福岡県小郡市で2017年、妻子3人を殺害したとして殺人罪に問われ、一、二審で死刑とされた元県警巡査部長、中田充被告(45)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は8日、被告側の上告を棄却した。
裁判官5人全員一致の意見。死刑が確定する。
小法廷は、被告が否認しているとして動機は不明としつつも、「夫婦関係のあつれきで抱いた心情は理解できなくはないが、殺害を決意した経緯として考慮するにも限度がある」と述べた。その上で「3人の生命を奪った結果は重大。罪と向き合う姿勢を示さず、死刑はやむを得ない」と結論付けた。
一審福岡地裁の裁判員裁判は、被告は事件当時、現場となった自宅におり、第三者が侵入した形跡はないと指摘。妻の遺体の状況などから被告の犯行と認定し、無罪主張を退けた。二審福岡高裁も被告側の控訴を棄却した。
一、二審判決によると、中田被告は17年6月、自宅で妻由紀子さん=当時(38)=と長男涼介君=同(9)、長女実優さん=同(6)=の首を絞めるなどして殺害した。