あなたはもう蚊に刺されましたか?ひるおびが行ったアンケートでは、3割を超える人が蚊の餌食に…暑さですでに活発化している今年の蚊について、専門家に詳しく聞きます。
【写真を見る】早くも「蚊」の被害続出!『早い・多い・しつこい』今年の蚊の傾向を専門家が解説【ひるおび】
ひるおびでLINEアンケート(総回答数:5311人)を行いました。
Q.今年に入って自分または家族が蚊に刺されましたか?「刺された」・・・33%「刺されていない」・・・67%
Q.どこで刺されましたか?「家の中」・・・46%「家の外」・・・54%
街にも、すでに蚊に刺された人が。「このぐらいの時期で刺されたことは今までなかった気がします。」「子どもが刺されていて、腕はもう数か所刺されています。公園なので虫よけしていても刺されています。」「普段だったらスプレーとかやるんですけど、こんな時期に出ると思ってなかったので、今年はまだ始めてなかったですね。」
今年の傾向についてヤマザキ動物看護大学の長島孝行教授は、「気象庁の3か月予報を見ると、5月6月7月は気温が高い。雨も西日本を中心にやや多いということを考えると、今年も蚊が大発生するんじゃないか」と予想します。
恵俊彰:蚊って、何度位から活動するんですか?
ヤマザキ動物看護大学 長島孝行教授:15度位から活動を始めます。25度なら最高です。35度を超えると嫌になっちゃいますね。
平年、蚊の活動期は4月~11月で、血を多く吸う「増殖期」が7月~9月です。去年(2023年)は猛暑で7、8月の蚊の活動が減り、増殖期が9月~11月にずれ込みました。
今年は5月からの暑さですでに増殖期が始まっており、夏は去年と同じように猛暑で活動が減少。9月~11月でもう一度増殖期が来るのではないかと教授は予想しています。
これにより今年の蚊の傾向は・・・5月の気温の高さから活発化が前倒し⇒「早い」蒸し暑い夏で大発生が警戒される⇒「多い」2度増殖期があり長く悩まされる⇒「しつこい」
長島孝行教授:特に秋の増殖期は、子孫を残そうとするのでかなりしつこくつきまとうと思います。今年、夏の気温が高く35度をガンガン超えれば、去年のようにピークが2つになる可能性もあるし、あまり高温が続かなければずっと繁殖時期を迎えるということになります。
気象予報士 森朗氏:今年は今のところ、去年を上回る暑さになるかもしれない。過去一番暑い夏になる可能性があります。
恵俊彰:35度を超えてくると蚊は動かなくなるんだけど、そうするとこっち(人間)もつらいもんね。
蚊は世界で3000種類あり、日本では100種類。主に血を吸う蚊は20種です。▼夕方から夜間に活動して屋内で血を吸うのが「イエカ類」▼昼間に活動してやぶや草むらに生息するのが「ヤブカ類」
血を吸う蚊はメスだけ。産卵直前に人の血でタンパク質を栄養補給しており、一生で血を吸う回数は1回~5回です。
恵俊彰:1匹の蚊が5回しか刺さないんですか?
長島孝行教授:満腹になるまで5回ということですから、途中でやめさせたらまた違うところに行っちゃうわけです。これが媒介になるわけです。全部吸わせてあげれば一番いいです。1回で自分の体重とほぼ同じ量を吸い、産卵に入りますのでもう吸血しません。
恵俊彰:刺されていると思ったら、見守ってあげる!?
蚊は、血を吸う際に「唾液」を出して血液をサラサラにしています。この「唾液」がかゆみの原因。最後まで吸わせると蚊は「唾液」も吸い取りますが、途中で叩くと「唾液」が体内に残り、かゆくなってしまうのです。
コメンテーター 上地雄輔:蚊に喰われてかゆいところは全部途中でやめちゃったってことですか?
長島孝行教授:そういうことですね。だから唾液が残っているのが大半なんですよ。その唾液を全部蚊が回収してくれればかゆみはかなり軽減されるし、逆に唾液自体が血液をサラサラにしてくれるのであれば、脳梗塞の新薬さえできるのではないかという。
恵俊彰:動いたりすることによって、多分勝手にいなくなっちゃってんだね途中で。いちいち潰してないもんね。
長島孝行教授:途中で潰されると、吸ったものまで戻っちゃうこともある。潰すんじゃなくて、払うのがいいです。とにかく最後まで吸わせるのが一番良いです。理論上ですよ、僕はできませんけど。
恵俊彰:なかなか難しいですよね。蚊が止まってるのをずっと見ているって。
最初から吸われたくない人は、虫よけスプレーを正しく使ってください。
肌を露出している部分にきちんと塗り、顔や首などは吸い込まないように手に吹きかけてから塗ります。一緒に日焼け止めを塗るときは、日焼け止め⇒虫除けスプレーの順。虫除けスプレーは空気に触れることで効果を発揮します。
長島孝行教授:赤ちゃんなどは、洋服の上からもスプレーしてください。また、手足を洗ったり、アルコールの除菌剤で拭いていただくだけでも全く違います。
もちろん増やさないことも重要です。植木鉢のお皿や、ペットボトルの蓋、捨てられたコンビニの袋に溜まった水など、2~3ミリあれば蚊の産卵場所になってしまいます。イエカは、わずか10日で成虫になります。ベランダや庭の片付けをこまめにしてください。
長島孝行教授:大型のテーマパークなどに蚊がいないのは分かりますか?あれはちゃんと管理しているんです。水溜りを作らない、作ってもすぐに流す、ゴミをきちんと管理する、こういうことをするだけでも違うんですよね。デング熱以来行政も公園を管理するようになった。とてもいいことなので、一般の家庭でもやっていただければと。
蚊は「かゆい」以外に、ウイルスを媒介するという怖さもあります。
長島孝行教授:アメリカでは「西ナイル熱」が流行していて、何百人も亡くなっているんですよ。ヤブカやイエカもそれを媒介する可能性があります。これだけインバウンドが増えている現在、西ナイル熱も含めて日本に入ってくるのはそう遠い未来ではないだろうと思います。
上地雄輔:蚊はなんでウイルスにやられないんですか?
長島孝行教授:すごく良い質問です。ずっと謎だったんですけど、ごく最近、蚊はウイルスのDNAを折り畳んでしまうということがわかりました。体の中に入ったウイルスのDNAをおかしくしてしまう。そのメカニズムを利用すれば新しい新薬ができる可能性もあります。蚊に学べばいいわけですね。
弁護士 八代英輝:蚊が血を吸う技術を応用した、痛くない注射針も作られましたもんね。
長島孝行教授:蚊も、悪いところももちろんありますよ。ですが良いところもあるので、そこを僕らは学んでテクノロジーを少し進めています。
(ひるおび 2024年5月17日放送より)==========<プロフィール>長島孝行氏ヤマザキ動物看護大学 動物人間関係学科教授著書に『蚊が脳梗塞治す!昆虫能力の驚異』など