「’23年になってから、『保護してほしい』という相談が2倍に増えました。『ウサギが街中に遺棄されている』という情報も毎月のように届くようになりました」(「保護うさぎの家 悠兎」の朝倉悟代表)
卯年にあやかり犬や猫に次ぐ「第三のペット」としてウサギブームが再燃したが、「捨てウサギ」も急増中だ。
多頭飼育崩壊を起こした家庭の一室。フローリングのあちこちにウサギが。保護後、さらに7羽産まれたという。
上の写真は、さいたま市内の、多頭飼育崩壊を起こした家庭の部屋だ。朝倉代表はここで計124羽のウサギを保護した。
「ウサギを雄、雌一緒に飼うと、あっという間に繁殖してしまう。ウサギは年に何回も妊娠できて、多ければ一度に10羽産みますから。犬や猫みたいに鳴かないし、一羽数千円と安価だから飼いやすいと勘違いする人が多い。たしかに滅多に鳴きませんが、不満があったり、何かを訴えたりしたいときに、『足ダン』といわれる足を踏み鳴らす行動を取る。ケージの金網もかじる。ペット飼育不可の物件でこっそり飼い始めたものの、騒音で『世話ができなくなった』というケースが散見されました。『懐かないから嫌になった』という飼い主もいました」
公園、河川敷、ペットショップの前など、捨てられる場所は様々。虐待が疑われる重傷を負ったウサギもいたという。
「ウサギを遺棄した場合、動物の愛護及び管理に関する法律により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。ただ、適用範囲など現行法には限界がある。動物愛護センターが所有者の意向にかかわらず独自に保護したり、違反行為を繰り返す者に保護命令や制裁を発令するよう裁判所に求めたりできる権限を持たせるなど、法整備を急ぐべきです」(きさらぎ法律事務所の福本悟弁護士)
これ以上、無責任な飼い主が脱兎のごとく逃げるのを許してはいけない。
『FRIDAY』2024年1月5・12日号より
取材・文:深月ユリア