「取り返しのつかないことが起こってしまっております」。入学願書を出し忘れた学校が提示した和解金は30万円でした。

■学校“出願忘れ” 3人受験できず

保護者

「それが誠意なんかって言いよんよ!我慢しとるでしょ、こっちもずっと!」

福岡市にある博多女子中学校で行われた説明会。

保護者

「高校行かんって言っているのに、どう受け止めとるんですか。はっきり言って下さいよ、ここで。なあなあで終わらんですよ」

校長

「本当に重大な取り返しがつかないことが起こってしまっております。本当に申し訳ないと思っております」

保護者が憤るのは無理もありません。先月16日の正午までに出さなければならない、高校入試の願書を学校の教員が出し忘れ、生徒3人が志望校を受験できなくなったのです。

説明会に出た保護者

「学校側の対応がもう少し誠意あるものでも良かったのでは。被害者のお父様がお怒りになるのもすごく分かります」

福岡県の県立や公立の高校受験では、中学校が生徒から願書を預かり、高校に評定と一緒に出願する仕組みになっているといいます。一体なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。

■学校「締め切り日を勘違い」

教頭

「(志望校は)組合立の高校で、県立高校とは出願期間も異なる。(志望校の)出願期間は2月16日正午まででした。期日を混同した」

そもそも生徒3人が志望した高校は、市と町が組織した「学校組合」が運営する「組合立」の公立高校。締め切りは先月16日の正午でした。一方で、県内にある多くの「県立高校」の出願の締め切り日は先月20日。担当職員が「組合立高校」の締め切り日を「県立高校」の締め切り日と勘違い。

職員が締め切りを過ぎた16日午後2時に願書を持ち込みましたが…。

教頭

「16日金曜日の午後、締め切り時間が過ぎていたため、受理をしていただけませんでした。学校としての組織的ミスが重なった結果です」

結局、組合立高校を管轄する教育委員会は「公正公平性が必要。特別な対応はできない」として願書を受理しませんでした。

■「ミスじゃなくて犯罪」 両親怒り

受験間近の女子生徒たちに起きた信じられない事態。組合立高校を第1志望としていた生徒の保護者は。

被害生徒の父親

「親としては、ここはもう絶対に譲れないというか許せない」

憤りを隠せない保護者。保護者からの指摘に対し、学校側から「和解金」の提示があったといいます。

被害生徒の父親

「学校側としてはこの度は30万円、これが、ここが和解金です。プラス20万円。『第一志望なんで、これ以上もこれ以下も、もうないです』。はっきりここで言ったんです。親の心からしたらミスじゃなくて、僕からしたら犯罪なんですよ。それを30万円で『はい、終わりましょう』では到底納得はいかない」

被害生徒の母親

「やっぱり娘には笑って卒業してほしい。それだけです」

被害生徒の父親

「どうやって起きた経緯なのか、全部分かってもらうために訴訟はしようと思っている。じゃなくて、もうします」

保護者は私立に行った場合の公立との学費の差額などを支払うよう求めていて、訴訟も検討しているということです。専門家は…。

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士

「一番最初に考えられるのが、受験の機会を失わせた、そのことに基づく精神的損害。それを慰謝するための慰謝料というのがまず考えられる。前例等を考えるのであれば30万ないし50万円程度が相場であると考えられる」

第1志望校への受験を絶たれた女子生徒。保護者によると、選択肢確保のため県立高校を受験するということです。