小学校から学童、学童から家までの送迎完備で、習い事があれば学童からの行き来にも対応。英語やその他の学習メニューも充実している。長期休暇中は昼ご飯・おやつ・夕ご飯まで出してくれて、お弁当を作る必要はなし――。
【画像】笑顔の佐藤秀貴被告 そんな共働き親のニーズを見事にくみ取ったようなサービスを売りにしていた学童施設で、性被害の事件が起きてしまった。ウィズダムアカデミー公式HP 舞台は東京を中心に関東圏で急成長するウィズダムアカデミー。2022年7月25日付で総額4億8100万円の第三者割当増資による資金調達をおこない、2023年4月に英語学童「WISDOM ACADEMY PRIME」を6校開校するなど、増える共働きニーズに合わせて校舎数を増やしていた。

しかしこのウィズダムアカデミーの学童で、あろうことか男性社員が少なくとも3人の児童に対して性加害を行っていたことが判明。当該社員である佐藤秀貴被告(30)は強制わいせつの罪で逮捕・起訴され、現在公判が進んでいる。「組織内でごまかそうとしているのではないかと思ってしまう」 文春オンラインの取材に、被害児童の母親は次のように語っている。「被告への怒りはもちろんありますが、ウィズダムアカデミーの対応にも疑問があります。事件を公表する姿勢もなく、組織内でごまかそうとしているのではないかと思ってしまう。逮捕後に謝罪はありましたが、表面的すぎると感じました」 進行中の公判によれば、佐藤被告は男児性愛者との証言があり、児童への加害行為は送迎の車内や、防犯カメラの死角となるキッチンスペースで膝の上に座らせるなどして行われた。 学童内には防犯カメラが設置されていたが、その管理責任者が佐藤被告であり、児童への加害行為が映った防犯カメラの映像が被告のスマホにも保存されていたことが分かったという。この件で、児童ポルノ禁止法違反でも追起訴されている。 昨今、相次ぐ性被害の告発に対して、小学校では「子どもの体に不必要に触れない、密室に二人きりにならない」などのお知らせが配られる学校も増えている。 筆者は文春オンラインを通じてウィズダムアカデミーに、スタッフに対して性犯罪を防止するこのような指導をしていたのか、また防犯カメラの死角やカメラの映像を従業員が持ち出すことを防ぐ措置をとっていたのかなどの質問を送ったが、回答は得られなかった。 被害児童のうちの1人の両親は次のように語る。「子どもを預かる重要な仕事なのに、スタッフの質が十分だったのか疑わしいと感じています。安い給料で募集して、誰かしら埋めてくれる人がいたらという形で誰でもいいからと雇ったのではないか」(母親)「共働き家庭にニーズがあり伸びしろがあるからといって、拡大が優先になっていたように見える。子どもに対する接し方などをどこまでちゃんとみていたかわからない。月5万円からオプションによっては10万以上払っている家庭もある中で、こんなにずさんな体制とは思わなかった」(父親)逮捕後も、利用者に対して情報開示や調査をした形跡がない 佐藤被告が5月に逮捕されてからすでに半年が経過し、公判も進んでいる。しかしウィズダムアカデミーは、12月8日にNHKが報じるまで、事件があったことや今後の対策の発表、謝罪などを利用者に対してした形跡がない。 これに対し、ウィズダムアカデミーからは次のような回答だった。「公表を避けたい旨のご意向をお持ちの被害者様・ご家族もいらっしゃることから、公表による二次・三次被害を防ぐことが最重要と考えてまいりました」「弊社におきましては、このたびの児童に対する性的暴力事件は全く許し難い犯罪行為であると重く受け止めており、考え得る限りの再発防止策を検討・策定しております」 しかし、再発防止策について具体的な内容は明らかにされていない。 被害者の父親も「潜在的な被害者がほかにもいるかもしれないのに、自社内で解決しますと言って、臭いものにふたをしているのではないか」と憤る。 学校現場のみならず、塾や学童などでも相次ぐ性犯罪に、こども家庭庁の有識者会議では日本版DBSの導入が議論され、9月には報告書がまとめられた。 DBSとはイギリスで生まれた仕組みで、子どもに関わる仕事に就く際、DBS(犯歴等データの照会サービス)の証明書をOfstedという教育監査機関に提出して、個人登録をすることが求められるもの。小児性犯罪の再犯を防ぐことが主な目的だ。 日本でのDBS導入は今年の臨時国会への提出は見送られたものの、有識者会議の報告書は、学校や保育所は義務化する一方、塾や学童は認定制度になる案を提示するなど議論は継続している。 もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。代表取締役に対して質問をしたが、回答は… この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。 日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。 今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。 筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)
そんな共働き親のニーズを見事にくみ取ったようなサービスを売りにしていた学童施設で、性被害の事件が起きてしまった。
ウィズダムアカデミー公式HP
舞台は東京を中心に関東圏で急成長するウィズダムアカデミー。2022年7月25日付で総額4億8100万円の第三者割当増資による資金調達をおこない、2023年4月に英語学童「WISDOM ACADEMY PRIME」を6校開校するなど、増える共働きニーズに合わせて校舎数を増やしていた。
しかしこのウィズダムアカデミーの学童で、あろうことか男性社員が少なくとも3人の児童に対して性加害を行っていたことが判明。当該社員である佐藤秀貴被告(30)は強制わいせつの罪で逮捕・起訴され、現在公判が進んでいる。
文春オンラインの取材に、被害児童の母親は次のように語っている。
「被告への怒りはもちろんありますが、ウィズダムアカデミーの対応にも疑問があります。事件を公表する姿勢もなく、組織内でごまかそうとしているのではないかと思ってしまう。逮捕後に謝罪はありましたが、表面的すぎると感じました」
進行中の公判によれば、佐藤被告は男児性愛者との証言があり、児童への加害行為は送迎の車内や、防犯カメラの死角となるキッチンスペースで膝の上に座らせるなどして行われた。 学童内には防犯カメラが設置されていたが、その管理責任者が佐藤被告であり、児童への加害行為が映った防犯カメラの映像が被告のスマホにも保存されていたことが分かったという。この件で、児童ポルノ禁止法違反でも追起訴されている。 昨今、相次ぐ性被害の告発に対して、小学校では「子どもの体に不必要に触れない、密室に二人きりにならない」などのお知らせが配られる学校も増えている。 筆者は文春オンラインを通じてウィズダムアカデミーに、スタッフに対して性犯罪を防止するこのような指導をしていたのか、また防犯カメラの死角やカメラの映像を従業員が持ち出すことを防ぐ措置をとっていたのかなどの質問を送ったが、回答は得られなかった。 被害児童のうちの1人の両親は次のように語る。「子どもを預かる重要な仕事なのに、スタッフの質が十分だったのか疑わしいと感じています。安い給料で募集して、誰かしら埋めてくれる人がいたらという形で誰でもいいからと雇ったのではないか」(母親)「共働き家庭にニーズがあり伸びしろがあるからといって、拡大が優先になっていたように見える。子どもに対する接し方などをどこまでちゃんとみていたかわからない。月5万円からオプションによっては10万以上払っている家庭もある中で、こんなにずさんな体制とは思わなかった」(父親)逮捕後も、利用者に対して情報開示や調査をした形跡がない 佐藤被告が5月に逮捕されてからすでに半年が経過し、公判も進んでいる。しかしウィズダムアカデミーは、12月8日にNHKが報じるまで、事件があったことや今後の対策の発表、謝罪などを利用者に対してした形跡がない。 これに対し、ウィズダムアカデミーからは次のような回答だった。「公表を避けたい旨のご意向をお持ちの被害者様・ご家族もいらっしゃることから、公表による二次・三次被害を防ぐことが最重要と考えてまいりました」「弊社におきましては、このたびの児童に対する性的暴力事件は全く許し難い犯罪行為であると重く受け止めており、考え得る限りの再発防止策を検討・策定しております」 しかし、再発防止策について具体的な内容は明らかにされていない。 被害者の父親も「潜在的な被害者がほかにもいるかもしれないのに、自社内で解決しますと言って、臭いものにふたをしているのではないか」と憤る。 学校現場のみならず、塾や学童などでも相次ぐ性犯罪に、こども家庭庁の有識者会議では日本版DBSの導入が議論され、9月には報告書がまとめられた。 DBSとはイギリスで生まれた仕組みで、子どもに関わる仕事に就く際、DBS(犯歴等データの照会サービス)の証明書をOfstedという教育監査機関に提出して、個人登録をすることが求められるもの。小児性犯罪の再犯を防ぐことが主な目的だ。 日本でのDBS導入は今年の臨時国会への提出は見送られたものの、有識者会議の報告書は、学校や保育所は義務化する一方、塾や学童は認定制度になる案を提示するなど議論は継続している。 もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。代表取締役に対して質問をしたが、回答は… この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。 日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。 今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。 筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)
進行中の公判によれば、佐藤被告は男児性愛者との証言があり、児童への加害行為は送迎の車内や、防犯カメラの死角となるキッチンスペースで膝の上に座らせるなどして行われた。
学童内には防犯カメラが設置されていたが、その管理責任者が佐藤被告であり、児童への加害行為が映った防犯カメラの映像が被告のスマホにも保存されていたことが分かったという。この件で、児童ポルノ禁止法違反でも追起訴されている。
昨今、相次ぐ性被害の告発に対して、小学校では「子どもの体に不必要に触れない、密室に二人きりにならない」などのお知らせが配られる学校も増えている。
筆者は文春オンラインを通じてウィズダムアカデミーに、スタッフに対して性犯罪を防止するこのような指導をしていたのか、また防犯カメラの死角やカメラの映像を従業員が持ち出すことを防ぐ措置をとっていたのかなどの質問を送ったが、回答は得られなかった。
被害児童のうちの1人の両親は次のように語る。
「子どもを預かる重要な仕事なのに、スタッフの質が十分だったのか疑わしいと感じています。安い給料で募集して、誰かしら埋めてくれる人がいたらという形で誰でもいいからと雇ったのではないか」(母親)
「共働き家庭にニーズがあり伸びしろがあるからといって、拡大が優先になっていたように見える。子どもに対する接し方などをどこまでちゃんとみていたかわからない。月5万円からオプションによっては10万以上払っている家庭もある中で、こんなにずさんな体制とは思わなかった」(父親)
逮捕後も、利用者に対して情報開示や調査をした形跡がない 佐藤被告が5月に逮捕されてからすでに半年が経過し、公判も進んでいる。しかしウィズダムアカデミーは、12月8日にNHKが報じるまで、事件があったことや今後の対策の発表、謝罪などを利用者に対してした形跡がない。 これに対し、ウィズダムアカデミーからは次のような回答だった。「公表を避けたい旨のご意向をお持ちの被害者様・ご家族もいらっしゃることから、公表による二次・三次被害を防ぐことが最重要と考えてまいりました」「弊社におきましては、このたびの児童に対する性的暴力事件は全く許し難い犯罪行為であると重く受け止めており、考え得る限りの再発防止策を検討・策定しております」 しかし、再発防止策について具体的な内容は明らかにされていない。 被害者の父親も「潜在的な被害者がほかにもいるかもしれないのに、自社内で解決しますと言って、臭いものにふたをしているのではないか」と憤る。 学校現場のみならず、塾や学童などでも相次ぐ性犯罪に、こども家庭庁の有識者会議では日本版DBSの導入が議論され、9月には報告書がまとめられた。 DBSとはイギリスで生まれた仕組みで、子どもに関わる仕事に就く際、DBS(犯歴等データの照会サービス)の証明書をOfstedという教育監査機関に提出して、個人登録をすることが求められるもの。小児性犯罪の再犯を防ぐことが主な目的だ。 日本でのDBS導入は今年の臨時国会への提出は見送られたものの、有識者会議の報告書は、学校や保育所は義務化する一方、塾や学童は認定制度になる案を提示するなど議論は継続している。 もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。代表取締役に対して質問をしたが、回答は… この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。 日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。 今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。 筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)
佐藤被告が5月に逮捕されてからすでに半年が経過し、公判も進んでいる。しかしウィズダムアカデミーは、12月8日にNHKが報じるまで、事件があったことや今後の対策の発表、謝罪などを利用者に対してした形跡がない。
これに対し、ウィズダムアカデミーからは次のような回答だった。
「公表を避けたい旨のご意向をお持ちの被害者様・ご家族もいらっしゃることから、公表による二次・三次被害を防ぐことが最重要と考えてまいりました」
「弊社におきましては、このたびの児童に対する性的暴力事件は全く許し難い犯罪行為であると重く受け止めており、考え得る限りの再発防止策を検討・策定しております」
しかし、再発防止策について具体的な内容は明らかにされていない。
被害者の父親も「潜在的な被害者がほかにもいるかもしれないのに、自社内で解決しますと言って、臭いものにふたをしているのではないか」と憤る。
学校現場のみならず、塾や学童などでも相次ぐ性犯罪に、こども家庭庁の有識者会議では日本版DBSの導入が議論され、9月には報告書がまとめられた。
DBSとはイギリスで生まれた仕組みで、子どもに関わる仕事に就く際、DBS(犯歴等データの照会サービス)の証明書をOfstedという教育監査機関に提出して、個人登録をすることが求められるもの。小児性犯罪の再犯を防ぐことが主な目的だ。
日本でのDBS導入は今年の臨時国会への提出は見送られたものの、有識者会議の報告書は、学校や保育所は義務化する一方、塾や学童は認定制度になる案を提示するなど議論は継続している。
もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。代表取締役に対して質問をしたが、回答は… この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。 日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。 今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。 筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)
もちろん日本版DBSが実施されても、それにより初犯を防ぐことは難しい。被害者を増やさないためには学校などの公的機関はもちろんのこと、塾・民間学童などの運営事業者側にも、密室に二人きりになることを防ぐ仕組みを導入するなどの意識改革が必要だ。
この点について、ウィズダムアカデミー代表取締役に対して「急速に校舎を増やしているように見えるが、管理体制や人員採用・教育等で不十分だったと感じる点はあるか」「DBSの認定制度があれば利用したいと思うか」との質問をしたが、回答は得られなかった。
日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。 今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。 筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)
日本ではすでに夫婦がいる世帯のうち7割が共働きになっているというデータもあり、小学校が終わってから保護者の仕事が終わるまでの時間を任せられる学童の責任は重い。
今年は大手の学習塾四谷大塚や兵庫県のスイミングスクールでも従業員による性加害が起きている。採用時に悪意ある加害者を見極めることは難しいという専門家の指摘もあるが、たとえ従業員が悪意を持った人物でも犯行ができない環境づくりや、起きてしまった事件への対応次第では、被害者を減らし、二次被害を防ぐことはできるはずだ。
筆者が2020年に取材したベビーシッターマッチングプラットフォームのキッズラインで発生した性犯罪事件とも共通するが、子どもとかかわる事業者には、利益や成長よりも、子どもが安心して通える場所を作ることを最優先してもらいたい。
(中野 円佳,「文春オンライン」編集部)