《カニなどを目当てに来るので、もう来ないでほしい》
《40万円の革ジャン、無償提供はできない》
“おねだり疑惑”が連日報道される中、平然とトップの椅子に座り続ける斎藤元彦・兵庫県知事(46)。どれだけ周囲や世間に辞任を求められても“のれんに腕押し”といったところだ。
県議会の調査委員会が県職員に行ったアンケートの中間報告には“公職のおねだり”のレベルではないような“実例”がズラリと並んでいた。
「カニ関連の現場視察に行った際、知事職員一同にカニのお土産が提供されようとした。職員は『もらえない』と固辞した。それに対して知事は『要らないのなら私がいただく』と、職員の分まで持って帰った」
「知事が何回も来て、その都度、カニなどを持って帰ってもらっているが、それを目当てに来るので、『もう来ないでほしい』と言っているとのこと」
「カキの養殖業者からカキをもらった際も、“独り占め”して全部、自宅に運ばせる」
「ほしい贈答品がもらえるところを、視察先に選んでいる」
「皮革製品の生産現場を視察した際、40万円相当の革ジャンを試着して…『これはいい、もらえないか』と知事が“おねだり”。あまりにも高額な品のため、無償提供はできないと結論づけられた」
伝聞も含まれるが、“実例”がこれだけあることを考えれば、斎藤知事が立場を利用して、視察に行っては“タダでは帰らない”という厚顔無恥な振舞いをしていた可能性は高い。
知事ともあろうものが、なぜこんなセコいのか。
「斎藤知事はお金持ちの坊ちゃんです。祖父は戦後、兵庫県長田でケミカルシューズ製造業を創業しています。お金持ちのおじいさんに、何かをおねだりすれば何でも買ってもらえたといいます。知事になったのも偶然ではない。祖父は元兵庫県知事の金井元彦さんから『元彦』という名前を孫に付けており、本人も東大在学中に“兵庫県知事になりたい”と祖父に伝えていたようです。何でも思い通りになるエリートだからこそ、“欲しいものはもらえて当たり前、職員や一般人が俺の言う事を聞いて当たり前”と思い込み、横柄な態度になっているのではないか」(在阪スポーツ紙記者)
件(くだん)のアンケートでは職員に対する、
「お前は“エレベーターのボタンも押せないのか”と怒鳴られた」
「知事からパソコンを投げつけられたことがある」
などのパワハラ疑惑も浮上している。
ただ、最も問題なのは“キックバック疑惑”だろう。
兵庫県明石市の前市長の泉房穂氏はXで、
《「カニや革ジャンの“おねだり”がどうした」というようなレベルの話ではない。「何億円もの“税金”が不当に支出されたのではないか」という疑惑があり、その疑惑に関して「告発者と担当者の2つの命が失われてしまった」という問題なのだ。マスコミの報道のあり方もズレているように思う……》
《“1億円”の予定だった「補助金」の額を急遽“4億円”に増額することと引き換えに、その増額の見返りとして「寄付金」としてキックバックさせたという疑惑。兵庫県知事がらみの案件ゆえ、兵庫県警の動きが遅いのであれば、大阪地検特捜部が動くという選択肢もある……》
と巨額の税金が不当に使われたことへの疑惑が最も重いと指摘。さらに知事のリコールは非常にハードルが高いこともあり、兵庫県議会が不信任決議に踏み切るべきと提言している。
一方、この騒動を“複雑な思い”で報じているのがテレビ局だ。
「視聴者は斎藤知事に非常に怒っていて、番組を見てテレビ局に電話やメールで持論を展開してくる人もいます。おそらく兵庫県庁にはこちらの比にならないくらいのクレームが来ているでしょう。連日放送しているため、コメンテーターの話す内容が似通ってきて困っているのですが、斎藤知事の話題は高視聴率をたたき出す。コア視聴率で0.5から1%くらいはコンスタントに上がるのです。スタッフとしては食傷気味なのですが、毎回数字が取れるのでしつこく放送しています」(ワイドショー関係者)
「辞任するべき」と考える人が多いなか、辞められたらそれはそれで残念に思う業界もある、ということか。
8月30日には斎藤知事本人が百条委員会で証人尋問にかけられる。果たして何を語るのか――。