営業トークのタブーとされているのが「政治・宗教・野球」。多くのプロ野球ファンは応援球団が異なっていても良好な関係を築いていると思いますが、特定のファン同士が憎み合っていることも事実で、一般人でも「避けたほうがいい話題」とされています。そんなプロ野球の話題から、家族と険悪になってしまったというのが太田浩子さん(仮名・24歳)です。一体どうしてなのでしょうか。
◆両親はジャイアンツファン
「広島県に住んでいるのですが、父と母はもともと東京生まれのため、ジャイアンツファン。野球が縁で結婚したほどです。実家には応援タオルやジャビット人形など、いたるところにグッズが並べられていました」
一家のなかでも、お父さんの熱量は凄まじいものがあると話します。
「父はカープファンが多数の広島で暮らしていることもあってか、とにかくジャイアンツへの思いが強い。試合が始まると必ずテレビもしくは生で試合を観戦しています。それは良いのですが、負けると途端に機嫌が悪くなるんです」
◆ジャイアンツの勝ち負けで性格が豹変
その熱狂っぷりには、お母さんも日々手を焼いているようです。
「ジャイアンツが試合に負けるとお酒のペースが上がり、ベロベロに。逆転サヨナラなど、酷い負け方をすると、物を投げたり、私を怒鳴ることもありました。さすがに母も同じジャイアンツファンとはいっても手を焼いていたようで、『やめてよ』と注意し、喧嘩になることも多々。普段は優しい父なのですが、ジャイアンツの勝ち負けで性格が豹変するので、私は小さい頃からジャイアンツが嫌いでした」
◆隠れてカープを応援することに…
なんと、一家にもジャイアンツを応援するように命じているそうです。
「父は、太田家は先祖代々ジャイアンツファンであるべきだと。。私は広島県に住んでいるし、テレビもだいたいカープ戦が中心、学校でも話題はカープ。父の影響でジャイアンツが嫌いだったこともあり、自然とカープが好きになりました。しかし、父が怖くてその事実を言い出すことができず……。隠れてカープを応援していました」
しばらくカープファンであることは黙っていたそうですが、思わぬ形でバレてしまいます。
◆父から「出てけ」と言われ…
「カープが3連覇していたころ、私も熱量が高まり、マツダスタジアムに観戦に行きました。ジャイアンツとの試合に勝利して、喜んで帰宅したところ、父から呼び出しが……。『テレビにカープを応援する浩子が映っていた。お前は一家の掟を破った。出て行け』と怒られました。いい加減もう押しつけを限界に感じ、家を出ることを決意しました。母からは『本気じゃないよ。家にいていいよ』と言われたのですが、意思は変わりませんでした」
カープファンであることがバレて家を出るハメに、はたから見ると双方やりすぎなような気もしますが……。現在の状況をこう話します。
「やっぱり親子ですから心配なようで、LINEで現状報告をすることはあります。でも、私の中では『たかが野球の結果』で実の娘に『出ていけ』という父を信用することができずで……。広島市内で一人暮らしをしているため、母とは会っていますが、父とはいまだに会いたくありません」
プロ野球を熱く応援するのは楽しいことですが、しかし、他人に迷惑をかけるような応援や観戦の仕方は、好ましくありません。節度を持って楽しみたいものです。
<TEXT/佐藤俊治>