わずか数百円でメダルゲームからクレーンゲーム、プリクラなど多様な楽しみ方ができるゲームセンター。若者から高齢者、家族連れまで集まるアミューズメント施設だが、誰もが気軽に行きやすい場所であるがゆえに、思いもよらぬトラブルに発展するケースもあるようだ。
【画像】ゲームセンターの28歳店員が驚愕した瞬間
そこで、ゲームセンターの常連客や店員が目にした驚きのエピソードを聞いた。
※写真はイメージ GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート
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まず話を聞いたのは、埼玉県内のゲームセンターに10年以上通っている飯田幸男さん(仮名・36歳)。飯田さんはとあるオンラインゲーム目当てにほぼ毎週ゲームセンターに行くというが、モラルのない客の行動に頭を悩ませているという。
「最近、プレイ中にイライラして声を荒げたり、台パン(ゲーム筐体をパンチすること)したりするお客さんが多いんですよね。ゲームに熱中する気持ちはわかりますが、その勢いでまわりの人にぶつかっても謝りもしない。『お前が隣に座っていたから負けたんだよ』なんて言いがかりをつける人もいます」

プレイに熱中しているがゆえに大きくなってしまったイラつきが、トラブルに発展することもあるようだ。
「他のお客さんから派手に絡まれたときに我慢できず、一度店員を呼んだことがあるのですが、『申し訳ないのですが台を丁寧に扱ってください』って軽い注意だけ。俺には『思い切り破壊でもされたら出入り禁止にできるんですけど、そんなに儲かっている店でもないのでなかなか……』って申し訳なさそうにしていました」
簡単に“出禁”にできない店側の事情もあるようだ。
「お酒の臭いがキツイお客さんもいますよ。お店のルールとして、お酒の持ち込みは厳禁。なので、ペットボトルや水筒2、3本分にウイスキーや焼酎を隠して入れてきて、朝から夕方まで居座っているんです。店員が注意しても『お茶に決まっているでしょ!』って強気に返すばかりで。店中が酒臭くなっているのに……」
熊本県の郊外にあるゲームセンターで8年以上店員として勤めている川村雄大さん(仮名・32歳)もまた、ある常連客についての不満を吐露する。
「メダルゲームに夢中で毎日通われる方が一定数いるんですが、朝10時のオープン前から入口前に並んでいて、オープンするとまっしぐらに目をつけていた席に行くんですよ。なかには高齢で、杖を持ちながらダッシュする方もいて、転んでけがをしないだろうかと見ているこっちがヒヤヒヤ。平日だと10人前後、休日だと30人弱は並んでいて、正月でも普段と変わらず来店されるお客さんもざらにいます」
彼らは前日に当たりがよかった台をチェックしていて、その席の取り合いに必死なのだとか。
「目をつけていた席に荷物を置いてキープしながら他の台でもプレイする“席取りトラブル”も多いです。これは禁止しているお店が大半で、僕らも何度も注意しているんですが、『ごめんね。ちょっとほかを覗いていただけなのよ』って流されて、時間が経つとまた複数の席を占領するちゃっかりしたお客さんもちらほら。『〇〇さん、台を掛け持ちしているわよ』なんて密告されることもありますね」

スタッフが一番辛いのは客側の“ある勘違い”による言いがかりだという。
「『俺が当たらないように細工しているだろ!』という言いがかりをつけられることは日常茶飯事です。はっきり言って、店側が毎日のように台の当選確率を調整しているような時間はありません。一応、各台のデータの確認はしますが、それはあくまで異常が起きている台がないかチェックする程度。『この台、当たるように調整してくれない?』なんて頼まれることも多いですが、もちろんそんなことできませんよ」
さらに、子どもの迷惑行為も多いという。
「機械をバンバン叩いたり、揺らしたりして力技でメダルを落としたり……。メダルゲームエリアの床を四つんばいで動き回って、落ちたメダルを探している子も。それを注意せずにプレイに熱中している親御さんが多いこともまた問題ですよね。中には子どもを置いたまま別のエリアに行ってしまう方もいるので、対策が必要だなと感じています」
ゲームセンターの定番であるクレーンゲームに関するクレームにも堪えているのだとか。
「一番寄せられるのは、『もう〇〇円も使ったんだけど取れなくって……』という相談ですね。私が働いていた店では、1度目はとりやすい位置に商品をずらしてあげます。もう1回言われたら、景品の仕入れ値の3倍ほどの額を使ってもらえていたら、あと数百円も使えば確実に落ちるような位置まで移動させていました。
でも、中にはほとんどプレイしていないのに、あたかもかなりお金を使ったように振る舞う人も。僕らはずっと台を見張っているわけではないにしろ、プレイ時間やお客さんの技術を見れば、実際にどのくらいの金額を使ったかはだいたい予想がつく。本当にたくさんプレイされた方と同じ対応をするわけにもいかないですし、苦慮しています」(前出・ゲームセンター店員の川村さん)

店員へのクレームも多いのだという。
「『アームの力、弱すぎだろ!』といった声が特に多い。確率機といって、プレイ数に応じてアームの力が強くなっていくタイプの機種のことが大半です。大手ゲーム会社のクレーンゲーム機でも採用されていて、僕らが意図的にいじるようなものではないので、勘弁してもらいたいですね。
他には商品を獲ったあとになって『別の色がよかった』とお願いされることも。ただ、獲得後の景品の交換は『二次交換の禁止』といって、法律で禁止されているため、対応できないことも分かってほしいです」
店によってはあまりにひどいクレーマーは出禁にするケースもあるとのこと。適度にマナーを守ったプレイが求められる。
東京都内のゲームセンターに4年間勤める神埼志乃さん(仮名・28歳)が明かしてくれたのは、モンスター級の“ヤバい客”だ。
「プリクラ機の中に、袋に入った小さなタッパーが置かれていたことがあったんです。中にはなんと、人間のモノと思われる排せつ物が……。急いで監視カメラを確認すると、スーツ姿のサラリーマンが一瞬だけ出入りする姿がありました。あまりの手際のよさに、他の店でも同じことをしているんじゃないかと恐怖を感じました」

プリクラにまつわるトラブルでは、こんなケースもあるという。
「ハロウィンやクリスマスのシーズンになると、撮影ブースの中で下着姿になる女性のお客さんがいるんです。カーテンの隙間から着替えているところも見えますし、特別な日でテンションが上がる気持ちもわかりますが、過激な行動は控えてほしいですね」
ゲームセンターは、誰もが気軽に訪ねられる場所だからこそ、店員や他の客へのマナーを心得ておくべきだろう。
(清談社)