自分のための居場所を失い歌舞伎町に流れ着いた未成年少女たち。その残酷すぎる真夏の暮らしを追った。◆体を売る17歳の家出少女
新宿区歌舞伎町。この歓楽街にある広場や路地裏が「トー横」と呼ばれ、少年少女のたまり場となって久しいが、特に少女たちは日々危険と隣り合わせな生き方をしている。2か月前にやってきたゆいさん(仮名・17歳)はこう話す。
「これだけ暑いと、さすがに路上で寝れないし、お風呂にも入りたい……。一回1万円の援交をして、安いラブホを転々としてる。それでも基本的にトー横は助け合いの精神で、宿代がなくて困ってるコがいれば、カネを出し合って一緒に泊まる。洗濯だけはなかなかできないんだけどね」
◆「家でどうしようもないママと暮らすほうがイヤ」
彼女らを買う側も、清潔感にはさして文句を言わないという。だが、それ以上にキツい思いを彼女らは強いられる。
「事前にNGと伝えても、当然といった顔でオーラルセックスを強要される。夏は風呂に入っても汗と加齢臭が混ざってゲロ臭いヤツばっかなのに。私は援交歴短いけど、もう喉元まで突っ込まれるのを防ぐ舌の使い方を覚えた」
男側も、家出少女のキッズたちがたいして抵抗できないことをわかった上で、ヤリたい放題しているのだろう。
「私が風呂に入っている3、4分でホテルから逃げ出す“ヤリ逃げ”もいるので、いつでも報復できるよう、Twitterで見つけた援交相手には顔写真の交換が必須。何かあればいつでもSNSで晒す覚悟だし、仲間にも注意する。だけどできるのはそれくらい。苦しいけど、家でどうしようもないママと暮らすほうがイヤだから、耐えるしかない」
◆トー横でも居場所のない16歳の少女
2年前からトー横にいるりんさん(仮名・16歳)は、さらに過酷な夏の日々を送る。
「トー横ってかわいいコが多いキラキラした世界じゃん? そこに憧れて、暴力ばかりの両親を捨ててきたけど、いざ同い年のコに話しかけても無視されて、馴染めなかった。たぶん太ってて老けて見えるせい。ホテルに泊めてくれる仲間もいないから、ほぼ広場で野宿。夏場は室外機から微風が吹いてるビル下の駐車場を探して眠ったりも。日が出ると、早朝から入れる近くの映画館に涼みに行って、援交の客がくる時間帯までの待機所にしてる」
◆「みんなと仲良くなりたい」けど…
りんさんは「私もみんなと仲良くなりたい」と話すも、うつ病の影響でその努力もままならない。
「広場の友達が少ないから、危ない買春男の情報が回ってこなくて。大久保公園で立ちんぼする日が大半だけど、夏休みは家出少女が増えるから警察の目も厳しいし、相場も安くなる。ひどいときは2日に1人しか客が取れないしね。ただ、援交すればホテルの風呂に入れるから、それは助かってるかな」
少女たちは、それぞれの息苦しさに悶え、この夏を耐えしのいでいる。