真ん中にポツンと見える島のようなものは「古墳」です。その周りをずらりと囲んでいるものが太陽光パネルです。
こうした古墳を取り囲むような太陽光パネルは各地にあり、景観などについて物議を醸しています。なぜこうなったのか現場を取材したところ、意外な事実が浮かび上がってきました。
奈良県五條市では、メガソーラー構想などの土地計画を巡って紛糾していました。
県は当初、滑走路もある防災拠点を整備する計画を立てていましたが白紙に…。ヘリポートや備蓄倉庫とともに、およそ25ヘクタールのメガソーラーを設置する案を発表しました。
これに対し、予定地を県に売却した地元自治会などが強く反発しています。
今、全国でソーラーパネル設置に関するトラブルが頻発しています。
熊本県の阿蘇では、山の斜面がソーラーパネル一色になり、景観を壊していると話題になっています。
そして、奈良市内でも…。何かを囲むような形で設置されたソーラーパネル。ちょうど真ん中辺り、ぽっかり空いている所にあるのは古墳です。
数年前から、ソーラーパネルが設置されていましたが、SNS上では「メガソーラーが古墳を侵略している…」「お墓の周りにソーラーパネルはないわ」などの声が上がっていました。
一体、何が起きたのでしょうか?
市は土地の所有者と話し合ったうえで、数カ月間にわたって調査を実施。古墳部分を保護する形になったといいます。
日本にはおよそ16万基あるといわれている古墳。その中でも、宮内庁が管理するのは天皇などを埋葬した陵墓などで、わずか899カ所。古墳の大半は個人所有のものとなっています。
ソーラーパネルと共存した形の場所は他にもあります。
群馬県高崎市にある庚申塚(こうしんづか)古墳。大きな古墳の上にソーラーパネルがドンと乗っている状態です。
番組が古墳を所有する男性に話を聞くと、切実な事情が浮かび上がってきました。
数年前、古墳のある土地を母親から相続したという男性。雑草が生い茂る古墳に対し、近隣住民からクレームが寄せられ、市や消防から管理を徹底するよう通知書が送られてくることもあったといいます。
一時は、先祖代々、相続してきた土地を手放すことも検討しましたが…。
八方ふさがりとなった男性は、市に相談。整地し、ソーラーパネルを設置して管理することにしました。その結果、大きなメリットがあったといいます。
番組が取材した、無数のソーラーパネルに囲まれた古墳には、やむにやまれぬ事情がありました。
(「グッド!モーニング」2024年3月4日放送分より)