雑草は伸び放題、そして周囲にはゴミも落ちている。この場所は、少し前まで厳しすぎるほどの手入れが行われていた。
ここは、埼玉県内にあるビッグモーターの店舗。
兼重宏行前社長の会見から、25日でちょうど1カ月。
長男の宏一前副社長も辞任し、「環境整備」もなくなったとされる現場の店舗はどうなったのか。
25日に行ってみると、一変していた。
雑草は腰くらいまで伸び切っていて、よく見ると、店の前の植え込みに吸い殻や袋も落ちていた。
荒れているようにも見える店前の様子。
一方、敷地内に展示してある車の台数自体は、大きな変化がないようにも見える。
店の中はガランとしていて、隣の整備工場も1人整備員がいたが、忙しくしているという様子ではないように見える。
取材班が店の前で取材をしていた2時間ほどの間で、目にした客らしき人の出入りは1組だけ。
毎日、付近をランニングするという住民は、最近の店の様子を次のように語った。
付近の住民「草とるのやめましたね。あれ以来、全然ボーボー。商談しているところも、テーブルもスカスカ」
取材中に偶然遭遇したのは、凶悪事件なども担当する埼玉県警の捜査1課。
道路を一部規制する大がかりな実況見分が行われた。
この1カ月で、取り巻く環境が激変したビッグモーター。
FNNは、元社員に社内で行われていたという研修について話を聞くことができた。
元社員「とても何かを学ぶというような研修ではないんです。ただの、どう喝とつるし上げだけの、何も学ぶことのない研修だったと」
営業成績が悪い社員らを対象に行われていたという、この研修。上司がかけていたという言葉は、「なんで売れてないんだ!」、「どうやったら売れると思っているんだ!」というものだったという。
元社員「答えのないことをひたすら詰められて、ただ1日が終わると。見せしめのための研修という感じ。どうしてもその研修に行きたくないから、なんとか台数を稼ごうっていう雰囲気」
パワハラ的な研修の存在が、不正などの問題の温床になっていたのだろうか。
元社員は、全社的に行われる、あるイベントにも疑問を感じていたと話す。
それは、半ば強制的に参加させられる3泊5日の社員旅行。
元社員「行き先(毎回)ハワイなんですけど、社員として入ったら強制的に毎月8,000円引かれる。旅行積立金として毎月。これを2年間ためて社員旅行に行く」
毎月8,000円を2年間払い続けると、積立額は19万2,000円に。
団体のパッケージ旅行であれば、もっと安く行けたはずだと元社員は話す。
元社員「要は自腹で“強制参加の社員旅行”に行っているだけ。経営計画書に『会社行事に参加しない者は人事評価を下げる』と。その会社行事が社員旅行。自腹で行くだけの社員旅行に行かなかったら、人事評価を下げるとでたらめなことを言っている」
自腹の社員旅行に参加しないと下がる人事評価。
一方、ビッグモーターによる自動車保険の不正請求を受けた側の損害保険ジャパンをめぐっても、新たな動きが明らかになった。
金融庁が損保ジャパンに対し、9月にも立ち入り検査を検討していることが明らかになった。
鈴木俊一金融相「金融庁としては、報告の内容を受けて精査したうえで、適切な手段というものを検討していきたい」
ビッグモーターをめぐる問題は、新たな段階に入るのか注目されている。