正規雇用につながる「紹介予定派遣」で大手ゲーム会社「任天堂」(京都市)に勤めていた女性保健師2人が、上司の男性産業医からパワーハラスメントを受けたのに関係悪化を理由に雇用されなかったのは不当だとして、社員としての地位確認や損害賠償を会社側に求めた訴訟の判決で、京都地裁(斎藤聡裁判長)は27日、パワハラを認めて計20万円の賠償を命じた。会社が正規雇用を拒んだことは「不合理とは言えない」として請求を退けた。
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判決によると、派遣社員で30~40代の原告は2018年4月から任天堂人事部で勤務。健康診断などに携わってきたが、任天堂は5カ月後に「産業医と円滑な協力態勢の構築に至らなかった」として正規雇用しないと派遣会社に伝えた。
判決は、産業医が原告からの仕事上必要な声掛けを無視したり、あいさつもせずに「指示はまたメールで」と言ったりした行為がパワハラに当たると認定。任天堂も使用者責任を負うと判断した。
一方で、紹介予定派遣については労働契約が結ばれておらず、契約社員などの「雇い止め」とは異なると指摘。「(正規雇用される)期待が雇い止めと同様に保護されるものではない」と結論付けた。【久保聡】