとの指摘もある。スーパー等に行けば、以前よりもコメが高くなっていることを実感している人は多いはずだ。
それだけに備蓄米の放出によってコメが安くなるなら歓迎のはずだが…。最新の共同通信社の世論調査では備蓄米放出の評価について、「遅かった」「どちらかといえば遅かった」との回答が計81・3%にも上っている。つまり、ほとんどが批判的なわけだ。
評価を年代別でみると特色があり、40~50代、そして60代以上で「遅かった」が半数を超えていた。コメをよく食べる中高年ほど政府の対応に不満を覚えているのだろう。もっとも、30代以下でも約45%が遅いと不満を訴えている。
一部ではコメの買い付けに転売目的の中国人が参入しているとも報じられ、ネットで「徹底的に調べて」「規制できないもんか」と炎上している。
江藤拓農相は備蓄米放出を発表した際に「流通に問題がある。農家の収入が増えていれば理解できるが、買い取った方々が利幅を取っていることは正常ではない。投機の対象になってしまうことは良くない。生産現場を守りたい」と、コメがマネーゲームの対象になっていることを危惧した。
コメ高騰化への不満は選挙に影響しかねない。永田町関係者は「中高年世代は自民党支持者が多い。これらの世代から不満を持たれれば夏の参院選では自公政権にとってマイナスでしょう。食費が増えた不満がぶつけられるかもしれません」と指摘した。
NHKの最新の世論調査では80歳以上で自民党を支持する人は48・5%とどの政党よりも高い。60代と70代でも「特になし」を抑えてトップとなる35%を超える支持がある。50代になってようやく自民党支持より「特になし」が上回るといった状況だが、政党では自民党支持が一番多い。40代も同様となっている。この中高年世代が備蓄米放出に「遅い」と怒っているわけだ。
果たしてコメの価格は落ちつくのか。