自民党総裁選(9月27日投開票)の行方が混沌としている――。
スタートダッシュを決めたのは小泉進次郎元環境相で、今やキングメーカーとなった菅義偉前首相の後ろ盾を得て“最有力”ともてはやされたが、討論会を重ねるたびに支持率が急降下。マスコミ各社の世論調査では、総裁選“決選投票”2席の座から陥落したという結果も出始めている。
「ふわっとした“ワンフレーズ答弁”は父・純一郎元首相ゆずり。かねて『いずれボロが出る』と囁かれていたが、あまりにも早すぎた」(永田町関係者)
一方で急伸する高市早苗経済安全保障担当相にも頭の痛い問題が次から次へと浮上している。
1つは高市氏が総裁選前に党員らに政策リーフレットを送っていた問題だ。
今回の総裁選では、9月3日に選挙管理委員会が「お金のかからない総裁選」を目指し、政策パンフレットの郵送禁止を決定。高市氏は8月中に送付手続きを完了していたと主張しているが、16日放送のBS日テレ番組で、石破茂元幹事長の推薦人・平将明衆議院議員は
「他陣営は一切出していない」
とピシャリ。高市氏の急伸の要因に
「それが影響したとの分析もある」
と述べた。
選管委の逢沢一郎委員長は11日、高市氏を口頭で注意。それでも他候補から不平不満が飛び出しており、岸田文雄首相をはじめとした党執行部は総裁選管理委員会に追加対応をするよう申し入れた。前出の永田町関係者は
「高市氏は偶然を装っているが、誰も信じていませんよ。総裁選の公平性に疑問が残るのは間違いない」
と断罪する。
2つ目は高市氏の推薦人20人のうち、杉田水脈衆議院議員ら13人が“裏金議員”ということだ。この数字は他候補と比べても突出している。
当の高市氏は17日放送のTBS番組で
「どの方を(推薦人に)入れるかは選対、チームに任せた。翌日、新聞を読むまで知らなかった」
と述べたが、いささか無責任に映る。
弁護士の紀藤正樹氏はX(旧ツイッター)で
「裏金推薦人がいる候補者は当然裏金問題を先送りする、あるいは手心を加える可能性があり自民党の総裁、すなわち首相になるべきではないと思います」
と指弾している。
3つ目は旧統一教会問題だ。
ここまであまり争点になっていなかったが、朝日新聞は17日付の朝刊で、故安倍晋三元首相が’13年に党本部で旧統一教会の幹部と面会していたと写真付きでスクープ。取材記者は朝日新聞デジタルのユーチューブチャンネルで裏取りに半年かかったことを明かしている。
故安倍元首相は前回の自民党総裁選で高市氏を推すなど、昵懇の仲。SNS上では熱心な信者が高市氏の支持を訴えており、’01年には統一教会系メディアの月刊誌に高市氏の対談記事が掲載された。
「高市氏は『日本初の女性総理』が手の届く位置にあり、前のめりになっているが、議員は早ければ年内に行われる解散総選挙のことを考える。ようは高市早苗首相で戦えるか、ということ。裏金と旧統一教会問題で野党から厳しく追及され、後手に回る可能性がある。これでは本末転倒で、イメージ刷新とは言い難い。党内では『高市では選挙は戦えない』といった声も出始めている」(全国紙政治担当記者)
高市陣営は相次ぐ“ネガティブキャンペーン”に
「露骨な高市潰しだ!」
と怒り心頭。同記者は
「決戦投票で石破氏vs進次郎氏ならば進次郎氏だろう。問題は進次郎氏が決選投票に残れず、石破氏vs高市氏となった場合。進次郎氏の票は石破氏に流れ、麻生派や安倍派の一部は高市氏に付くだろう。どちらにせよ僅差の勝負になる」
と語る。
いまだ投票先を決めていない議員・党員は2割おり、戦況を見通すことは難しい。投票日当日までギリギリのせめぎ合いが続きそうだ――。