時事通信(電子版)は10月23日、「立・共、次期衆院選で連携 両党首が合意、政策協議へ」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。記事によると、立憲民主党の泉健太代表(49)と共産党の志位和夫委員長(69)が23日に国会内で会談し、次期衆院選の連携で合意したという。
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【写真を見る】オウンゴールは共産との共闘だけではない? あまりに下品で問題になった立憲民主の“ヒーラー立候補者”のSNS投稿 これに猛反発したのが国民民主党だ。翌24日、玉木雄一郎代表(54)は予定されていた泉代表との面会を断ったと記者会見で発言。「共産党と協力する政党とは協力しない」と表明すると、たちまち泉代表は腰砕けとなった。

志位和夫氏と泉健太氏 泉代表は記者団に、志位委員長との会談は他の党首と同じように「ただの挨拶回り」と釈明。もっとも、共産党の機関紙である赤旗(電子版)は同日、「次の総選挙での連携確認 志位委員長と立民・泉代表が党首会談」との記事を配信し、《泉氏から総選挙での「連携と力合わせ」が要請された》と伝えた。泉代表の「挨拶回り」という説明の信憑性が疑われる事態となった。 いかにも立民らしい、煮え切らない態度だと言える。とはいえ、これには切実な事情もあるという。ベテランの政治記者が解説する。「2021年9月8日、立民、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は、共通政策に合意しました。そして9月末、立民と共産は、政権交代が実現すれば《日本共産党は合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力とする》と発表したのです。両党が組めば議席が取れると判断していたのでしょう。ところが、10月に衆院選が行われると、立民は109議席から96議席、共産も12議席から10議席と、共に議席を減らしたのです」除名騒動の共産党 特に立民は大物議員の“討ち死に”が相次いだ。現職の小沢一郎(81)、中村喜四郎(74)、海江田万里(74)の各氏が選挙区で落選し、衝撃を与えた。 この3人は比例区で復活を果たしたが、辻元清美氏(63)と平野博文氏(72)は比例復活も果たせない惨敗。平野氏に至っては次点ですらなく、3位に終わった。「衆院選後、立民の代表代行に就任する逢坂誠二氏(64)は朝日新聞の取材に《あの合意が出たとき、ぶっ飛んだ》と振り返りました(註)。あるベテラン議員も『発表があるまで何も知らなかった』と打ち明けました。結局、野党共闘のメリットより有権者の共産党アレルギーのほうが強かったわけです。小沢さんや中村さんといった与党自民党を知り抜いている大物政治家に逆風が吹いたのも、手痛い結果だと言えます。こうした苦い体験があるため、泉代表は共産との協力について煮え切らない発言に終始するのでしょう」(同・記者) 一方の共産党は今年、現役の古参党員を続々除名。「共産党には言論の自由が存在しない」と強く批判された。「共産党は2月、党首公選制の導入を主張した元党職員の松竹伸幸氏(68)を除名。3月には、同じく党首公選制と志位委員長辞任を求めた鈴木元氏(78)を除名しました。2人とも共産党を支えたベテランの党員ですが、“一切の異論は許さない”とばかりに極めて重い処分を下したのです。あまりに非常識な決定に、朝日や毎日といった野党に甘いメディアですら批判の社説を掲載しました」(同・記者)“反自民票”の受け皿はゼロ 共産党のナンバー4にあたる政策委員長を務め、2005年に離党した元参議院議員の筆坂秀世氏は、「除名に批判が巻き起こったといっても、それは政治に関心の高いごく少数の有権者でしょう」と指摘する。「圧倒的多数の有権者は、除名騒ぎがあったことすら知らなくて不思議はありません。今や共産党の支持者は高齢者ばかりです。若者から子育て世代までの層は、共産党に興味すら持っていないでしょう。だからこそ共産党は、立民と選挙協力がしたくてしたくてたまらないのです。このままならジリ貧です。選挙区で勝つ力もありません。閣外協力なんて贅沢な話で、ほんの少しでもいいから選挙で協力できる体制ができれば御の字というのが本音です」 共産の弱体化は、もちろん立民も百も承知だ。しかし、立民に全く風が吹かない。選挙が近づくにつれ、いつものように浮き足立ち、共産との連携が浮かんでは消え、浮かんでは消える……。「本来なら『次回の衆院選で自民党にお灸を据えよう』と考える有権者は相当な数になっているはずです。内閣の支持率を見れば一目瞭然でしょう。ところが、政党支持率を見ると、立民や共産が伸び悩んでいるのは当然だとしても、日本維新の会どころか自民ですら人気がありません。選挙戦の後半になると態度未定の有権者が何割に達したなどと報じられますが、次の総選挙はこの割合がかなり高くなるのではないでしょうか。投票日直前まで大多数の有権者が態度未定だとしても、私は驚きません」(同・筆坂氏)拙速な選挙協力は問題 有権者はぎりぎりまで「どこに投票すればいいのか」と悩む可能性が高い。与野党のどちらも、選挙戦の終盤に致命的な失言が報道されたら一気に形成が変わるような展開もあり得るという。「そう考えると、今の立民がのらりくらりと煮え切らない態度に終始しているのは、政党としては問題ですが、選挙対策としてなら分からないわけでもありません。これだけ岸田政権に逆風が吹いているのですから、じっと大人しくしていれば、多少は批判票のおこぼれに預かれます。大勝することはないにせよ、数議席なら上積みできるかもしれません。私としては、共産と拙速に選挙協力を結ぶより、むしろ袖にするくらいのほうが選挙対策としては得策だと考えます」(同・筆坂氏)註:共産との「閣外協力」立憲新代表に重い宿題 ギリギリの攻防の裏側(朝日新聞デジタル:2021年11月25日)デイリー新潮編集部
これに猛反発したのが国民民主党だ。翌24日、玉木雄一郎代表(54)は予定されていた泉代表との面会を断ったと記者会見で発言。「共産党と協力する政党とは協力しない」と表明すると、たちまち泉代表は腰砕けとなった。
泉代表は記者団に、志位委員長との会談は他の党首と同じように「ただの挨拶回り」と釈明。もっとも、共産党の機関紙である赤旗(電子版)は同日、「次の総選挙での連携確認 志位委員長と立民・泉代表が党首会談」との記事を配信し、《泉氏から総選挙での「連携と力合わせ」が要請された》と伝えた。泉代表の「挨拶回り」という説明の信憑性が疑われる事態となった。
いかにも立民らしい、煮え切らない態度だと言える。とはいえ、これには切実な事情もあるという。ベテランの政治記者が解説する。
「2021年9月8日、立民、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は、共通政策に合意しました。そして9月末、立民と共産は、政権交代が実現すれば《日本共産党は合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力とする》と発表したのです。両党が組めば議席が取れると判断していたのでしょう。ところが、10月に衆院選が行われると、立民は109議席から96議席、共産も12議席から10議席と、共に議席を減らしたのです」
特に立民は大物議員の“討ち死に”が相次いだ。現職の小沢一郎(81)、中村喜四郎(74)、海江田万里(74)の各氏が選挙区で落選し、衝撃を与えた。
この3人は比例区で復活を果たしたが、辻元清美氏(63)と平野博文氏(72)は比例復活も果たせない惨敗。平野氏に至っては次点ですらなく、3位に終わった。
「衆院選後、立民の代表代行に就任する逢坂誠二氏(64)は朝日新聞の取材に《あの合意が出たとき、ぶっ飛んだ》と振り返りました(註)。あるベテラン議員も『発表があるまで何も知らなかった』と打ち明けました。結局、野党共闘のメリットより有権者の共産党アレルギーのほうが強かったわけです。小沢さんや中村さんといった与党自民党を知り抜いている大物政治家に逆風が吹いたのも、手痛い結果だと言えます。こうした苦い体験があるため、泉代表は共産との協力について煮え切らない発言に終始するのでしょう」(同・記者)
一方の共産党は今年、現役の古参党員を続々除名。「共産党には言論の自由が存在しない」と強く批判された。
「共産党は2月、党首公選制の導入を主張した元党職員の松竹伸幸氏(68)を除名。3月には、同じく党首公選制と志位委員長辞任を求めた鈴木元氏(78)を除名しました。2人とも共産党を支えたベテランの党員ですが、“一切の異論は許さない”とばかりに極めて重い処分を下したのです。あまりに非常識な決定に、朝日や毎日といった野党に甘いメディアですら批判の社説を掲載しました」(同・記者)
共産党のナンバー4にあたる政策委員長を務め、2005年に離党した元参議院議員の筆坂秀世氏は、「除名に批判が巻き起こったといっても、それは政治に関心の高いごく少数の有権者でしょう」と指摘する。
「圧倒的多数の有権者は、除名騒ぎがあったことすら知らなくて不思議はありません。今や共産党の支持者は高齢者ばかりです。若者から子育て世代までの層は、共産党に興味すら持っていないでしょう。だからこそ共産党は、立民と選挙協力がしたくてしたくてたまらないのです。このままならジリ貧です。選挙区で勝つ力もありません。閣外協力なんて贅沢な話で、ほんの少しでもいいから選挙で協力できる体制ができれば御の字というのが本音です」
共産の弱体化は、もちろん立民も百も承知だ。しかし、立民に全く風が吹かない。選挙が近づくにつれ、いつものように浮き足立ち、共産との連携が浮かんでは消え、浮かんでは消える……。
「本来なら『次回の衆院選で自民党にお灸を据えよう』と考える有権者は相当な数になっているはずです。内閣の支持率を見れば一目瞭然でしょう。ところが、政党支持率を見ると、立民や共産が伸び悩んでいるのは当然だとしても、日本維新の会どころか自民ですら人気がありません。選挙戦の後半になると態度未定の有権者が何割に達したなどと報じられますが、次の総選挙はこの割合がかなり高くなるのではないでしょうか。投票日直前まで大多数の有権者が態度未定だとしても、私は驚きません」(同・筆坂氏)
有権者はぎりぎりまで「どこに投票すればいいのか」と悩む可能性が高い。与野党のどちらも、選挙戦の終盤に致命的な失言が報道されたら一気に形成が変わるような展開もあり得るという。
「そう考えると、今の立民がのらりくらりと煮え切らない態度に終始しているのは、政党としては問題ですが、選挙対策としてなら分からないわけでもありません。これだけ岸田政権に逆風が吹いているのですから、じっと大人しくしていれば、多少は批判票のおこぼれに預かれます。大勝することはないにせよ、数議席なら上積みできるかもしれません。私としては、共産と拙速に選挙協力を結ぶより、むしろ袖にするくらいのほうが選挙対策としては得策だと考えます」(同・筆坂氏)
註:共産との「閣外協力」立憲新代表に重い宿題 ギリギリの攻防の裏側(朝日新聞デジタル:2021年11月25日)
デイリー新潮編集部