5月23日、東京・品川区の戸越銀座商店街近くの住宅で火事があり、母親とその3人の子供、合計4人の遺体が発見された事件。1階の寝室で、この家に住んでいた高波冬美さん(37)、小学1年生で6歳の後藤鈴ちゃん、保育園に通う3歳の玲ちゃんと2歳の信ちゃんの親子4人が死亡していたことがわかっている。
【写真】元夫のA氏にぴったりと寄り添っていた鈴ちゃん。シャッターが閉まっていたという現場の家の写真も
「23日の午後1時半ごろ、高波さんのお母さんから『焦げ臭い匂いがするけど、ドアに鍵がかかっていて中に入れない』などと消防に通報がありました。現場には4人のほかに、高波さんと離婚した40代の元夫・A氏も倒れていた。A氏は気道熱傷とみられる症状で手当てを受けているが、命に別状はないといいます。
母子4人の胸や首には刺し傷や切り傷があって、凶器とみられる刃物も見つかっている。A氏の首元にも自ら切ったと見られる浅い切り傷がありました。現場は焼けているというよりも燻(いぶ)されているという感じで、5人はススだらけで倒れていたそうです」(全国紙記者)
この記者によると、「高波さんとA氏の離婚が成立したのは、事件発生の3日前だった」という。一家と交流があったという戸越銀座の商店街の店員は、「家族仲も良さそうに見えたので、驚きました」と話す。
「旦那さんのAさんは、穏やかな方で物腰も柔らかい。一番下のお子さんが産まれてからはAさんが仕事をお休みしていたようで、お子さんの面倒をよく見ていました。『育休を取って休んでるんですけど、もう働きたくなくなりますね』と冗談めかして話していたのを覚えています。
お子さんはイチゴが好きらしく、おばあちゃんが『孫が好きだから』と言って買いに来たり、ご家族でイチゴを買いに来る事もありました。奥さんの実家は食品関係の会社を経営していて、おばあちゃんもたまに商店街で見かけます。揉めているような様子も見たことがなかったから、一体何があったのか見当もつきません」
地域の町内会のSNSを見ると、今年の3月にも、A氏が娘の鈴ちゃんと一緒にイベントに参加していた様子が見て取れる。仕事を休んでいたA氏と家族の間に何があったのか。近隣の神社の関係者は、この一家について気になっていたことがあるという。
「近くの路地から家が見えるんですが、日中もずっと窓のシャッターが閉まっているのが印象に残っています。あまりお付き合いがなかったので、あの家にお子さんが住んでいたとは思っていませんでした」
一家を支えていた母の高波さんは、近くの介護施設に勤めていた。鈴ちゃんが生まれた後になる今から約4年前、職場の広報誌の投稿欄に「家族への思い」を綴っていた。
《ご家族が大切なご利用者を施設へ預けられているように、私も子供を保育園へ預けています。保育園へ迎えに行った際、今日はどう過ごしていたのか、ちょっとしたことでも、少しでも伝えていただけると嬉しいものです。ささいなことでも教えてくれる先生は、うちの子をみててくださってるんだな、と思いますし、こちらからも話しかけやすいです》
《私は大切な子供を保育園に預ける側になり、改めてご家族の気持ちを知ることができました。これからさらにご利用者、ご家族の気持ちに寄り添った援助をしていきたいです》
自分の家族も、他人の家族も大切に思って仕事をしていた高波さん。なぜ悲劇が起こってしまったのか–警察はA氏の体調の回復を待って、捜査を進める方針だ。
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