日本の捕鯨業を33年間支え続けた世界唯一の捕鯨母船「日新丸(にっしんまる)」(8145トン)が4日、現役最後の操業を終え、山口県下関市の下関港に入港した。
来年5月末までに廃船となる予定で、同年3月に完成予定の新母船「関鯨(かんげい)丸」が後を継ぐ。
この日午前、至る所がさびつき、満身創痍(そうい)の日新丸が接岸すると、見守っていた多くの市民らから歓声が上がった。今年捕獲できるニタリクジラ187頭、イワシクジラ24頭をとりきっての帰還だ。市内の男性(76)は「私たちの世代は鯨を食べて育った。日新丸は荒波を越えて、その食文化を守ってくれた」と話した。
日本捕鯨協会などによると、日新丸は1987年、遠洋トロール船として建造され、91年に捕鯨母船「日新丸」に生まれ変わった。調査捕鯨に従事し、南極海への航海は27回に上る。反捕鯨団体の船に接触されたり、火炎瓶を投げ入れられたりするなど妨害活動を受けたこともあったという。
日本が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、2019年7月から商業捕鯨を再開した後は、日本近海で操業。捕鯨船団を率い、調査捕鯨と商業捕鯨で計約1万7000頭の鯨を解体処理した。