世界的なおにぎりブームを牽引(けんいん)するおにぎり専門店「ぼんご」。最大6時間待ちの行列ができる人気店にもコメ不足の影が忍び寄っています。
ふっくらと炊いたコメの中にはトロットロの卵黄と肉そぼろが。食べた人をとりこにする、専門店のおにぎりです。
東京・大塚にある創業64年のおにぎり店「ぼんご」。待ち時間が6時間に及ぶ日があるほどの人気店です。
客は県外だけでなく、海外からも…。
ぼんごのおにぎりの特徴は“握らない”こと。新潟県岩船産コシヒカリを使用した大粒のコメを、なるべく空気を含ませながら、ふわっと形を整えます。
おにぎりの具材は全部で57種類。なかでも一番人気は、光り輝くすじこと肉厚のサケをたっぷりと使った「すじこ・さけ」です。
食リポの様子を優しい笑顔で見守っていたのは、ぼんごの女将・右近さん。
おにぎりを握り続けて、およそ40年。その人生は順風満帆ではありませんでした。
新潟県で生まれ、19歳の時に上京した右近さん。そこで出会ったのが、当時、ぼんごの店長をしていた夫の佑さんでした。
歳の差27歳の2人はやがて惹かれ合い、結婚。右近さんも夫のおにぎり作りを手伝うようになりましたが、そんなさなかに突如夫が病に倒れ、当時50歳の右近さんは店を一人で切り盛りすることに。当時の状況は…。
さらに経理の状況を調べたところ、衝撃の事実が発覚。
朝から晩までひたすらおにぎりを握り、働き続ける生活。
4年かけて借金は無事に完済。その後、右近さんが還暦を迎える直前に夫の佑さんは亡くなりました。
笑顔を絶やさず、元気に店に立ち続ける右近さん。10年ほど前に客からかけられた言葉が忘れられないといいます。
そこから、これまで以上に客とのつながりを大事にするようになりました。
多い日は一日1500個のおにぎりが売れる「ぼんご」。今、頭を悩ませているのが“令和のコメ騒動”の影響です。幸い、長い付き合いのある農協などからコメを安定して供給してもらっているため、不足はしていませんが…。
さらに、のりや具材も軒並み値上がりし、利益を圧迫していますが、それでも価格は据え置く方針です。
店内はカウンター席のみ。これも客と真摯に向き合う為だといいます。
右近さんは、味だけではないぼんごの魅力をこう語ります。
客の中には、一口食べて懐かしさのあまり涙した人も…。
おにぎりが世界的なブームとなっている今、右近さんの元には、将来海外で店を持ちたい人が修業しにきています。
世界に広がりつつある「ぼんごのおにぎり」。
右近さんが後輩たちに最も伝えたいことについて、このように話します。
(「グッド!モーニング」2024年9月14日放送分より)