東京23区と都が検討している、ごみの有料化。23区の家庭から出されたごみが埋められる東京湾の最終処分場は、約50年後にいっぱいになるとされています。
長いように思えるかもしれませんが、時間はそれほど残されていません。
しかし、これまで無料だったものが有料になるかもしれないということで、街の人からは「税金も上がっているので、チリツモみたいな感じで、年間で考えたらヤバいことになるんじゃないか」「生活が負担になるし、(ゴミを)出したくないってなるのでは」といった声も。
現在、東京湾にある廃棄物の最終処分場は東京ドーム170個分に当たる794haという広大なエリアで、東京23区の家庭などから出た可燃ごみや粗大ごみ、不燃ごみなどが、焼却や粉砕などの処理がされたあと、埋め立て処分されています。
その量は1年間で約249万トン、実に「戦艦大和」39隻分に当たります。船の航路を確保するため、これ以上の拡張が難しく、約50年後には満杯になってしまう恐れがあるといいます。
有料化でごみは減るといいますが、生活にはどんな影響が出るのでしょうか。
すでに家庭ごみの有料化を始めている千葉・野田市では、年間120枚の無料ごみ袋の引換券が配布されますが、121枚目からは、40リットルのごみ袋1枚につき170円かかります。
市民の皆さんに話を聞いてみると、「調理する時に食べ物を無駄にしないように、野菜とか」「なるべく(レジ)袋はもらわない。それがゴミになる」「資源回収なんかもあるから、そういうのには出してます」「普通の紙もクシャってやるとかさが増えるから、小さく折ってカサ増し防止。積み重なると結構な量になるので、ペチャンコになるように小さく切って、折って捨てる」など、ごみ袋が引換券の枚数に収まるように工夫していました。
一方で、工夫しても無料分を使い切ってしまうこともあるようで、有料ごみ袋を購入している野田市民は「食べられる分量だけで、ゴミ出さないとか、野菜の皮をぬらすと(カサが増えるので)乾いたままごみで出すとか。毎年50~60枚は足りない」と話していました。
1995年にこの制度を始めたところ、野田市では1人1日当たりに出るごみの量が、818グラムから2022年には410グラムと、ほぼ半分になったといいます。
ただ、やはり有料化というのは、わたしたちの生活に負担であることは変わらないのではないでしょうか。ごみ問題に詳しい東洋大学の山谷修作名誉教授に話を聞くと、有料化の一番のメリットは「住民のごみの減量への関心や意識が高まること」で、ごみが減れば環境負荷を軽減することができ、処理の効率を高めることができるため、言い換えれば「ごみの処理費を削減できる」といいます。
今のところ23区のごみ有料化は検討中ですが、ごみ袋の値段がどのくらいになるのかについては、これからの問題だということです。