立憲民主党の辻元清美参院議員は27日の参院予算委員会で、内閣支持率の低迷に悩む岸田文雄首相を「増税メガネの上に減税メガネをかけているから国民の望むことが見えなくなっている」などと批判した。
立民の蓮舫氏や小西洋之氏も首相へのヤジで加勢したが、首相の味方となるはずの自民党の議席は静かなままで、首相を援護射撃する場面はほとんどなかった。
「減税の後に大増税が待っている。みんな分かっている。防衛費の倍増だ」
辻元氏は質疑で、岸田政権が経済対策に所得税と住民税の定額減税を盛り込んだにも関わらず、世論の評価が低い理由をこう指摘した。辻元氏は2025年大阪・関西万博の会場整備費に関しても、政府が出展するパビリオン「日本館」の費用が膨らんでいる実態を指摘し、「(当初予定から)倍増以上になっていることを認めてほしい」とたたみかけた。
これに対し、首相は防衛費増額の財源に充てる所得税や法人税の増税に関して、「所得税(増税)で家計の負担は増えない。94%の法人は(増税の)対象外だ」と反論。税制措置について「内容も時期も影響しない最大の配慮をしている」とも強調した。首相は辻元氏の指摘にムッとした様子で、手元の答弁原稿にほとんど目を落とさず、時間をかけて説明を繰り返した。
防衛費の増額指針や万博を巡っては、国民負担増が懸念される背景に外部環境の変化がある。令和9年度までの5年間の防衛費の総額約43兆円を算出した政府の防衛力整備計画に関し、策定時に設定した為替レート(1ドル=108円)が現在の水準とかけ離れ、輸入装備品の調達費が上昇している。万博の建設費に関しても人件費や資材が高騰している実態があり、首相の答弁が明快だったとはいえない。
盛り上がる野党席と静かな与党席
質疑の場となった参院第1委員会室は、盛り上がる野党席と静かな与党席という対照も目立った。野党席からは「為替の上振れ、どうするの」(蓮舫氏)「根拠をまったく出していないじゃん」(小西氏)などとヤジが次々と飛び、辻元氏の追及ムードをあおりたてた。
一方、自民の議員席からは、経済対策などを熱を込めて反論する首相に向け「そうだ!」といった通常上がる援護射撃の声はほとんど聞かれなかった。
この日の質疑では、首相と辻元氏の間で憲法改正を巡る白熱した議論も展開されたが、改憲を党是に掲げるはずの自民席は静かなままだった。辻元氏が、自民が「改憲4項目」に掲げる緊急事態条項の創設や教育の充実について、「法律で対応すべき」と改憲不要論を主張。首相は「根本的な問題だから、法律の背景として憲法で議論することが重要だ」と、これも答弁原稿を読まずに細かく反論したが、自民席からは拍手も合いの手もほとんど起こらなかった。
自民の世耕弘成参院幹事長は、首相が指導力を示せていない理由について「言葉に情熱を感じない」などと批判している。熱っぽく答弁する首相を冷めた目で見る自民席は、党内で首相の今の立ち位置を表しているようだった。
一方、辻元氏は質疑後、記者団に「首相の答弁はすごい抽象的。まるで『エンプティ総理』。安倍晋三元首相とは意見は違ったが、互いに信念に基づき、激論を戦わせた。安倍さんが亡くなってさみしい」とも語った。(奥原慎平)