「自分が何を言ってもすべて肯定してくれた。そんな人は彼が初めてだったので、もっと一緒にいたいと思った」
悪質ホストの手によって、こう語っていた15歳少女の人生は狂わされた――。
18歳未満と知りながら少女をホストクラブに入店させて酒を飲ませたとして、警視庁少年育成課は4月10日までに、新宿・歌舞伎町のホストクラブ『WORST OVER』の従業員で大学生の稲場勇哉容疑者(22)を風営法違反の疑いで逮捕した。
「稲場容疑者は昨年3月、高校入学を控えた春休みに友人と一緒に新宿・歌舞伎町の『トー横広場』に来ていた少女に声をかけました。稲場容疑者はホストを名乗ると警戒されると考え、ナンパを装い少女を口説いた。
そのまま自分の店に連れて行こうとしたが、少女が『未成年なので身分証明書は持っていない。お酒も飲めない』と言うと、『18歳ということにしたら大丈夫だから』と丸め込み、強引に入店させたようです」(全国紙社会部記者)
初来店の翌月、稲場容疑者は「久しぶりに会いたい」というLINEを少女に送り、再び店に誘い出した。
「稲場容疑者は少女に対し、『オレが一生一緒にいる。18歳になったらオレもホストをやめるから、結婚しよう!』と甘い言葉を耳元で囁いて少女を誘惑。やがて彼女がカネを貢ぐようになると、『店の新人争いで勝てそうだから、シャンパンを入れて』と頼み込み、少女は1本300万円のオリジナルシャンパンや1回およそ100万円のシャンパンタワーを少女に注文させていた」(同前)
結局、少女は初来店から3ヵ月半の間に10回店に通い、計600万円を支払うことに。さらに、100万円の売掛金を背負わされていた。
「少女は母親から預かっていたクレジットカードや、祖母の貯金通帳から現金を引き出して支払いに充てていたが、手持ちのカネがなくなると自宅から金目のものを持ち出し売っていた。それでも足りない分は大久保公園周辺で立ちんぼをしたり、SNSで売春相手を募ってカネを稼ぎ、稲場容疑者につぎ込んでいました」(捜査関係者)
少女が”ホス狂い”と化していくなか、今年2月に娘の異変に気付いた母親が「娘がホストと交際していて、高額な支払いを求められている。売春をさせられている」と新宿少年センターの窓口に相談。今回の被害が発覚した。
「少女は警察の調べに対し、『店でたくさんお金を使うと彼が喜んでくれ、お姫様のように扱ってくれるのが嬉しかった。ただ、お金を使わないと優しくしてくれないから、だんだん恋愛感情がなくなり、冷めてきた』と話しています。今は冷静さを取り戻し、『結局、ホストと客の関係で、自分はただの金づるだと気付いた。売り上げを伸ばすために私をマインドコントロールし、利用したことが許せない』と稲場容疑者に憤っている」(同前)
未成年の少女の恋愛感情を煽りカネをむしり取った稲場容疑者。そんな彼も、かつては強豪校の野球部で主将を務める人物だった。
「稲場容疑者は高校野球の強豪校、駒大苫小牧高(北海道)出身。2年生からキャプテンとしてチームをまとめ上げ、3年春の′19年にはチームを春季北海道大会優勝に導いた。監督は稲場容疑者を『後輩の面倒見も良い』と評し、主将に抜擢しました。チーム内では『誰とでも仲良くなるタイプ』と評判は良かったようです」(同前)
フェアプレーの精神でグラウンドを駆け回っていたスポーツマンが、悪質ホストへと転落してしまった。