シルバー人材センターに、仕事を探す高齢者たちの姿がありました。「年金生活を少しでも豊かに」と、働く高齢者が増えています。街では、物価高の中でギリギリの生活を強いられる人に出会いました。年金だけには頼れない──。老後の厳しい現実を追いました。■月15万円の年金は全額、ローン返済に東京・大田区のシルバー人材センターの一室では、多くの高齢者が説明を受けていました。担当者「お仕事に就くにはどうしたらいいか、ここが一番気になるところなのかなと」

集まっていたのは、仕事を探す高齢者です。働きたい理由を聞きました。年金受給者(68)「やっぱり年金だけだと、正直生活は苦しいし…」息子と2人で暮らす70代前半の女性は「(家の)ローンが残っているから頑張るしかない。(完済まで)あと10年ぐらいあるのよ」と言います。月に15万円ほどの年金は、ローンの返済で全額なくなるそうです。「だから必死に働かないとね。頑張るしかないもの」■物価高…「着るものを買わないように」2か月に一度の年金支給日だった4月15日。年金を受け取った方々に話を聞きました。物価高の今、節約をしなければ「生活は苦しい」との声が相次ぎました。受給額が月あたり約10万円の71歳「苦しいですね。なんでも高くなってるから。スーパーのチラシ見てどこが安い、ここが安いってやって」約5万円の85歳「高い物を食べないようにしてる。着る物を買わないようにしたり」ひと月あたり約13万円を受給する84歳の男性は、たまっていた生活費などの支払いを済ませた結果、「(カードの)支払いで使っちゃったから、5万円しか(口座に)残ってない」とのこと。この男性は、5万円でこれから2か月を過ごすそうです。「つらいですね。なんとかやりくりして生きていかないと」。老後の厳しい現実が垣間見えました。■薬代の1万8000円に「びっくり」年金支給日2日前の4月13日。都内の持ち家に1人で暮らす滝沢さん(89)に出会いました。収入は、月に10万円ほどの年金だけです。滝沢さん「ギリギリですね。いささかでも貯金があるから、足りない時はそっちから出すし…」日々、家計簿をつけてやりくりしていますが、「薬局行ってね、『(薬代)1万8000円です』って言われてびっくりした」ということも。医療費の他にマンションの管理費、食費なども合わせると、月10万円の年金は使い切ってしまうそうです。■支給日の直前は作り置き…当日は?支給日直前は、作り置きした食事で乗り切ります。滝沢さんは冷蔵庫の扉を開け、「容器に入ってるの。(冷凍の)野菜スープ」と見せてくれました。年金が支給された15日、滝沢さんは銀行に向かいました。通帳を手に「これで2か月暮らすんだから」。お金をおろしてスーパーへ行き、割引の総菜など3点を買いました。「513円です。今日の買い物」。貯金も残りわずかなため、支給日でもぜいたくはできません。それでも、お酒を飲むことがささやかな楽しみだといい、「至福のひととき」と話しました。■“年金頼み”を想定も「甘かった」年金生活を少しでも豊かに暮らしたい──。働く高齢者も増えています。ひと月約4万円の受給者(80)は「少ないですもんね。働かざるを得ない」と笑います。ひと月約20万円をもらう男性(68)は、妻と子ども 2 人がいるため、年金は生活費で消えてしまうそうです。「通帳見て、ダメだこりゃと思って」。今年1月から、マンションの管理人のアルバイトを開始しました。この男性は「(収入は)月10万円くらい。年金生活でいいやと思っていたけど…甘かったということですね」と言います。■再び働き始め…「仕事してるからこそ」都内に暮らす中村さん(64)を取材しました。3年前に定年退職したといいますが、「やはり働かないとダメなのかなと。年金だけだと、家賃だけでなくなってしまうので」と話します。年金はひと月に約10万円ですが、家賃が8万5000円です。食費などの生活費も合わせると、毎月赤字になります。そのため一昨年から警備会社の契約社員として、再び働き始めました。渋谷駅周辺で路上喫煙防止の呼びかけや、たばこの吸い殻拾いをする仕事です。「ここたばこ吸えないので、吸えるところで」と声をかけて歩きます。1日8時間、週5日で月20万円ほどの収入があるといいます。中村さん「仕事してるから今の生活がある。年金だけで食べていける人は、どれだけいるんですかね」年金だけに頼れない現実に直面しつつも、こう語ります。「同僚と話をするっていうのも楽しみの1つですね。仕事してることによって、ある程度規則正しい生活、健康も保てるのかなと」(4月19日『news every.』より)
シルバー人材センターに、仕事を探す高齢者たちの姿がありました。「年金生活を少しでも豊かに」と、働く高齢者が増えています。街では、物価高の中でギリギリの生活を強いられる人に出会いました。年金だけには頼れない──。老後の厳しい現実を追いました。
東京・大田区のシルバー人材センターの一室では、多くの高齢者が説明を受けていました。
担当者「お仕事に就くにはどうしたらいいか、ここが一番気になるところなのかなと」
集まっていたのは、仕事を探す高齢者です。働きたい理由を聞きました。
年金受給者(68)「やっぱり年金だけだと、正直生活は苦しいし…」
息子と2人で暮らす70代前半の女性は「(家の)ローンが残っているから頑張るしかない。(完済まで)あと10年ぐらいあるのよ」と言います。月に15万円ほどの年金は、ローンの返済で全額なくなるそうです。「だから必死に働かないとね。頑張るしかないもの」
2か月に一度の年金支給日だった4月15日。年金を受け取った方々に話を聞きました。物価高の今、節約をしなければ「生活は苦しい」との声が相次ぎました。
受給額が月あたり約10万円の71歳「苦しいですね。なんでも高くなってるから。スーパーのチラシ見てどこが安い、ここが安いってやって」
約5万円の85歳「高い物を食べないようにしてる。着る物を買わないようにしたり」
ひと月あたり約13万円を受給する84歳の男性は、たまっていた生活費などの支払いを済ませた結果、「(カードの)支払いで使っちゃったから、5万円しか(口座に)残ってない」とのこと。
この男性は、5万円でこれから2か月を過ごすそうです。「つらいですね。なんとかやりくりして生きていかないと」。老後の厳しい現実が垣間見えました。
年金支給日2日前の4月13日。都内の持ち家に1人で暮らす滝沢さん(89)に出会いました。収入は、月に10万円ほどの年金だけです。
滝沢さん「ギリギリですね。いささかでも貯金があるから、足りない時はそっちから出すし…」
日々、家計簿をつけてやりくりしていますが、「薬局行ってね、『(薬代)1万8000円です』って言われてびっくりした」ということも。医療費の他にマンションの管理費、食費なども合わせると、月10万円の年金は使い切ってしまうそうです。
支給日直前は、作り置きした食事で乗り切ります。滝沢さんは冷蔵庫の扉を開け、「容器に入ってるの。(冷凍の)野菜スープ」と見せてくれました。
年金が支給された15日、滝沢さんは銀行に向かいました。通帳を手に「これで2か月暮らすんだから」。お金をおろしてスーパーへ行き、割引の総菜など3点を買いました。「513円です。今日の買い物」。貯金も残りわずかなため、支給日でもぜいたくはできません。
それでも、お酒を飲むことがささやかな楽しみだといい、「至福のひととき」と話しました。
年金生活を少しでも豊かに暮らしたい──。働く高齢者も増えています。
ひと月約4万円の受給者(80)は「少ないですもんね。働かざるを得ない」と笑います。
ひと月約20万円をもらう男性(68)は、妻と子ども 2 人がいるため、年金は生活費で消えてしまうそうです。「通帳見て、ダメだこりゃと思って」。今年1月から、マンションの管理人のアルバイトを開始しました。
この男性は「(収入は)月10万円くらい。年金生活でいいやと思っていたけど…甘かったということですね」と言います。
都内に暮らす中村さん(64)を取材しました。3年前に定年退職したといいますが、「やはり働かないとダメなのかなと。年金だけだと、家賃だけでなくなってしまうので」と話します。
年金はひと月に約10万円ですが、家賃が8万5000円です。食費などの生活費も合わせると、毎月赤字になります。そのため一昨年から警備会社の契約社員として、再び働き始めました。
渋谷駅周辺で路上喫煙防止の呼びかけや、たばこの吸い殻拾いをする仕事です。「ここたばこ吸えないので、吸えるところで」と声をかけて歩きます。1日8時間、週5日で月20万円ほどの収入があるといいます。
中村さん「仕事してるから今の生活がある。年金だけで食べていける人は、どれだけいるんですかね」
年金だけに頼れない現実に直面しつつも、こう語ります。「同僚と話をするっていうのも楽しみの1つですね。仕事してることによって、ある程度規則正しい生活、健康も保てるのかなと」