2024年3月21日、ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手の通訳である水原一平氏が、違法賭博疑惑により解雇されたという報道が世間を驚愕の渦に巻き込んだ。
水原氏はスポーツ賭博にはまり込み、450万ドル(約6億8000万円)もの借金をしてしまい、その金を大谷選手の口座から返済した疑いが持たれている。3月26日には大谷選手がドジャースタジアムにて記者会見を開き、自身の関与を完全否定。大谷投手は「ギャンブル依存症だと知らなかったし、彼が借金をしていることはもちろん知りませんでした。彼の借金返済に同意していませんし、ブックメーカーに対して送金をしてくれと頼んだことも、許可したことももちろんないです」と説明した。
この件で注目したいのは、「依存症」だ。誘惑とストレスにさらさせる現代社会は依存症を抱える人も多い。厚生労働省は『依存症の理解を深めるための普及啓発事業』を発足、2019年ごろから啓発イベントなどを定期的に行っている。
公式サイトによると、依存症は「アルコールや薬物の摂取やギャンブル等の行為を繰り返しているうちにそれをコントロールする脳の機能が弱まってしまう『病気』」とある。
水原氏は「世界的なスーパースターの通訳」という栄誉ある立場にいた。違法行為が明るみに出れば人生を棒に振ることになる。それにも関わらず、ギャンブルを続けたのは、依存症という「病気」だからだろう。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「依存症が原因で浮気が発覚することは多いです。中でも調査をしながらセックス依存症だと感じる人は増えており、本人がそうと気づかずに家族を傷つけるケースは多々あります」と語る。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。
山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。同じような悩みを抱える方々への問題解決のヒントも多くあるはずだ。個人が特定されないように配慮をしながら、家族の問題を浮き上がらせる連載「探偵が見た家族の連載」、今回山村さんのところに相談に来たのは、42歳の純子さん。「夫が原因で、何度も性感染症になり、またなってしまったんです」と語る彼女に一体何があったのだろうか……。
山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
今回の依頼者・純子さん(42歳)は専業主婦です。子供が5人おり、一番上は20歳、18歳、16歳の双子、一番下は13歳だそうです。IT関連会社を経営する夫(52歳)は、家事も子育ても積極的に参加しており、経済的なことも妻子を満足させている理想的な夫なのだそう。
「夫はイクメンのお手本のような人で、子供が小さい頃から、私と同じくらい子供の世話をしています。夜中に起きてミルクをあげたり、おむつ替えや子供の相手なども直感的にしていました。だから、夫は私の両親にも、友人たちにも“理想的なご主人ね”と言われています。でも、その影ではすごい浮気をしているんです」
純子さんと夫は結婚20年です。出会いは純子さんが短大在学中にアルバイトをしていた焼肉店。そこの“社員さん”として視察に来た夫は、純子さんに一目ぼれ。その日のうちに交際を申し込み、1週間でプロポーズ。
「こっちはただの学生だから、びっくりしましたよ。向こうは大人の男性ですからね。冗談かと思ったら、ウチの親にも正式に挨拶したいと言ってきた。父は建設会社を経営していて、結構コワモテなタイプなんです。当然、父は激怒して“お前みたいな会社員には娘はやらない。男なら会社を作って一国一城の主になれ”と怒鳴ったんです」
すると夫は「わかりました」と会社を辞め、飲食店関連のコンサルティングとスタッフ派遣の会社を立ち上げます。以降22年、さまざまな変遷を重ね、今ではIT関連業務をメインにした会社として業績は好調に推移しているとのこと。
「それでも父は許してくれなくて、既成事実を作って22歳の時に授かり婚をしました。そこからは立て続けに子供が産まれ、慌ただしく幸せな毎日を過ごしています。ただ、問題があって、夫が毎晩のように求めてくるところ。妊娠中も産後もお構いなしなんです」
20~30代は純子さんにも体力があった。それに、行為そのものが嫌いではないので応じていましたが、30代後半になると体力的にも厳しくなり、断るようになったそうです。
「以前も、私が断ると“そうか、わかった”と性産業で働く女性のサービスを受けていました。私もプロなら浮気ではないと思っていたんです。夫は私を誰よりも愛し、信頼してくれていますし、5人の子供にかかる費用や生活費も惜しみなく出してくれます。上のふたりは海外に留学しているのですが、その費用もポンと出してくれます。経済的にも心の面でも、夫は最高のパートナーなんですが、時々、素人の女性とも浮気をすることが問題だと思うようになってきて」
性産業で働く女性の多くは、性感染症の検査を定期的に受けている。純子さんは性感染症の違和感を体に覚えるとき、「素人と浮気したな」と思うそうです。
「過去に3回、性器クラミジア感染症になりました。最初は24歳のときでした。凄まじい痒みでそれと気づき、病院に行ったら性感染症だと言われたんです。2回目は29歳で5人目の子供を妊娠しているとき。子供が失明する恐れもあったと言われて、ホントに怖かった。3回目は35歳のとき。当時、私が育児に疲れ切っており、性交渉を拒否したのです。すると夫は彼女を何人も作ってしまい、そこからもらってきたんだと思います」
それにしても、感染の頻度が高い。加えて、5人という子供の多さも気になります。夫はもしかすると、セックス依存症なのかもしれないと思いました。以前もこの依存症になった女性の行動調査をしましたが、「性交渉せずには苦しくてたまらない状態」になっていたために、違法な店に出入りし、望まない妊娠を繰り返していました。結局、この女性は自助グループに入り依存症と付き合いながら、社会人生活を続けています。この女性と夫との共通点は、コンドームをつけないところ。
「はい。夫は“ゴムがあると愛を感じられない”といい、つけたことがありません。セックス依存症と言われるとそうかもしれません。夫の求め方はちょっと異常かも。子供だって、私もここまで作るつもりはなかったんです。夫も“子供は2人くらいでいいよね”と言っていたのに、5人も産んでしまったのは、避妊に失敗したからです。もちろん授かった子供たちはかわいいし、出産したことを後悔したことはないのですが」
ここでの「避妊」とは膣外射精のこと。これは避妊としては全く意味がないことは知られている通り。コンドームですら避妊法としては推奨されておらず、例えば厚生労働省が監修するヘルスケアラボでは低用量ピルとコンドームの使用などを推奨しています。コンドームはもちろん性感染症を防ぐために必要なのですが……。
「そうなんですよね。私の知識不足でした。というのも、両親共に潔癖で、エッチな話をすると、“けがらわしい”と父から平手打ちが飛んできて、母は“はしたない”と泣いていました。学校でも教わったような気がしますが、恥ずかしい話をされて苦痛だったこともあり、先生が何を言っているかわからなくて」
そんな純子さんは、最近、夫と肌を重ねます。すると、1週間もしないうちに、身に覚えがある違和感がやってきた。そして病院に行ったらまたクラミジアと診断される。
「そのときに、ふと思ったのは、夫が別の女性との間に子供が生まれたらどうなるんだろうかということ。もし若くて、私よりも体の相性がいい人と出会ってしまったら、私は離婚されちゃうんじゃないかと思うようになりました」
一度、不安になるとそのことが頭を離れなくなる。さらに、最近の夫は今までにない行動をするようになったといいます。
「家で歌を口ずさんでウキウキしたり、それまで放置していたスマホを肌身外さず持つようになったり、LINEの返事が早くなったりして、明らかにおかしい。さらに、朝6時に家を出て、夜中まで帰ってこなくなったんです。それまで“僕の生きがいは弁当作りだ”と、子供の部活弁当を作っていたのに、それさえしなくなった。浮気をするのはいいのですが、新しい女性と家庭を作るのは本当に困る。離婚を切り出されたときに、拒否できるような証拠を押さえてください」
夫が有責配偶者になれば、夫は離婚を望んでも、離婚の成立は難しくなる。それ以前に、避妊をしない性行為は暴力でもあり、やはり依存症が考えられます。そこで、私たちは純子さんと子供たち、そして夫のためにも調査をすることにしました。
◇避妊をしないことも暴力のひとつだし、夫は優しさも愛情もあると思えるのに、「性行為」となるとちょっと人が変わってしまうように感じさせられる。その場合は夫自体もケアの必要があるのだ。
では実態はどうだったのか。詳しくは後編「駐車場で、3人で…妻にクラミジアを4回うつした夫の「セックス依存症」驚愕の真相」にてお伝えする。
駐車場で、3人で…妻にクラミジアを4回うつした夫の「セックス依存症」驚愕の真相