人工知能(AI)を使った仮想通貨(暗号資産)運用事業への投資名目で違法に資金を集めたとして、埼玉県警生活経済課は14日、合同会社「アルカス」(東京都中央区銀座7)代表、三木潤容疑者(62)ら4人を金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕した。2019~22年に38都道府県の約1000人から約94億円を違法に集めたとみられ、県警は詐欺容疑での立件を視野に実態解明を進める。
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逮捕容疑は21年6~8月、金融商品取引業の登録がないのに、仮想通貨運用事業に投資すれば配当を得られるなどと東京や埼玉などの男女4人を勧誘したとしている。生活経済課は4人の認否を明らかにしていない。
三木容疑者は同社で投資運用事業を統括しており、「AIを使った仮想通貨運用のシステムがある」などと1口100万円で出資を募集。1年後に元金の5倍を支払うなどと説明していた。出資金は現金で受け取っていたという。
知人を勧誘した出資者に報酬を支払うなどし、三木容疑者を頂点に裾野を広げる形で出資者を増やしていたとみられる。一部の出資者には配当金が支払われたが、出資金が返金されていないケースもあるという。
20年12月、出資者の親族が「母親がだまされて30万円を支払ってしまった」などと県警に相談して発覚。22年1月、県警が関係先を家宅捜索するなど捜査を進めていた。
国民生活センターによると、仮想通貨に関するトラブルなどの相談件数は、21年度は6379件、22年度は5586件、23年度(1月末時点)は6019件と、高止まりの状態が続いている。センターは「暗号資産という名目で投資の勧誘をしているだけの可能性もある。知人や友人からの誘いでも、実態が分からない場合は取引をしないでほしい」と呼びかけている。【田原拓郎、安達恒太郎】