税金の3原則は「公平・中立・簡素」と言われています。しかし、これらの原則が「年収103万円の壁」の見直しを巡り、迷走の度合いを強めています。与党内で浮上している「分離案」とはどのようなものでしょうか。
先週、知事たちが訴えたのは、減税によって地方の財源が失われるという懸念の声です。
番組による県への取材や知事の発言をまとめたところ、少なくとも35の道府県が財源の課題を心配しています。
壁の引き上げを主張してきた国民民主党は…。
そんななか、新たな動きがありました。
税理士を驚かせたのは、与党内で浮上した分離案です。
103万円の壁を見直す狙いは、基礎控除を引き上げることで減税し、手取りを増やすこと。この場合、年に7兆円から8兆円の税収が減りますが、このうち4兆円は地方の税収です。
今回出てきた分離案は、所得税の基礎控除のみを引き上げて、住民税は据え置きにするというもの。年収178万円の働き手は、国民民主党の案よりも住民税で年間4万円から5万円を負担し、元々の社会保険料を支払うことになります。
総額4兆円の減収が見込まれる地方に配慮した分離案。しかし、疑問を呈する町長がいます。
長野県御代田町です。住みやすいまちづくりに力を入れ、人口はここ5年で1000人ほど増加しました。壁の引き上げについて町長はこう話します。
行政サービスに格差が生じないよう、財政格差を小さくするために国が支給する「地方交付税交付金」。この制度が活用できるとしたうえで、こう釘を刺します。
一方で、異なる事情がある自治体もあります。
32億円の減収が見込まれる海老名市です。不交付団体は十分な税収があると判断され、地方交付税交付金が交付されない自治体で、今年度は東京都と海老名市など82の市区町村が不交付となっています。
海老名市では、教材費の無償化や修学旅行の補助制度に影響する可能性があるということです。
(「グッド!モーニング」2024年11月25日放送分より)