こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は廃刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。 ◆旧車會のメンバーに若い女の子の姿が…
私がプロデュースしている実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」では、昭和の時代に“名車”と呼ばれたバイクなどをカスタムして乗るチーム「旧車會」を取材することが多いのですが、そのメンバーの多くは50代前後。暴走族スタイルをオマージュしながらも、現在は「暴走」ではなく「ツーリング」というかたちで交通規則を守りながら楽しんでいらっしゃいます(ごく一部では問題になっている方々もいるようですが……)。 しかし、そんな旧車會の中で最近気になっていることがあります。それは今まではメンバーのほとんどが「おじさん」だったのが、若者たちに世代交代しつつあることです。
令和とはいえ、単車が好きな男の子が昭和の名車に憧れて乗りたがることは理解できるのですが、とくに「女の子」が目立つようになってきているのに私は注目しております。
◆昭和と令和のハイブリッド「ヤンギャル」が全国で増加中
昭和の時代で言えば「レディース」なのかもしれません。ただ、当時は特攻服に怖い顔をして「ウチら、気合はいってるんでよろしくー」と言うのが定番でした。しかし、令和の子たちはギャルファッションに身を包みながらも昭和のバイクにまたがり、笑顔で“eggポーズ”を決めます。
この絵面は、昭和に生まれて『ティーンズロード』で編集長をやっていた私としては、もはや理解の範疇を超えており、驚いてしまいました。昭和と令和の価値観を融合させた「ヤンギャル」(ヤンキーギャル)と言っていいでしょう。いま、全国的にもヤンギャルが多数存在しているのです。
◆“なんちゃって”ではなく“本物”の旧車好き
そのなかでも今回紹介する「モモカ&リリカ(私たちは“モモ・リリちゃん”と呼んでいます)」姉妹は、渋谷あたりを歩いていれば今どきの「ギャル」なのですが、2人とも昭和の名車と呼ばれる「ホンダ・ホーク供廖屮好坤・GS400」を颯爽と乗りこなしているではありませんか!
モモちゃんは20代の社会人、リリちゃんは10代のJK(女子高生)です。
正直、最初に彼女たちを見た時には、ただ彼氏のバイクを借りて「わたしので~す!」とか言ってるだけの“なんちゃって”なのかと思ったのですが、いざバイクに跨ると、その運転テクニックに「これは本物だ……」と納得させられてしまいました。
◆旧車マニアの両親から影響を受けて…
ちなみに、撮影現場にはモモ・リリ姉妹のご両親がまるでマネージャーのように付き添い、ポージングの指示などをしているではありませんか。
姉妹は「両親から影響を受けた」そうで、私が当のご両親にインタビューしたところ、実はご両親が旧車マニアで、彼女たちが小さい頃から旧車のイベントや走行会に連れて行っていたそう。
決して「旧車に乗れ」と強要したわけではなく、自分たちから「旧車に乗りたい」と言い出して免許を取得、お父さんのアドバイスを聞きながらも自分たちのセンスで単車をカスタムしたということなのです。
まさに旧車乗りの英才教育とでも言いましょうか。衝撃的でした。
「彼女たちが単車に乗ることは心配ではないですか?」とお父さんに聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。

お父さんも思わず苦笑いしておりましたが、彼女たちが旧車に乗り始めてから様々なチームから「一緒にツーリングしようよ」というオファーがくるようで、まさにおじさんたちのアイドル状態です。
◆若者たちに受け継がれる昭和のDNA
かつてのヤンキーのDNAが受け継がれつつも、単車を降りれば今どきの「ギャル」。
個人的には理解に苦しむ部分もありますが、彼女たちの姿を見ていると、時代の変化に合わせて、若者たちも進化を遂げていくということを強く実感している今日この頃です。
こんなことを書いてはどこかから怒られるかもしれませんが……昭和の人間としては、こんなにカワイイ「旧車ガールズ」たちならば、どんどん増えてもらいたいと思ってしまうことをお許しください。もちろん、走るときには「安全運転最優先」でお願いします!
<取材・文/倉科典仁(大洋図書)、撮影/長谷英史>