繁盛している飲食店の多くは「美味しく見える」店構えをしています。お店の外観を変えるだけで、売り上げが大きく伸びることも珍しくありません。大阪にあるイタリアンバルは、明るくにぎやかで、活気を感じる店構えに変えることで、売り上げが1.8倍になりました。店舗デザインの第一人者・戸田大輔さんが関わった「リブランド(ブランドイメージの見直し)」事例をご紹介します。
【アフター写真】この「外観」に変えることで…売上高が1.8倍になりました!
・肉と魚とガブ飲みワイン食堂「バールマン」天六店」・所在地:大阪市北区国分寺・開業から2年目
《ビフォー》
もともとは「海鮮イタリアンバル」の業態だった同店。ただ、店舗の雰囲気から「食堂」と思われてしまうのか、来店されたお客さまは食事の需要が多く、お酒があまり飲まれていませんでした。
店舗の外観を見ると、道路に面した入口の場所がわかりにくくなっていました。イタリア料理なので外観の一部が緑色になっていますが、あまり食欲をそそる色ではなさそうです。店頭に目を引くものがないほか、ガラス窓に文字が書かれすぎていて、店舗の中がよく見えない状態になっているのもマイナス点のようです。
《アフター》
お店の「売り」を海鮮だけでなく、肉を中心にした「ガブ飲みワイン」スタイルに変更。より「バル感」が出るように演出しました。食堂感を消すため、店内の照明の照度も少し落として色温度も変更。店内に貼ってある、ペーパーメニューについても、すべて撤去することにしました。
特に外観テーマは、全体を赤色で統一しました。離れたところから見ても存在感が出るようにしました。またフラットだった前面については、ドア2枚分の幅についてセットバック。客席を減らすことになりますが、しっかりとしたエントランスをつくることにしました。
そのほか、以下のようなポイントを変更しました。
▽メイン看板を店舗幅いっぱいに変更。歩行者からも見やすくするため、看板は斜めに設置。店名よりも業態をデザイン。▽グランドメニューをポスターにし、どんな商品を扱い、いくらぐらいの価格なのかも、わかりやすく表現。▽入口を正面から側面に変更。額縁の色も木色ですべて統一する。▽腰壁を店内と同じ白く小さいブロックタイルに。清潔感と可愛らしさを演出。▽遠くからでも認知できるように、点滅するライトを備えた丸形の袖看板を設置。▽イタリアンを感じる赤の布生地のテントに、ヒラヒラとした装飾をつけて、より可愛らしさを表現。▽ガラス面も活気を演出するようなイラストを描きました。▽仕入れ漁港を具体的に明記する。木の板に書いているイメージにすることで、商品のクオリティが高く感じられるように。
こういったデザインの作り替えで、初月は売り上げが181%にまで急進。その後も150%程度を維持しているといいます。
お客さまがお店に入る「入店率」は、お店の「発見率」と「魅力度」によって変わるそうです。それぞれを上げるポイントをまとめてみました。
▽ 発見率(視認性)を上げる5つのポイント
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▽魅力度を上げる5つのポイント
~糞疆戞淵ャッチコピーや思わず入ってみたくなるコンテンツが表現されているか)活気(動きの要素があるかどうか。今回の店舗では、商品の鮮度の表現につながる)0多幹供奮阿ら店舗の中がよりみえるようにする)だ況藉供平Г了箸ななど、古くてもきれいに見えるようにする)イ得感(入店したら「美味しいものが食べれそう」プラス「何か」を感じさせる)
今回のケースでは「明るくにぎやかで、活気を感じるように」「ひと目でバルと感じ、イタリアン・ワインが飲めそうな雰囲気を演出」することで、お客さまの入店率向上につなげました。
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◆戸田大輔(とだ・だいすけ)大手外食チェーンから個人経営の飲食店まで、数多くの外観を手掛けるコンサルタント。関西を中心に全国、海外に活動の場を広げ、実績は1000件を超える。 1992年から看板屋の仕事に携わり、99年に四國中央サインを創業、2005年に有限会社に法人化、09年に有限会社ジャパンセントラルサインに社名変更、現在に至る。 一人でも多くのお客さまに、お店のコンセプトを正しく伝え来店していただけるよう、あらゆるノウハウを駆使して、魅力的な店構えをつくる。そして、入店の背中を押す入口メニュー、客単価を上げるメニューブックやPOPなども含めて、統一感のあるデザインで、繁盛店を生み出している。