日本代表を含め、多くのプロ選手を輩出してきた大学サッカーの名門・専修大学サッカー部。2005年から監督を務め、黄金期を築いてきた源平貴久監督(51)が「パワハラや不正経理をしている」との訴えが部内で上がり、今年3月に辞任していたことがNEWSポストセブンの取材でわかった。大学に提出された「告発文書」には、生徒との間に生じていたトラブルが詳細に記されていた–。
【写真】肩から腰まで裂けたボロボロのビブス。2012年、大学の広報誌に取り上げられた際の源平氏など
専修大学サッカー部は、2010年代に黄金期を演じた「大学サッカー界の雄」だ。2005年に関東大学1部リーグに初めて昇格すると、2011年から2014年にかけて早稲田大学以来56年ぶりの快挙となる「1部リーグ4連覇」を達成。2017年にOB・長澤和輝(当時浦和レッズ、現在ベガルタ仙台)が日本代表に選出され、2019年には仲川輝人(当時アビスパ福岡、現在FC東京)がJリーグ・最優秀選手賞に選出されるなど、有力なプロ選手を多数輩出している。
この全盛期を支えたのが、2005年に監督に就任した源平氏だった。同部OBの源平氏は大学卒業後、富士通サッカー部でプレーし、1997年に同クラブが川崎フロンターレとしてプロクラブ化した後にもプレーした「元Jリーガー」でもある。
しかし近年、同部には明らかな“異変”が生じていた。スポーツジャーナリストが語る。
「同部はこの4~5年で、急激に弱体化しています。2020年に関東リーグ2部に降格すると、翌年には神奈川県大学サッカーリーグへさらに降格。現在は新設された関東リーグ3部で戦っています」
この弱体化の背景にあるとされるのが、源平氏のパワハラ疑惑をめぐる騒動だ。
「選手と話す時には反論を決して許さず、練習中に突然呼び出して『お前のこと障害者かと思ってた』と暴言を吐いたり、親の職業を聞かれて答えると『だからバカなんだな』と罵られることもあったそうです。源平氏の言葉は絶対で、誰も反論できなかった。
その流れを受けて今年の2月、源平氏のパワハラ・不正経理に関する告発があり、大学側から源平氏に現場に近づかないよう指示が出された。4月7日に行なわれたリーグ3部の開幕戦に源平監督の姿はありませんでした」(同前)
NEWSポストセブン取材班は、大学に提出された「告発文書」を入手。そこには先述の言動を問うものから、部費に関する経理の問題についても書かれていた。前出のスポーツジャーナリストが続ける。
「監督に就任して以来、部費はすべて源平氏が自分の口座で管理していて、何にいくら使われたのかは彼しか知りません。部員は100人以上いて部費を払っているのに、サッカーボールは足りずビブスはボロボロ。スタッフを雇おうとせず、指導者が監督以外に2人しかいないため、他大学からは不思議がられていました。
大学側が源平氏に部費を管理する口座の引き渡しを指示したところ、源平氏は断固拒否したそうです。文書には、多額の部費が口座に入ったままなのではないかという疑惑が書かれている」
専修大学に、源平氏に関するパワハラ・不正経理疑惑、また監督人事について聞くと、以下のように回答した。
「2024年3月末、源平氏が監督を辞任したことは事実です。後任については未定となります。なお、源平氏に疑義が生じたことから、現在、警察に相談しているところです」
源平氏に事情を聞くために、電話を複数回かけ、パワハラや不正経理疑惑について問う質問状をメールで送付したが、回答はなかった。
生徒を指導する者としての資質が問われている。