かつてお年玉の金額は「小学生の間は学年×500円」という基準や、「小学生は1000~3000円」「中学生は5000円」「高校生は5000円~1万円」と一律にするパターンなど様々でした。ただ、最近タクシー運転手と公務員から聞いたのが「お年玉は最低5000円でないと子供達から嘆かれ、親からは呆れられる」という説です。
【写真を見る】合理的なシステム? ネットニュース編集者・中川氏が目撃した「おひねり方式」の宴会の様子 となれば「小学生は5000円」「中学生は1万円」「高校生は1~3万円」といった将来も見えてくるように思えますが、コレがあるため年始の親戚まわりや知人宅の正月祝いに参加したくない、という声も聞かれます。

お年玉はいくら払う?(写真はイメージです) 何しろお年玉というものは大人になったら支払うもの、という通説が強固になっている。子供達も大人が一人来る度に「5000円札が来た!」とホクホク顔になるでしょうし、できればその期待に応えてあげたいとも思う。 しかしながら、時給1000円のバイトやパートで稼ぐような大人にとっては、一気に5時間分の賃金を子供にそのまま取られてしまうことに、どこか複雑な気持ちを抱くのではないでしょうか。自分の甥っ子や姪っ子であれば、そのぐらいはしてやりたいものの、「オレが店長に怒鳴られながら3日間働いた分の給料をこの5人の子供達に全部あげてしまうのか……」。小売店でバイトをする40代男性から、そんなホンネを聞きました。適正価格 翻って私の場合、親はお年玉をくれなかったですし、小学6年生までは毎年父方の祖父母の家に行っていましたが、3年生までは2000円、4年生からは3000円で、これが毎年のお年玉の総額でした。同級生が「今年は7万円もらった」などと言っているのを聞いて仰天したものです。 さて、それではお年玉の適正金額とは一体いくらなのか。ここはもう、社会の風潮や空気感は読まずに、自分だけの基準を作ってもいいかもしれません。「とにかく一律1000円」でもいいですし、「一家あたり5000円か1万円を親に預ける」と決める。場合によっては「一切あげない」という判断をしてもいいかもしれません。ただし、酒やお菓子等の手土産はキチンと持参して準備に感謝の気持ちを示す。 しかしこの「適正金額」というものはどのように決まっていくのですかね。結婚式の祝儀は、友人や会社の同期であれば「3万円」で、取引先や部下なら「5万円」や末広がりの「8万円」、エエイ、キリがいいから10万円だ! なんて豪気な人もいることでしょう。これもなんとなくの空気感で決まっていくものです。そして香典はそこまで懇意でなかった人の場合は5000円が適正金額とされています。おひねり方式 あと、各人の経済状況は人それぞれなので、子供達には「〇〇おじさんからは1万円もらったけど、××おじさんからは1000円しかくれなかったー!」などと無邪気に言わないよう、お子さんがいる方は指導するのも必要かもしれません。もはや「大人だからってたくさんお金を持っている時代」ではないのですから。 そんな中、「これは解決方法かもしれない」と思ったのが「おひねり方式」と「祝儀方式」です。 2022年の正月と2023年の正月、私は佐賀県唐津市の農家・山崎幸治さんの実家に行き、今年も行かせてもらう予定です。その際、大勢の子供達がやってきます。農家の豪邸のため、とにかく人が大勢集まる。山崎さんの3人の姉・妹一家やいとこ一家も来るため、相場通りの「5000円」を各自に渡したら下手すりゃ全部で10万円かかる。 山崎家は特にお年玉を渡しても渡さなくても良いような空気感があるのですが、その代わり、子供達がカラオケを披露したら、「おひねり」をあげるシステムになっています。中が見えない箱を各自持っていて、歌が気に入ったら大人は自分の払いたい金額を箱に入れる。100円を入れてもバレませんし、1000円札を一枚入れればそれで大人としての体面は保てる。何しろ誰がいくら入れたのだかが分からないのだから。 そして、「祝儀方式」ですが、なんらかのめでたい状況にある子がカラオケをしたら多めに入れる。昨年、野球特待生で高校入学が決定した中学3年生がいたのですが、彼には「おめでとう、よくやった!」と1万円を箱に入れました。中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。デイリー新潮編集部
となれば「小学生は5000円」「中学生は1万円」「高校生は1~3万円」といった将来も見えてくるように思えますが、コレがあるため年始の親戚まわりや知人宅の正月祝いに参加したくない、という声も聞かれます。
何しろお年玉というものは大人になったら支払うもの、という通説が強固になっている。子供達も大人が一人来る度に「5000円札が来た!」とホクホク顔になるでしょうし、できればその期待に応えてあげたいとも思う。
しかしながら、時給1000円のバイトやパートで稼ぐような大人にとっては、一気に5時間分の賃金を子供にそのまま取られてしまうことに、どこか複雑な気持ちを抱くのではないでしょうか。自分の甥っ子や姪っ子であれば、そのぐらいはしてやりたいものの、「オレが店長に怒鳴られながら3日間働いた分の給料をこの5人の子供達に全部あげてしまうのか……」。小売店でバイトをする40代男性から、そんなホンネを聞きました。
翻って私の場合、親はお年玉をくれなかったですし、小学6年生までは毎年父方の祖父母の家に行っていましたが、3年生までは2000円、4年生からは3000円で、これが毎年のお年玉の総額でした。同級生が「今年は7万円もらった」などと言っているのを聞いて仰天したものです。
さて、それではお年玉の適正金額とは一体いくらなのか。ここはもう、社会の風潮や空気感は読まずに、自分だけの基準を作ってもいいかもしれません。「とにかく一律1000円」でもいいですし、「一家あたり5000円か1万円を親に預ける」と決める。場合によっては「一切あげない」という判断をしてもいいかもしれません。ただし、酒やお菓子等の手土産はキチンと持参して準備に感謝の気持ちを示す。
しかしこの「適正金額」というものはどのように決まっていくのですかね。結婚式の祝儀は、友人や会社の同期であれば「3万円」で、取引先や部下なら「5万円」や末広がりの「8万円」、エエイ、キリがいいから10万円だ! なんて豪気な人もいることでしょう。これもなんとなくの空気感で決まっていくものです。そして香典はそこまで懇意でなかった人の場合は5000円が適正金額とされています。
あと、各人の経済状況は人それぞれなので、子供達には「〇〇おじさんからは1万円もらったけど、××おじさんからは1000円しかくれなかったー!」などと無邪気に言わないよう、お子さんがいる方は指導するのも必要かもしれません。もはや「大人だからってたくさんお金を持っている時代」ではないのですから。
そんな中、「これは解決方法かもしれない」と思ったのが「おひねり方式」と「祝儀方式」です。
2022年の正月と2023年の正月、私は佐賀県唐津市の農家・山崎幸治さんの実家に行き、今年も行かせてもらう予定です。その際、大勢の子供達がやってきます。農家の豪邸のため、とにかく人が大勢集まる。山崎さんの3人の姉・妹一家やいとこ一家も来るため、相場通りの「5000円」を各自に渡したら下手すりゃ全部で10万円かかる。
山崎家は特にお年玉を渡しても渡さなくても良いような空気感があるのですが、その代わり、子供達がカラオケを披露したら、「おひねり」をあげるシステムになっています。中が見えない箱を各自持っていて、歌が気に入ったら大人は自分の払いたい金額を箱に入れる。100円を入れてもバレませんし、1000円札を一枚入れればそれで大人としての体面は保てる。何しろ誰がいくら入れたのだかが分からないのだから。
そして、「祝儀方式」ですが、なんらかのめでたい状況にある子がカラオケをしたら多めに入れる。昨年、野球特待生で高校入学が決定した中学3年生がいたのですが、彼には「おめでとう、よくやった!」と1万円を箱に入れました。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。
デイリー新潮編集部