兵庫県姫路市の団体職員の女性(63)が29日、「詐欺被害にあったかも知れない」と兵庫県警・姫路署に被害届を出した。この女性は衣料品通販大手・ZOZO(ゾゾ)創業者で実業家の前澤友作氏が監修したとするSNSの広告で投資をうながされ、詐欺被害にあったとみられる。
警察庁によると、「フェイスブック」や「インスタグラム」を通じて、著名人になりすました詐欺広告で投資を促された被害総額は全国で2023年、約278億円にのぼったという。
姫路署によると、女性は3月、自身のスマートフォンでフェイスブックに表示された前澤氏監修の「資金増加プロジェクト」と偽った広告を閲覧。通信アプリ・LINE(ライン)のグループに招待され、投資専用アプリをインストールしたという。
このグループで外貨や暗号資産への投資を勧められた女性は、3月30日から4月10日の間に計5回、指定された口座に計125万円を振り込んだ。 アプリ上で一定の利益が表示されたため、女性は利益確定を申し込もうとしたが、「証拠金(担保として預け入れる資金)がいる」などと連絡があったことから不審に思い、姫路署に相談していた。女性は「LINEグループで『儲かっている』とのメッセ―ジが共有され、信じ切っていた」と話しているという。
著名人になりすましたSNSの虚偽広告による詐欺被害をめぐっては、神戸、東京、横浜などに住む男女4人が4月25日、運営するアメリカIT大手、Meta(メタ 旧・フェイスブック社)の日本法人(東京都港区)を相手に約2300万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。