12月定例県議会の一般質問が4日行われ、多様性条例案の「性自認」の表現について、県総合企画部の冨沢昇部長は「定着している」などと説明した。
自民党の小路正和氏は「(条文の検討過程での)さまざまな勉強会を通じ、『性自認』や『性的指向』の文言の削除を検討してはどうかと県側に要望した」と明かした。
その上で「結果的に条文内容は変わらなかった」と指摘し、県のこれまでの検討状況を説明するよう求めた。
冨沢部長は、性自認の表現を使った理由を「他県の条例にも使われ、定着している表現だ。県の総合計画などでも使用しており、県民に理解してもらいやすい」と答弁した。
6月に成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法を巡る国会審議を踏まえ、「自治体が制定する条文の文言内容はあくまで自治体が判断するものだ」とする見解も示した。
性自認については、同法の修正協議で「性同一性」とも訳される英語の「ジェンダーアイデンティティ」に改められた経緯がある。自民の保守系議員から、主観的な印象を受けるとの異論が根強かったためだ。
一方、この日の一般質問で共産党の浅野史子氏は条例案の取り下げ、再提出を求めた。
浅野氏は「条例案は女性や性的少数者の願いに応えてはいない。差別禁止、ジェンダー平等の実効性のある内容に見直すべきだ」などと主張したが、県側は応じなかった。