警視庁は5日、東京・新宿区の路上でカワラバト1羽を車でひき殺したとして、タクシー運転手の50代男を鳥獣保護法違反の疑いで逮捕したと発表した。
事故は11月13日の午後1時過ぎに発生。現場は京王プラザホテル前から国道20号につながる道路だった。男はタクシー運転手として勤務中で、信号待ちで停止してから青信号で急発進。ハトの群れに時速60キロで突っ込み1羽をひき殺したという。
目撃者が110番し、捜査の結果、今月3日に逮捕。男は「道路は人間のもので、避けるのはハトの方だ」と容疑を認めているという。
現場となった道路ではこの日、ハト2羽とスズメ1羽が確認できた。ハトたちは道路の真ん中を悠々と歩き、何かをついばむような仕草を見せていた。これではうっかりによる事故もあり得なくはない。
ハトをひいて逮捕とは珍しいが、今回はタクシー運転手という運転のプロであることに加え、悪質性が高かったために逮捕まで至ったようだ。逮捕のために警察はハトの解剖まで行っている。
警視庁によると、鳥獣保護法の第8条に該当するという。同条は「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう)をしてはならない」という内容。罰則は1年以下の懲役か100万円以下の罰金となっている。
この鳥獣保護法とハトは密接な関係がある。自治体関係者は「例えば自宅にハトが巣をつくった場合、ヒナや卵があるときに勝手に撤去すると鳥獣保護法違反になりかねません」と指摘した。東京都環境局の公式サイトでも卵がある場合は行政の許可なく撤去できないとし、「巣の撤去はヒナが巣立つのを待ってからにしましょう。なお、巣立つまでは1か月ほどかかります」と呼び掛けている。
ほかに最近ではハトをハサミで傷つけて20代男が同法違反容疑で逮捕されたケースもあった。うっかりならともかく故意を疑われる形でハトに危害を加えると厳しい対応となりそうだ。