宝塚歌劇団の女性劇団員Aさんが、2023年9月に急死した問題。
FNNは今回、Aさんと同時期に歌劇団に所属していた元劇団員の女性に話を聞くことができた。
元劇団員「(Aさんは)自分の命を捨ててでも、このことを知ってほしかったのかなって。話を聞いてあげればよかった」
ハラスメントが原因で退団した元劇団員の女性。新人公演での厳しい労働環境を明かした。
元劇団員「報道で出てるように、3時間しか寝られないときもあったが、わたしのときは15分くらいしか睡眠が取れなくて」
睡眠時間わずか15分という極端な長時間労働。しかし、それ以上につらかったものがあると話す。
元劇団員「いろんな上級生に取り囲まれて、密室空間に閉じ込められて罵倒され続ける。謝り続けないといけない。それでわたしも過呼吸になって、フラフラになって、それでも怒られ続けていたので。これって死ぬまで続くんじゃないかなと思うことがたくさんありました。わたしはずっと、中にいるときからおかしいと思っていたが、完全に洗脳されている状態なので、これが当たり前で、我慢している子たちが多い」
宝塚音楽学校の特に1年の「予科生」は、私語や笑顔が禁止といった、“おきて”を守らなければならなかった。
元劇団員「できないと40人上級生がいるが、取り囲まれて、連続謝りという謝り方をしないといけなくて、脳振とうを起こして倒れる子もいるし。本科生には絶対に逆らってはいけない、絶対服従というのを洗脳させるためのガイダンスが最初に行われて、みんなそれをおびえあがって」
厳しい決まりは日常生活にも及んでいた。
元劇団員「トイレに行かせてもらえないというのが一番しんどくて、朝学校に行く前に寮でお手洗い済ませてから帰るまで、トイレに行ってはだめという暗黙のルールがあって、それで粗相してしまう子もいたし。(どうやって対応した?)おむつをつけている子がいたりとか、一切飲み物を飲まない、ご飯も食べない。お風呂に入れてもらえないから、臭いし汚いし、トイレに行かせてもらえないし。人間以下、人間として扱われない」
あいさつや掃除などのルールを少しでも守らなければ、こんな暴言を浴びせられたという。
元劇団員「『おい』とか『お前』とか『死ね』と言われたことがあるし、『まじで顔も見たくねーんだよ』、到底タカラジェンヌが使う言葉じゃないでしょって思うような汚い言葉で罵倒される。階段の上から突き飛ばされたり、足ぱっくり割れる子もいたし、ハサミが飛んできたり、ノートが頭上に飛んできたり、よけたら怒られるんですよ。『何よけてんだよ!』って」
この女性は、度を超えた叱責(しっせき)や長時間労働が重なり、精神的に追い詰められ、退団を決意した。
宝塚歌劇団は、「外部有識者の意見を聞きながら、歌劇団がより良い組織になるよう改革を進めていく」としている。