「論破王」として知られるひろゆきさんは、実生活では論破は役に立たないといいきります。その理由とは……。新著『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に負けない話し方を教えてください!』(サンマーク出版)より一部抜粋。ひろゆきさん本人が「日常生活の議論で勝とうとしない理由」について解説します。(全2回の前編/続きを読む)
【画像】「実生活で論破はまるで役立ちません」と語るひろゆき
最初に言っておきますが、実生活で論破は役立ちません。
職場でも学校でも何か集団があれば、おかしな意見が通ったり、そのせいで理不尽な思いをしたりして、モヤっとすることは、誰にでもあります。
その気持ちはわかるんですけれど、そんな時にむやみに勝とうとしても、勝ち負け以前に意味がありません。
ひろゆき氏 時事通信社
だって、かりにあなたが相手を打ち負かしたからといって、それってあなたが一瞬気持ちよくなるだけですよね。結局、相手が心の底から納得していなければ、実際のところ何も変わらないし、ただただ関係が険悪になって、かえってよくない事態を招いてしまいます。
討論番組だったら、エンターテインメントの世界なので、論破することにそれなりの意味はあるんです。でも、実生活での論破はまるで役に立ちません。家族や同僚を口喧嘩で言い負かしても、べつに何も解決しませんからね。
ですので、いつも言い負かされている自分が嫌で、なんとかそういう自分を変えたいな、と思っているなら、そもそもの「勝ちたい」という目標を見直したほうがいいわけです。
だからといって「負けに甘んじろ」と言うつもりはありません。
うまく自分の考えを伝えきれないなと思う人、相手に押されがちだなと思う人には、そうした人なりの、やり方があるんです。
本書ではそのやり方を紹介していきますが、まずは会話する中で「勝ち負け」にこだわる意識をはずしてみてください。
僕も「勝ちたい」などと思って会話をしているわけではありません。「論破王」と言われたりしますが、実生活の場では「言い負けている」ように見えることだって、たくさんあると思います。
でも、表面的に口で勝とうが負けようが、どうだっていいことです。
大切なのは「その会話において本当に大切なのは何か」ということを、自分でちゃんと見極められているかどうかなんです。
で、何が大切なのかというと、会話の結果、物事がストレスなく進むとか、自分にとってメリットが生じたりするのが望ましいわけです。
そのためには、相手を言い負かす必要は必ずしもありません。
僕の話に説得されて相手が動くよりも、むしろ言い方を工夫することで相手が自分から僕の思う通りに行動してくれるほうが、その後スムーズに進むわけです。
たとえば、休暇で自分は飛行機に乗って島に行きたいのに、家族がどうしてもドライブで山に行きたがっているとします。その時に「島に行きたい」と真正面から主張しても家族は聞き入れてくれない可能性があります。具体的な理由として当日の天気予報や渋滞の話を交えて「ドライブ旅行をやめるべきだ」などと熱心に説得したところで、かえって反感を買うだけかもしれません。
たとえ正論ではあっても、自分が心から納得していないと、人は自分と異なる意見を必ずしも受け入れてはくれないわけです。
そこで、相手を言い負かす説得という形ではなく、「休暇中の天気予報だと、山のあたりは土砂崩れの危険性が高いらしいね。渋滞もひどいようだし」 などとつぶやいてみるとしましょう。「だったら山はやめたほうがいいね。ドライブもやめとこうか」「いっそのこと飛行機で遠出しない? 島に行くとか」なんて家族のほうから言い出すかもしれません。 そもそも日本って、アメリカのように論理的に説得することが肯定される文化とは違うんです。特に集団だと、同調圧力が働いて多数の意見が通りやすい一方、少数の意見は受け入れられにくいので、正論を主張しても軽んじられることは大いにあるわけです。 だからこそ、相手を説得しようなどと思わずに、相手を動かす工夫が必要です。ひろゆきが考える“大事なこと” でも、それって、相手に勝ちを譲ることですよね。そんなことしたら舐(な)められる、というか、軽く見られるんじゃないでしょうか!? 他人から都合よく使われるだけになりそう……。 いえいえ、「言いなりになって使われる」のと「結果のために相手を勝たせる」は別です。 大事なのは「相手を説得して勝つことよりも、結果を自分に有利に持っていく」ことなんです。 一見相手を立てるかのような行動をすると、相手に舐められるのではないかと心配になってしまう人もいるでしょう。日ごろ、頭の上がらない上司を立てて、「よしよし、あいつは俺に従っているな」などと上司に思われてしまうようだと、ストレスが溜まりますし、自分は便利屋のように使われるだけではないかと不安に思うかもしれませんね。 でも、僕が言っているのは、相手の言いなりになることではありません。「返報性の原理」を活用する たとえば、自分が都合よく使われるのが嫌な人は、「代わりにこれをしてください」などと、プラスアルファで自分が得たいものをアピールするといいと思います。やりたくない作業をしながら、「これがうまくいったら、今度昇給の時にお願いしますね」と言うとかね。 でないと、「あの人は、見返りがなくても喜んでやってくれる」「給料内で満足している人だから、特に何もしなくていい」 と誤解されて、引き続き都合よく使われかねません。アピールは大事なんです。 まあ「代わりに……」と言ったところで、「仕事だから、やって当然だろう」なんて言われるのが普通だと思うんですけど、3~4回繰り返すと、さすがに「そろそろ何かしてあげなけりゃ」って感じになると思います。「返報性の原理」といって、人間は施され続けると、何かお返しをしなくてはいけない気になることが心理学的にも実証されているんです。 こうしたちょっとした方法を本書ではお話ししていこうと思います。〈「それってあなたの感想ですよね?」とツッコまれないために、ひろゆき(47)が大切にしている“話し方”〉へ続く(ひろゆき/Webオリジナル(外部転載))
そこで、相手を言い負かす説得という形ではなく、
「休暇中の天気予報だと、山のあたりは土砂崩れの危険性が高いらしいね。渋滞もひどいようだし」
などとつぶやいてみるとしましょう。
「だったら山はやめたほうがいいね。ドライブもやめとこうか」
「いっそのこと飛行機で遠出しない? 島に行くとか」なんて家族のほうから言い出すかもしれません。
そもそも日本って、アメリカのように論理的に説得することが肯定される文化とは違うんです。特に集団だと、同調圧力が働いて多数の意見が通りやすい一方、少数の意見は受け入れられにくいので、正論を主張しても軽んじられることは大いにあるわけです。
だからこそ、相手を説得しようなどと思わずに、相手を動かす工夫が必要です。
でも、それって、相手に勝ちを譲ることですよね。そんなことしたら舐(な)められる、というか、軽く見られるんじゃないでしょうか!? 他人から都合よく使われるだけになりそう……。
いえいえ、「言いなりになって使われる」のと「結果のために相手を勝たせる」は別です。
大事なのは「相手を説得して勝つことよりも、結果を自分に有利に持っていく」ことなんです。
一見相手を立てるかのような行動をすると、相手に舐められるのではないかと心配になってしまう人もいるでしょう。日ごろ、頭の上がらない上司を立てて、「よしよし、あいつは俺に従っているな」などと上司に思われてしまうようだと、ストレスが溜まりますし、自分は便利屋のように使われるだけではないかと不安に思うかもしれませんね。
でも、僕が言っているのは、相手の言いなりになることではありません。
たとえば、自分が都合よく使われるのが嫌な人は、「代わりにこれをしてください」などと、プラスアルファで自分が得たいものをアピールするといいと思います。やりたくない作業をしながら、「これがうまくいったら、今度昇給の時にお願いしますね」と言うとかね。
でないと、
「あの人は、見返りがなくても喜んでやってくれる」
「給料内で満足している人だから、特に何もしなくていい」
と誤解されて、引き続き都合よく使われかねません。アピールは大事なんです。
まあ「代わりに……」と言ったところで、「仕事だから、やって当然だろう」なんて言われるのが普通だと思うんですけど、3~4回繰り返すと、さすがに「そろそろ何かしてあげなけりゃ」って感じになると思います。「返報性の原理」といって、人間は施され続けると、何かお返しをしなくてはいけない気になることが心理学的にも実証されているんです。 こうしたちょっとした方法を本書ではお話ししていこうと思います。〈「それってあなたの感想ですよね?」とツッコまれないために、ひろゆき(47)が大切にしている“話し方”〉へ続く(ひろゆき/Webオリジナル(外部転載))
まあ「代わりに……」と言ったところで、「仕事だから、やって当然だろう」なんて言われるのが普通だと思うんですけど、3~4回繰り返すと、さすがに「そろそろ何かしてあげなけりゃ」って感じになると思います。
「返報性の原理」といって、人間は施され続けると、何かお返しをしなくてはいけない気になることが心理学的にも実証されているんです。
こうしたちょっとした方法を本書ではお話ししていこうと思います。
〈「それってあなたの感想ですよね?」とツッコまれないために、ひろゆき(47)が大切にしている“話し方”〉へ続く
(ひろゆき/Webオリジナル(外部転載))