(写真:kuro3/PIXTA)
「一度きりの人生で、今という時間は二度とやってこないのに、なんで自分は時間を無駄に使ってしまうのか」と以前は悩んでいた編集者・柿内尚文(かきうち・たかふみ)氏が、時間の使い方について考えました。柿内氏は「人生には4つの時間しかない」と言います。
「幸福の時間」はやりたいこと、喜びを得られることをして幸せを感じる時間。「投資の時間」は目的のために努力している時間。「役割の時間」はやらなければいけないことをしている時間。「浪費の時間」は無意識に過ごしてしまうムダだと感じる時間です。
書籍『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』を一部抜粋・再構成し、時間の使い方のコツをご紹介します。
4つの時間を意識すると、時間の選び方が変わります。プリンの例で、考えてみたいと思います。
喫茶店に入った時のこと。メニューに「昔ながらのプリン」がありました。「昔ながらのちょっと硬めのプリン、大好きなんだよね」
最近のプリンはとろとろ系が多く、硬いプリン好きの彼は、注文するかどうか迷いました。
「小腹もすいたし、このプリンおいしいだろうな。食べたい……」
心がそう叫んでいます。
一方で、こんな心の声も。
「3日前からダイエットをスタートしたばかりじゃないか。今回は絶対成功させるって自分に誓っただろ! ここはガマンだ」
「ここでプリンを食べたら最高に幸せだろうな」という気持ちと、「今はダイエット中だから、ガマンしなくては」という気持ち。2つの感情が天使と悪魔のように心の中で葛藤しています。
あなたなら、どちらを選びますか?
「今はプリンを食べて、その分、あとでほかの食事で調整すればいい」「食べたいものを食べて、その分、運動すればいい」
そう考える人もいるかもしれませんが、それが簡単にできないから悩みます。
だって、ダイエットをしないといけない理由が「食べることをガマンできない。運動もそこまでできない」からかもしれません。
ここでテーマにしたいのはダイエットではなく、「時間の選択」についてです。
●プリンを食べることを選択→今の時間を幸せに過ごしたい! 幸福の時間を選択
●プリンをガマンすることを選択→目標(ダイエット)を達成したい! 投資の時間を選択
今の幸せを選択すると得られるのが「幸福の時間」です。
幸福はちょっと抽象的なものかもしれないですが、この5つの「感」が幸福につながる大事な要素です。
1.満足感 2.充実感 3.達成感 4.快感 5.安らぎ感
一方で、将来の目標達成のための選択をするのが「投資の時間」です。自分がこの先クリアしたい目標(たとえば試験に合格したい、売上目標をクリアしたい、3キロやせたいなど)を達成することを最優先した選択です。
もし、プリンを食べる選択をした場合。その瞬間は「幸福の時間」かもしれません。でもその後に、自己嫌悪を感じるかもしれません。
「自分はなんて意志が弱いんだ。だからやせられないんだ… …」
「幸福の時間」を選ぶと得られること
・満足感 ・充実感 ・達成感 ・快感 ・安らぎ感
「投資の時間」を選ぶと得られること
・将来の満足感 ・将来の充実感 ・将来の達成感 ・将来の快感
やせるという目標を優先させたいなら、ここはガマンです。
でも、得てして人間はそんなに正しい選択はできないものです。それに、本当は何が正しいのかもよくわからない。「絶対的な正解」なんてないのかもしれません。あるのは「その時の自分の選択」です。これはダイエットの話に限りません。
「今」の幸福の時間を選ぶか、「将来」のための投資の時間を選ぶか。時間の選択で迷ったときは、4つの時間を考えてみます。
「最近は役割の時間ばかりで、幸福の時間が思うようにとれてなかった」「このところ、資格をとるための勉強時間を増やしたので、投資の時間ばかりで、幸福の時間が少なかった」
そう思ったら、ここでは幸福の時間を選択するのはありですよね。つまり、プリンを食べる。
「役割の時間」や「投資の時間」ばかりだと、息が詰まることもあります。
人生をもっと幸福で満たしたいという思いもあると思います。
一方、こんな時はプリンをガマンしたほうがいいかもしれません。
「最近、幸福の時間がたくさんとれていて、満足感の高い日々を過ごしている」
4つの時間の配分を考えながら、自分が求める理想の時間のポートフォリオに近づけていく。そのための行動をとる。そうすることで時間の選択力が向上していきます。
「人生は自分が思っている以上に短い」
先人たちの多くが、こういう言葉を残しています。
僕は今50代ですが、ここまでの人生、信じられないくらいあっという間でした。1年は、感覚的には6か月くらい。犬の成長が速いことにたとえて「ドッグイヤー」という言葉がありますが、人間の印象による時間感覚「インプレッションイヤー」も相当スピーディーです。

時間が過ぎていく感覚は、年齢とともにどんどん速くなっていきます。人は初めての経験を強く記憶する性質があるそうです。昔のことをよく覚えているのは、そのためです。
また、慣れやルーティンは体感時間が短くなります。さらにスマホやネットを見ている時間も、体感時間が短くなるともいわれています。
「インプレッションイヤー(印象時間)」をベースに考えると、残りの人生は実際の半分くらい、もしかするともっと短い感覚かもしれません。
たとえば、50歳の人が80歳まで生きると考えると、実時間は30年ですが、インプレッションイヤーはたったの15年です。
ウダウダしている時間はもったいない。やりたいことは、やっぱりやったほうがいいし、ガマンしていることは手放したほうがいい。
スティーブ・ジョブズはこんな言葉を残しています。
「時間は限られている。だから、他人の人生を生きることで自分の時間をムダにしてはいけない」(ジョブズはいい言葉をたくさん残してますね)
(柿内 尚文 : 編集者)